107 / 123
第6章過去転移
106対化け物用
しおりを挟む狩人……。
その名の通り、獣を狩る事を生業としている者を表す。
しかし異世界の狩人は少し違う。
現実世界のように家に住み銃を整備して獣を狩る、のではなく、常にダンジョン内に住み続け化け物と対峙し続ける。
その異様な生活スタイルは一般国民には理解されない。
ガリア王国でも同様に奴隷とはまた違う好奇の目で見られるのだ。
では、どうやって狩人と判断するのか?
それは弓使いのサシャが持つスキル、狩人の眼を有するか否かである。どの職業に選ばれたかは関係ない。
特殊な目と過酷な生活スタイルを貫き続ける事。それが狩人と呼ばれる者達の条件なのだから。
しかし、狩人と呼ばれる者達も今やほとんど居なくなった。
化け物に狩られたわけではない。
人に狩られたのだ。彼らのスキル、狩人の眼は死してもなお輝き続ける。
なので彼らの眼には高価な値がつくのだ。
もちろん。最初は一部の盗賊が彼らを襲っていただけだった。
盗賊程度の実力ならば狩人には何ら問題ない。
しかし、王国が軍率いて攻め行ったらどうだろうか?
王国がご自慢の魔導部隊を投入したら?
どうする事も出来ないだろう。
王国の戦力投下によって狩人は絶滅の危機に瀕した。
狩人達も何も対策をしなかったわけではない。ダンジョン内に隠れるようにひっそりと暮らしていたのだ。
でも何故かあぶり出されてしまった。
そんな王国が狩人を狩り続ける最中で、反対の声をあげたのがレイヴン公と勇者であった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
サシャは狙いを蓮に定めるとさらに弓の弦を引っ張った。
ギリギリとしなる音はサシャの手に力がこもっている事を示していた。
その右手に出来ている小さな弓矢は魔力の塊である。
「ふぅ……」
体力を消費するのか。サシャの呼吸が荒くなっていく。
よく見ると額にも汗が浮かび上がってきた。
(勇者さん。あなたは優しすぎるのですよ)
弓矢を構えながら彼女は昔を思い出していた。
勇者と始めて出会った。
幼き日の事を……。
―15年前・狩人の村―
サシャが生まれ育ったのはガリア王国の端に位置する辺境の地であった。
当時は既に狩人狩りが始まっていたが、王国から遠い事もあってサシャのいる村は平穏を保てていた。
草木が生い茂る森、心地よい音を立てながら流れる川にさえずる鳥達。
狩人にしては随分と平和な地どサシャ達、狩人は暮らしていたのだ。
そんな場所でサシャは走り回っていた。
「魔法……。狩人の足!」
サシャがそう叫ぶと幼い体にも強化が施された。
彼女は森に住んでいるオオトカゲとかけっこをするのが好きだったのだ。
いや、かけっこというよりも視界に入ったオオトカゲを追い回す。といったほうが正しいだろうか。
「待てぇー!」
無邪気に追いかけるサシャ。
彼女の足は早く。オオトカゲなどすぐに追いつかれてしまう。
いきなり追いかけられるオオトカゲにとっては迷惑な話だが、サシャにとっては関係ない。
悲鳴をあげながら走るオオトカゲ、それに彼女は追いついた。
「捕まえたっ!」
「ウギィィィィィ!」
嫌がるオオトカゲの背中に飛び移ったのだ。
普段なら体当たりをして終わりなのだが、この日のサシャは違った。
いつもとは違う事がしたかったのだ。
両親からこの村から出てはいけないと言われているので、森の中で刺激的な事を見つけるしかない。
そんな軽いつもりでサシャはオオトカゲに飛び移った。
彼女にとって本当に軽い気持ちだったのだ――。
0
あなたにおすすめの小説
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる