迷信聖女は不要らしいので、私は騎士と幸せを探しに行きます。

銀杏鹿

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13 ドミニオン・オブ・ソード◆-3

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◆◆◆◆◆◆◆◆

「王族相手に随分と頑張りましたの」

 アンナは分かったでしょう?とでも言いたげなシタリ顔で微笑む。

 どうやら、彼女の言っていた"直情的な馬鹿ではなくてよかった"というのはこういう事だったらしい。

「……よく言う、白々しい」

「貴方、最終的にお兄様を勝ったような気分にさせましたの、お見事ですの」

「何が勝った気にさせた、だ。この話を受けざるを得ない以上、最初から敗北していると言っても良い」

「断っても良かったんですの」

「俺はどうなっても自衛できるが、聖女様はそうはいかない」

「ま、そうでもしなければ貴方、話には乗らないですの」

 アンナはまたお茶を口にした。

「それで、貴女は何が目的なんだ?」

「……目的?どう言うことですの?」

 とぼけたように聞き返してくる彼女は微笑みを浮かべてはいたが、目は全く笑っていなかった。

「アレは自分から蜂起を考えられる程じゃない。国外へ出ろと言うのに、方法も準備もないと言うのは明らかにおかしい、別の考えがある方が自然だ。それか、他人の意思で動いているか」

「……そういう風に見えますのー?」

「無知故に無謀な夢を見ている、というのもありえるが……」

「なるほどー?」

 アンナは俺の目を検分するように見つめた。

「まあ、遠からず、という感じですの。まあ、いずれ分かりますの。私の正しさが」

 そして降参するように手を広げ、それを認めた。

「……夢想家はこちらの方だったか」

「私以上に、現実が見えている存在は他にいませんの」

「他人を唆し、謀反を企てる者が何を?」

「福音に導かれて法が決まることはありませんの。教会でも国家でも、剣がそれを神聖化するまでは」

「勝者は常に正しいと?」

「正しさは常に"剣の支配"によって与えられますの」

「……暴論だ」

「私はただ、物事をあるべき形にしたいだけ。ですの。邪魔でアホなお姉様の世話はお任せしますの」

 第二王女は悪びれもしなかった。
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