迷信聖女は不要らしいので、私は騎士と幸せを探しに行きます。

銀杏鹿

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47 スカイ・ブリーチング◇-1

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 イムラーナとは違う、魔力の輝きを放つ魔導列車は暗闇の中を、真っ直ぐに目的地まで進み続ける。

 窓の外はその光以外、何も見えなかった。

「……オード…これで……やっと…帝国……出れる?」

「後は風車塔につけば、すぐに上に登れるさ。そうすれば帝国からひとっ飛びだ。検問は無理やり通るしか無いが……」

「外出たら…空でも…運転…私が…しても…いい?」

「元々マナ様が行きたい場所へ行く旅だ。帝国から先は自由に行こう。俺達を縛る枷は外には無いんだ」

「やった!じゃあ…前の曲芸?私も…やる!」

「曲芸ってあれか……アバランシュのことか……」

「アバランシュ?」

「俺がやった曲芸の名前だ。外から見るとまあ、面白い形になるんだが……まあ、今度教える」

「よろしくね」

 そして、魔導列車は道筋は滞りなく運び、私達は漸く風車塔に辿り着いた。

 頭上の遥か先に点みたいな光、壁で囲まれてるから実感無いけれど、これが帝国からの脱出経路。

 何処からか吹いているのか分からないけれど、風車塔の中は風が吹いていた。

 イムラーナの飛沫の輝きが壁を伝って空へ登っている。

「お願い、オルキヌス」

「◾︎◾︎◾︎◾︎!」

 唸りを上げ、オルキヌスはシャチの形へと変わり、イムラーナの光を弾きながらほんの少し浮かぶ。

 錆び付いた魔導具がそのままだったけれど、そのまま変形出来るらしい。

「よし、大丈夫みたいだ。来てくれ!マナ様!」

 オルキヌスを整備していたオードが顔を出す。

「う、うん!」

 オードが私の手を引き、オルキヌスの中へ。

 また、少しだけ、頬が熱くなった。

「行くぞ、全速前進だ!」

「出発──!」

 オルキヌスは真上に向かって、跳ねるように泳ぎ始めた。

 空へ出たら、聞いてみよう。

 私の、この思いについて。

 何故は分からないけれど、今は無性にそうしたい。

 そうすることが、正解なんだって、思えるから。

 凄まじい速度で遥か先の光を目指し、飛ぶオルキヌス。

 あの日、真っ白な雲の中を抜けた日を思い出す。

 何もない天空を見たあの景色を。

 私は、もう一度それを期待した。

 何一つ遮るモノのない蒼空を。

「もうすぐ外に出るぞ!」

「うん!」

 そして、私達は暗闇から光の中へ飛び出す。

 海の生き物が"ブリーチング"するように……水から飛び出す時のように、オルキヌスは翔んだ。

 そしてその時は──。


◇◇◇◇◇◇◇◇
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