4 / 51
第一幕
04 アイ・アム・ア・ロック-3◇
しおりを挟む
「◾︎◾︎、何が聖女◾︎。ただ、寝ているだけ◾︎はないか、お前こそ、帝国の◾︎◾︎の◾︎◾︎そのものだな」
第三王子のハインリヒは機嫌が悪いようだった。
ここ最近、この庭園にやってくるのは彼と妹くらいだ。
お父様の顔は、もう随分長い事見ていない。
「何だ?その◾︎は?」
ハインリヒは私を睨み付けていた。
薬が効き始めたのか、意識が身体から乖離したような感覚になり、自分を外から観察しているような気分になる。
「ごめんなさい…私──」
「"白痴"の◾︎に、俺◾︎言っている言◾︎の意味なんて分からないのは◾︎◾︎ないか、すまなかったなぁ!」
「うっ」
近寄ってきたハインリヒが私を蹴った。
この時ばかりは、薬に感謝したい。
痛みも何も感じないから。
「◾︎◾︎みたいな、知恵◾︎れ◾︎◾︎◾︎、結婚せねばならない?一生、お前◾︎◾︎◾︎◾︎世話◾︎して生きろと?◾︎◾︎じゃない!」
私の手から落ちたお母様の形見が、転がって行くのが見えた。
「やめて…」
「痛がるフリ◾︎◾︎◾︎するなよ、◾︎◾︎。何をしても◾︎◾︎には治るだろう◾︎、お前◾︎俺に出来る◾︎◾︎が◾︎にあるとでも?お前◾︎口にして良い◾︎◾︎は、感謝の言◾︎だけだ!」
そう言って、私を踏み続ける。
薬のお陰でそこまで苦しく無いのが幸いだった。
「言え!踏◾︎でくださって、ありがとう◾︎◾︎いますとな!」
「……嫌」
「このっ……!いつも反抗◾︎な目を……!◾︎◾︎のような◾︎がいるから……ん?何だこれは」
「あっ」
ハインリヒは何かを拾い上げた。
それは執事風の服を着せられた人形、笛を持った人形、そして緑色の人形。
彼らの姿は、他人には物言わぬ人形にしか見えないのだ。
「何を一人で◾︎◾︎ているかと思えば、◾︎◾︎歳で人形遊びか?」
「やめて…それは」
「なんだ?◾︎◾︎◾︎◾︎、大事なものか?」
「とても…大切…やめて」
「◾︎◾︎◾︎、じゃあ仕方ない」
そう言って微笑むハインリヒ。
「よかっ──」
しかし、人形はバラバラに引き裂かれた。
「え……何……で?」
「こうすれば、◾︎◾︎の気味が悪い、独り◾︎も無くなるだろう?良かったな、これで◾︎◾︎にされずに済◾︎だろう!」
「酷い……」
「黙れ。◾︎◾︎は石ころだ、俺に踏◾︎れる石ころでしか無い。無価値で◾︎◾︎のない◾︎◾︎に相応しい◾︎◾︎だ!」
「私…聖女…魔術…封印する」
「そんな"迷信"、信◾︎ているのは、陛下だけだ。それを◾︎◾︎に教えたのも、陛下だろう。いい加減◾︎付けよ、◾︎◾︎は何の◾︎◾︎もなく閉じ込められてるだけなんだってなぁ!」
そうらしい、世間では聖女の役目もただの迷信に過ぎない。
私が何をしているのか、何の為にここに居るのかも、誰も知らない、誰も認めない。
「お父様…なら…分かる」
「◾︎の狂った◾︎◾︎に何が分かる。◾︎に、そうだとして、◾︎◾︎、そう言った◾︎◾︎を放置している?陛下も分かっているんだよ、◾︎◾︎に何の価値も無いって事をなぁ!」
そうして、私はなすすべもなく、暴行を受け続ける。
お父様も、誰も、私を認めている人間など、どこにもいない。
私の視線の先で、暗い虹色の宝石は何も反射しない。
形見は私を助けはしない、所詮、ただの石に過ぎないのだから。
◇◇◇◇◇◇◇◇
でも、私は大丈夫だ。
なぜなら私も石ころなのだから。
石ころは痛みを感じない。
そして石で出来た島は決して涙を流さない。
私は……多分、石ころだった。
第三王子のハインリヒは機嫌が悪いようだった。
ここ最近、この庭園にやってくるのは彼と妹くらいだ。
お父様の顔は、もう随分長い事見ていない。
「何だ?その◾︎は?」
ハインリヒは私を睨み付けていた。
薬が効き始めたのか、意識が身体から乖離したような感覚になり、自分を外から観察しているような気分になる。
「ごめんなさい…私──」
「"白痴"の◾︎に、俺◾︎言っている言◾︎の意味なんて分からないのは◾︎◾︎ないか、すまなかったなぁ!」
「うっ」
近寄ってきたハインリヒが私を蹴った。
この時ばかりは、薬に感謝したい。
痛みも何も感じないから。
「◾︎◾︎みたいな、知恵◾︎れ◾︎◾︎◾︎、結婚せねばならない?一生、お前◾︎◾︎◾︎◾︎世話◾︎して生きろと?◾︎◾︎じゃない!」
私の手から落ちたお母様の形見が、転がって行くのが見えた。
「やめて…」
「痛がるフリ◾︎◾︎◾︎するなよ、◾︎◾︎。何をしても◾︎◾︎には治るだろう◾︎、お前◾︎俺に出来る◾︎◾︎が◾︎にあるとでも?お前◾︎口にして良い◾︎◾︎は、感謝の言◾︎だけだ!」
そう言って、私を踏み続ける。
薬のお陰でそこまで苦しく無いのが幸いだった。
「言え!踏◾︎でくださって、ありがとう◾︎◾︎いますとな!」
「……嫌」
「このっ……!いつも反抗◾︎な目を……!◾︎◾︎のような◾︎がいるから……ん?何だこれは」
「あっ」
ハインリヒは何かを拾い上げた。
それは執事風の服を着せられた人形、笛を持った人形、そして緑色の人形。
彼らの姿は、他人には物言わぬ人形にしか見えないのだ。
「何を一人で◾︎◾︎ているかと思えば、◾︎◾︎歳で人形遊びか?」
「やめて…それは」
「なんだ?◾︎◾︎◾︎◾︎、大事なものか?」
「とても…大切…やめて」
「◾︎◾︎◾︎、じゃあ仕方ない」
そう言って微笑むハインリヒ。
「よかっ──」
しかし、人形はバラバラに引き裂かれた。
「え……何……で?」
「こうすれば、◾︎◾︎の気味が悪い、独り◾︎も無くなるだろう?良かったな、これで◾︎◾︎にされずに済◾︎だろう!」
「酷い……」
「黙れ。◾︎◾︎は石ころだ、俺に踏◾︎れる石ころでしか無い。無価値で◾︎◾︎のない◾︎◾︎に相応しい◾︎◾︎だ!」
「私…聖女…魔術…封印する」
「そんな"迷信"、信◾︎ているのは、陛下だけだ。それを◾︎◾︎に教えたのも、陛下だろう。いい加減◾︎付けよ、◾︎◾︎は何の◾︎◾︎もなく閉じ込められてるだけなんだってなぁ!」
そうらしい、世間では聖女の役目もただの迷信に過ぎない。
私が何をしているのか、何の為にここに居るのかも、誰も知らない、誰も認めない。
「お父様…なら…分かる」
「◾︎の狂った◾︎◾︎に何が分かる。◾︎に、そうだとして、◾︎◾︎、そう言った◾︎◾︎を放置している?陛下も分かっているんだよ、◾︎◾︎に何の価値も無いって事をなぁ!」
そうして、私はなすすべもなく、暴行を受け続ける。
お父様も、誰も、私を認めている人間など、どこにもいない。
私の視線の先で、暗い虹色の宝石は何も反射しない。
形見は私を助けはしない、所詮、ただの石に過ぎないのだから。
◇◇◇◇◇◇◇◇
でも、私は大丈夫だ。
なぜなら私も石ころなのだから。
石ころは痛みを感じない。
そして石で出来た島は決して涙を流さない。
私は……多分、石ころだった。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
【完結】捨てられた聖女は王子の愛鳥を無自覚な聖なる力で助けました〜ごはんを貰ったら聖なる力が覚醒。私を捨てた方は聖女の仕組みを知らないようで
よどら文鳥
恋愛
ルリナは物心からついたころから公爵邸の庭、主にゴミ捨て場で生活させられていた。
ルリナを産んだと同時に公爵夫人は息絶えてしまったため、公爵は別の女と再婚した。
再婚相手との間に産まれたシャインを公爵令嬢の長女にしたかったがため、公爵はルリナのことが邪魔で追放させたかったのだ。
そのために姑息な手段を使ってルリナをハメていた。
だが、ルリナには聖女としての力が眠っている可能性があった。
その可能性のためにかろうじて生かしていたが、十四歳になっても聖女の力を確認できず。
ついに公爵家から追放させる最終段階に入った。
それは交流会でルリナが大恥をかいて貴族界からもルリナは貴族として人としてダメ人間だと思わせること。
公爵の思惑通りに進んだかのように見えたが、ルリナは交流会の途中で庭にある森の中へ逃げてから自体が変わる。
気絶していた白文鳥を発見。
ルリナが白文鳥を心配していたところにニルワーム第三王子がやってきて……。
【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる