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第一幕
15 ドミニオン・オブ・ソード.3◆
しおりを挟む「王族相手に随分と頑張りましたの」
アンナは分かったでしょう?とでも言いたげなシタリ顔で微笑む。
どうやら、彼女の言っていた"直情的な馬鹿ではなくてよかった"というのはこういう事だったらしい。
「……吹っかけておいてよく言う、俺が反論できなけばそのまま俺達を追い出すつもりだったんじゃあ、無いのか?」
こいつなら、まず間違いなくそうしただろう。
「お互い様ですの。貴方、最初からあの落とし所にする為に、わざと挑発したり、前提か褒美かとか言う話題に逸らして、最終的にお兄様を勝ったような気分にさせましたの、お見事ですの」
そうする他に無かっただけで、普通に話が通じるなら、そう言った事はしたくはなかった。
既に追放されるのが既定路線だったが故に出来た手段でしか無い。
「前提で飲むなら、それに越した事はない。そうした方がお互いの為だ」
そもそも、自分の為に国外へ出ろと言うのに、その為の方法も準備もないと言うのは明らかにおかしいのだ、それが分からない者がまさか、王族で、しかも皇帝になろうとしているとは思わなかっただけで。
「ま、そう言うことにしておきますの」
アンナはそれだけ言うと、またお茶を口にした。
「それで、貴女は何が目的なんだ?」
「……目的?どう言うことですの?」
とぼけたように聞き返してくる彼女は微笑みを浮かべてはいたが、目は全く笑っていなかった。
「彼は恐らく、自分から蜂起を考えられる人間ではない」
「……へぇ。そういう風に見えますのー?」
「或いは無知故に無謀な夢を見ている、というのもありえるが……いや、その両方か」
「……ふぅ、なるほどー?」
アンナは俺の目を検分するように見つめた。
「……まあ、遠からず、という感じですの。まあ、いずれ分かりますの。私の正しさが」
そして降参するようにそれを認めた。
「……やはり夢想家はこちらの方だったか」
「失礼な。私以上に、現実が見えている存在は他にいませんの」
「他人を唆し、謀反を企てる者が何を言う」
「──福音に導かれて法が決まることはありませんの。教会でも国家でも、剣がそれを神聖化するまでは」
「つまり勝者は正しいから、何もおかしくないと?」
「その通りですの。正しさは常に"剣の支配"によって与えられますの」
「……暴論だな」
「ですが真実ですの。人類がそうしてきたように、そうするだけ。私はただ、物事をあるべき形にしたいだけ。どこも悪くありませんの。そう──私は何も悪くないんですの」
第二王女は悪びれる気配もなく言い切った。
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