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第一幕
18 テイク・ミー・アウト.3◇◆
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降り立ったのは、人の十倍はある大きさのそれ。
白と黒の外殻に、翼か或いは魚のヒレのような装甲、兜を被った蜥蜴……のような顔。
私がいつか教わった、"竜"というものと、海の生き物を混ぜたような外見。
ただ、生き物というのには、その体に纏った鎧のような物はあまりに人工的で。
「何故ここに……!」
「何…あれ?」
「アレは皇帝陛下の《機海獣》だ……陛下がいないのに何故…….」
「けとす…鯨?」
「あ、いや、そうなんだが、違うんだ」
「鯨…じゃないの?あ…しゃち…似てる」
白黒の配色とか何処と無くシャチの雰囲気がするし。
「……わかりやすく言うと、海の"獣"で、乗り物だ」
「生き物…乗り物?」
……?何それ?馬みたいな?
まあ、馬も見たことないんだけれど。
「あれは普通の動物とは違う……話をしている暇はないか……マナ様、走れるか?」
オードは何かを覚悟したような悲壮な表情をしていた。
「……どうするの?」
本当は、どうするかなんて聞きたくなかった。
「生き残る為の、たった一つの冴えたやり方だ。合図したら、二手に分かれて走る」
……予想通りの言葉だった。
「おーど…?それって」
「必ず後から行く」
嘘だ。そんなのは嘘だ。
一緒に行きたい、嫌だ。
絶対に一緒に行くんだ。
お願いだから。
私を置いて行かないで。
私をここから連れ出すのは、
貴方にしか出来ないことなのに。
なんて、言葉が頭に浮かんでは消えて、喉から出かかった。
……でも。
「……わかった」
私はそんな我儘を噛み殺した。
聞かなくても、返ってくるその先の言葉は分かっていたから。
それに…私は言ったんだ。
初めて踏む外の地は、自分自身で踏み締めるんだと……!
その〈時〉が来た。
私は石ころかも知れない、だけど。
もう同じ場所に止まっては居られないんだ。
「◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎──!!」
獣が咆哮した。
◆◆◆◆◆◆◆◆
俺は、獣の咆哮を聞き、即座に叫んだ。
「走れ!俺が引き付ける!」
「うん……!」
二手に分かれて走り出す、俺の方が当然早い。
「◾︎◾︎◾︎◾︎──!」
獣は、先に前へ出た俺へ目掛けて、突進し始めた。
ほんの一瞬、背後を見る。
遅れたマナ様が、息を切らして走っているのが見えた。
信じるしかない、彼女が無事に潜り抜ける事を。
これは──"彼女が"生き残る為のたった一つの冴えたやり方なのだから。
「さぁ来いデカブツ!こっちだぁぁ!!」
襲いくる機海獣の巨体は、俺が防ぐにはあまりに大きく速い。
──分かっている、生身で機海獣をどうにか出来るわけが無い。
見栄を張ったところで、まるで及ばない。
倒せるわけがない、立ち向かうなんて、愚か者のする事だ。
腰から抜いた剣一本など、あっという間にへし折られて終わりだろう。
"予定通りに"事が進んでいない時点でわかり切っていた事だ。
これは俺の半端な正義感の終着点。
誰かが俺達を殺す為に、アレを解き放ったんだろう。
あの庭園から出た、たったそれだけで自由になれるわけもない。
マナ様を縛り続けた皇帝陛下の呪縛は、今、目前の脅威として形を成したのだ。
これが現実。
逆立ちしたってどうにもならない残酷な事実。
──だとしても、そうだとしても。
「……男には!!引けない時があるんだ!!」
「◾︎◾︎◾︎◾︎──ッ!!」
振り上げる剣、視界の端でマナ様が通り抜けていくのが見える。
どうやら一緒には行けないらしい。
今更になって気が付く。
何処かへ行きたかったのはきっと──。
白と黒の外殻に、翼か或いは魚のヒレのような装甲、兜を被った蜥蜴……のような顔。
私がいつか教わった、"竜"というものと、海の生き物を混ぜたような外見。
ただ、生き物というのには、その体に纏った鎧のような物はあまりに人工的で。
「何故ここに……!」
「何…あれ?」
「アレは皇帝陛下の《機海獣》だ……陛下がいないのに何故…….」
「けとす…鯨?」
「あ、いや、そうなんだが、違うんだ」
「鯨…じゃないの?あ…しゃち…似てる」
白黒の配色とか何処と無くシャチの雰囲気がするし。
「……わかりやすく言うと、海の"獣"で、乗り物だ」
「生き物…乗り物?」
……?何それ?馬みたいな?
まあ、馬も見たことないんだけれど。
「あれは普通の動物とは違う……話をしている暇はないか……マナ様、走れるか?」
オードは何かを覚悟したような悲壮な表情をしていた。
「……どうするの?」
本当は、どうするかなんて聞きたくなかった。
「生き残る為の、たった一つの冴えたやり方だ。合図したら、二手に分かれて走る」
……予想通りの言葉だった。
「おーど…?それって」
「必ず後から行く」
嘘だ。そんなのは嘘だ。
一緒に行きたい、嫌だ。
絶対に一緒に行くんだ。
お願いだから。
私を置いて行かないで。
私をここから連れ出すのは、
貴方にしか出来ないことなのに。
なんて、言葉が頭に浮かんでは消えて、喉から出かかった。
……でも。
「……わかった」
私はそんな我儘を噛み殺した。
聞かなくても、返ってくるその先の言葉は分かっていたから。
それに…私は言ったんだ。
初めて踏む外の地は、自分自身で踏み締めるんだと……!
その〈時〉が来た。
私は石ころかも知れない、だけど。
もう同じ場所に止まっては居られないんだ。
「◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎──!!」
獣が咆哮した。
◆◆◆◆◆◆◆◆
俺は、獣の咆哮を聞き、即座に叫んだ。
「走れ!俺が引き付ける!」
「うん……!」
二手に分かれて走り出す、俺の方が当然早い。
「◾︎◾︎◾︎◾︎──!」
獣は、先に前へ出た俺へ目掛けて、突進し始めた。
ほんの一瞬、背後を見る。
遅れたマナ様が、息を切らして走っているのが見えた。
信じるしかない、彼女が無事に潜り抜ける事を。
これは──"彼女が"生き残る為のたった一つの冴えたやり方なのだから。
「さぁ来いデカブツ!こっちだぁぁ!!」
襲いくる機海獣の巨体は、俺が防ぐにはあまりに大きく速い。
──分かっている、生身で機海獣をどうにか出来るわけが無い。
見栄を張ったところで、まるで及ばない。
倒せるわけがない、立ち向かうなんて、愚か者のする事だ。
腰から抜いた剣一本など、あっという間にへし折られて終わりだろう。
"予定通りに"事が進んでいない時点でわかり切っていた事だ。
これは俺の半端な正義感の終着点。
誰かが俺達を殺す為に、アレを解き放ったんだろう。
あの庭園から出た、たったそれだけで自由になれるわけもない。
マナ様を縛り続けた皇帝陛下の呪縛は、今、目前の脅威として形を成したのだ。
これが現実。
逆立ちしたってどうにもならない残酷な事実。
──だとしても、そうだとしても。
「……男には!!引けない時があるんだ!!」
「◾︎◾︎◾︎◾︎──ッ!!」
振り上げる剣、視界の端でマナ様が通り抜けていくのが見える。
どうやら一緒には行けないらしい。
今更になって気が付く。
何処かへ行きたかったのはきっと──。
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