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第二幕
24 フェイキン・イット.3◇
しおりを挟む「──残念だったな、反逆者よ」
雲の中から、私達の機体の二倍程の大きさはあろうかという、縦長の頭をした鯨の機海獣が、舞い降りる。
「まだ来るか……!」
「マッコウクジラ!」
方向転換して逃げようとするけれど。
「大人しくなさい。貴方達に出来ることはもう無いでしょう?」
立ち塞がる、シロイルカの機海獣。
「もう逃げ場はないのです」
雲間を抜けて現れる巨大な海蛇。
「まー、七元徳相手によくやった方じゃん?」
そういって行手を遮る少女は、獅子のようなアシカに騎乗していた。
「奴が死んで6元徳かもしれんがな」
真っ直ぐな角の生えた鯨……イッカクのような姿の機海獣が現れる。
「死んでしまったものは仕方ありません…….まあ、あんなクソ雑魚居ても居なくても変わりゃしませんけどぉ」
雲から声がした──否。
いつの間にか、上空の白い影は雲ではなく、巨大な鯨の機海獣の腹に変わっていた。
「すごい……!アレ…鯨?イルカも、イッカクも…えっと…あれ…アシカ…じゃない…オタリア…!」
私は思わずはしゃいでしまった。
「ねぇ!オード!すごい!すごいよ!」
「……のんびりしてられたら、良かったんだがな」
オードは額に少し汗をかいていた。
……はしゃぎ過ぎたかも。
「……どうしたの?」
「これから本物の海に行くんだろう?」
変な言い方をする彼。橋の時と同じ声だった。
「でも、一緒…でしょう?連れてくの…オード」
「ああ、そうだよな。わかってる。わかってるさ」
「──七元徳が一人、《円舞曲》ヴァルツァーが命じる!大人しく投降しろ」
白いマッコウクジラの機体がそう言う。
「何が七元徳だ、馬鹿馬鹿しい」
「そう言う君は何者だ?」
「オード。マナ様の騎士だ。それ以上でも以下でも無い」
「……それが陛下直属の騎士の命令を退ける理由になると?」
「そうだ」
「ここにいる全員を相手にするつもりかい?」
「……そうだ」
「……どうしたものか。相乗りしてるお姫様に相談した方がいいんじゃないか?君の空回りだったら、不幸になるだけだぞ」
「言ってろ──マナ様。ちょっと怖いかもしれないが……我慢できるな?」
私の目を見て、オードは聞く。
「大丈夫…オード…怖くない?」
「ははっ、マナ様に心配されるなんてな」
「冗談。笑える…でしょ?」
「ああ、笑える。どんな状況だろうと笑い飛ばしてやるさ……誰にだって見つけられない場所まで連れて行ってみせる……絶対に」
「……相談は終わったか?」
「マナ様は戻らない、もう決まったことだ」
「そうか、なら」
「戦うのはまたの機会にな」
オードが何か取手を引くと、突然機体は浮力を失って落下し始めた。
「えっ──」
「なっ!?こんな高さでイムラーナの流れから降りるなんて無謀な!機体制御も何も──」
遥か上空に消えていく彼らの姿、それだけの速さで落ちてるんだろう。
「無理を通して、道理を吹き飛ばす──今日から、それが俺達のやり方だ」
オードは激しく揺れる機体を制御しながら、そう呟いた。
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