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私たちと別れた後、第二王子殿下は国王陛下に報告に走り、ヘンリックは本当にカリナを牢獄に放り込んだのだそうだ。
「口を割らなければ本当に拷問するつもりだったが、私が本気だとわかるとすぐに全部吐いた」
カリナは、またもここが本の中の世界だと言い張った。
以前も同じことを言って誰もまともに取り合わなかったが、今回のヘンリックはその本の内容について詳しく聞いてみることにしたのだそうだ。
主人公は、異世界転移してバルテン王国に降臨した聖女カリナ。
アブラッハが枯れかけて困っていたバルテン王国で、回復魔法が使えるカリナは大歓迎された。
そして、ヘンリックを含む四人の男性と懇意になり、四人全員と恋人になった。
聖女カリナの能力は、回復魔法が使えるというだけではない。
閨事をした相手の能力を高めることができるのだ。
カリナはアブラッハも魔法で回復できるのではないかと考え、試してみることにした。
枯死寸前のアブラッハに回復魔法をかけてみると、その根本から魔物が飛び出しカリナに襲い掛かってきた。
その魔物を四人の恋人たちが協力して退治し、魔物の心臓からは四つの魔石が採れる。
カリナは魔石に回復魔法と聖女の祝福を籠め、恋人たちに授けた。
魔物がいなくなったことでアブラッハは元気になり、カリナのおかげで平和が戻ったかに思えたバルテン王国だったが、すぐにまた災厄が訪れた。
アブラッハの回復を祝う式典が開かれていた王城を、突如として魔王が襲撃してきたのだ。
カリナと魔石のおかげでそれぞれ飛躍的に能力が上昇した四人の恋人たちは果敢に魔王に立ち向かい、辛くも勝利することができた。
平和になったバルテン王国で、カリナは恋人たちに愛されながら幸せに暮らす。
めでたしめでたし……
「と、いうような内容なのだそうだ……」
話しながら、ヘンリックの顔色がどんどん悪くなっていくのが気の毒だった。
漫画は漫画でも、話を聞く限りTL漫画なようだ。
ヘンリックならヒロインの恋人キャラとしての資質は十分持ち合わせているだろうが、それは闇落ちしていたらの話だ。
今のヘンリックがカリナの恋人になるなんて、どう考えても無理だ。
「カリナから聞き出したことを元に、国王陛下や第一王子殿下たちも交えて話し合った。
荒唐無稽な話ではあるが、アブラッハの魔物が存在したのは確かだから、デタラメだと切り捨てるのは危険だ。
というわけで……カリナと閨事をしたら、本当に男性側の能力がなにか高まるのかどうかというのを検証することになった」
「え……それって……」
ヘンリックに寄り添っていたマリアンネが顔色を変えた。
「違う、検証をするのは私じゃない!
試してみるかと言われたが、絶対無理だと断った!
マリア以外とそんなこと……吐き気がする」
本当に具合が悪そうな顔色で、ヘンリックはマリアンネの手を握りしめた。
「かといって、第一王子殿下にそんな怪しげなことをさせるわけにはいかない。
総騎士団長の令息は、現在西の国境にある砦で武者修行中で、急いで呼び寄せても王城に到着するまで一月以上はかかる。
頼みの綱のアンゼルム大公も、カリナは全く好みでないということで私と同じように絶対無理なんだそうだ」
カリナの容姿は、バルテン王国でもかなり可愛らしい部類にはいる。
それなのに、あのふるまいのせいで男性からの人気は低いのだそうだ。
日本で私の後輩だった時は、仕事はきちんととこなしていたし、TPOもわきまえていたのに。
ヘンリックたちを篭絡するのに必死で、ああなってしまったのだろうか。
「口を割らなければ本当に拷問するつもりだったが、私が本気だとわかるとすぐに全部吐いた」
カリナは、またもここが本の中の世界だと言い張った。
以前も同じことを言って誰もまともに取り合わなかったが、今回のヘンリックはその本の内容について詳しく聞いてみることにしたのだそうだ。
主人公は、異世界転移してバルテン王国に降臨した聖女カリナ。
アブラッハが枯れかけて困っていたバルテン王国で、回復魔法が使えるカリナは大歓迎された。
そして、ヘンリックを含む四人の男性と懇意になり、四人全員と恋人になった。
聖女カリナの能力は、回復魔法が使えるというだけではない。
閨事をした相手の能力を高めることができるのだ。
カリナはアブラッハも魔法で回復できるのではないかと考え、試してみることにした。
枯死寸前のアブラッハに回復魔法をかけてみると、その根本から魔物が飛び出しカリナに襲い掛かってきた。
その魔物を四人の恋人たちが協力して退治し、魔物の心臓からは四つの魔石が採れる。
カリナは魔石に回復魔法と聖女の祝福を籠め、恋人たちに授けた。
魔物がいなくなったことでアブラッハは元気になり、カリナのおかげで平和が戻ったかに思えたバルテン王国だったが、すぐにまた災厄が訪れた。
アブラッハの回復を祝う式典が開かれていた王城を、突如として魔王が襲撃してきたのだ。
カリナと魔石のおかげでそれぞれ飛躍的に能力が上昇した四人の恋人たちは果敢に魔王に立ち向かい、辛くも勝利することができた。
平和になったバルテン王国で、カリナは恋人たちに愛されながら幸せに暮らす。
めでたしめでたし……
「と、いうような内容なのだそうだ……」
話しながら、ヘンリックの顔色がどんどん悪くなっていくのが気の毒だった。
漫画は漫画でも、話を聞く限りTL漫画なようだ。
ヘンリックならヒロインの恋人キャラとしての資質は十分持ち合わせているだろうが、それは闇落ちしていたらの話だ。
今のヘンリックがカリナの恋人になるなんて、どう考えても無理だ。
「カリナから聞き出したことを元に、国王陛下や第一王子殿下たちも交えて話し合った。
荒唐無稽な話ではあるが、アブラッハの魔物が存在したのは確かだから、デタラメだと切り捨てるのは危険だ。
というわけで……カリナと閨事をしたら、本当に男性側の能力がなにか高まるのかどうかというのを検証することになった」
「え……それって……」
ヘンリックに寄り添っていたマリアンネが顔色を変えた。
「違う、検証をするのは私じゃない!
試してみるかと言われたが、絶対無理だと断った!
マリア以外とそんなこと……吐き気がする」
本当に具合が悪そうな顔色で、ヘンリックはマリアンネの手を握りしめた。
「かといって、第一王子殿下にそんな怪しげなことをさせるわけにはいかない。
総騎士団長の令息は、現在西の国境にある砦で武者修行中で、急いで呼び寄せても王城に到着するまで一月以上はかかる。
頼みの綱のアンゼルム大公も、カリナは全く好みでないということで私と同じように絶対無理なんだそうだ」
カリナの容姿は、バルテン王国でもかなり可愛らしい部類にはいる。
それなのに、あのふるまいのせいで男性からの人気は低いのだそうだ。
日本で私の後輩だった時は、仕事はきちんととこなしていたし、TPOもわきまえていたのに。
ヘンリックたちを篭絡するのに必死で、ああなってしまったのだろうか。
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