孤独なお針子が拾ったのは最強のペットでした

鈴木かなえ

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 アーレンはガウンも下履きも脱ぎ捨て、私に覆いかぶさってきた。
 熱くてしっとりと汗ばんだ肌が触れ合い、私の胸がアーレンの逞しい胸板で潰されてそれだけで吐息が漏れるくらい気持ちいい。
 舌を絡めて優しくキスをして、アーレンは耳元で囁いた。

「挿れるよ。力を抜いていくれ。できるだけ慣らしたが、まだ痛いかもしれない。もし痛かったら、俺の肩に噛みついたらいい」

 そんなことはしない、と思いながらも私は頷いてアーレンの肩に腕を回した。
 痛くても我慢できる。そんなのより、アーレンを全部受け入れる喜びの方が大きいのだから。

 熱くて固いものが秘部に触れた。
 それは溢れた蜜を纏わせるように何度か秘部の表面を撫でるように動き、それからその先端が膣口にあてがわれた。

 いよいよだ、と私が息をのむのと同時に、それはぐっと私の中に侵入してきた。

 さっきまで挿れられていた指よりも大きくて熱いそれは、ゆっくりと隘路を押し広げていく。

「痛くないか?」
「ううん、大丈夫……全部、入ったの?」
「まだ半分くらいだ。このまま進めていいか?」

 これでまだ半分なんだ……かなり奥まで入っているような気がするのに。
 私が頷くと、アーレンはまたゆっくりと腰を進めてきた。

 やがてお腹の奥が押し上げられるような感覚があり、私たちの体がぴったりとくっついて、それでやっとアーレンの分身が私の中に完全に埋め込まれたのだとわかった。
 痛みを予想して強張っていた体から少し力が抜けて、緊張が緩んだ。

「痛くないか?」

 さっきと同じ質問をアーレンは繰り返した。
 その秀麗な顔には汗が浮かび、苦しそうに眉を寄せている。
 もしかして、こういう場合は男性も痛いのだろうか。

「痛くないわ。私は大丈夫よ……アーレンは?」
「俺は、気持ちよすぎてどうにかなりそうだよ……痛くないなら……動いてもいいか?」

 アーレンも痛くないのね。よかった……

「うん……アーレンの、好きにして」

 キスが降ってきた。
 舌を絡めて吸われると、気持ちよくて下腹部にきゅっと力が入ってアーレンの分身を締めつけてしまい、アーレンは息をつめて眉間に寄った皺を深くした。

「最初はゆっくり動くから……痛かったり辛かったりしたら、言ってくれ」

 アーレンは言葉の通り、ゆっくりと律動を開始した。
 痛くはないにしても、異物感がすごい。
 必死でアーレンにしがみついていると、不意打ちでぺろりと耳朶を舐められた。

「あっ……!」

 ぞくっとして体が跳ね、またアーレンの分身を締めつけてしまうと、耳元でアーレンが苦し気な呻き声を漏らした。

「ご、ごめんなさい、痛かった?」

 咄嗟に謝った私に、アーレンは苦笑した。

「痛くないよ。謝ることなんかない。女性の体は、感じるとそこが締まるようになってるんだ。きみが俺で感じてくれるのは、とても嬉しい。いくらでも締めつけていいんだよ。その方が俺も気持ちいい」
「そう、なの?」

 知らなかった……初めてなわけじゃないのに。
 おばあちゃんもこういったことは教えてくれなかった。

「ナディアはとても物知りなのに、閨事のことはあまり知らないんだな。そんなところも可愛い……大丈夫だ、これから俺が全部教えてあげるからな」

 私は戸惑うばかりだが、アーレンはとても嬉しそうだ。
 
「続けるよ。全部俺に任せて」

 またキスをして、アーレンは律動を再開した。
 その呻き声も表情も苦しそうにしか見えないのに、どうやら気持ちよくてそうなっているらしいということがやっと私にもわかった。

 アーレンが抱いているのは私で、私でアーレンは気持ちよくなっている。
 そう思うと、私は胸がいっぱいになってしまった。

 アーレンの腰使いが次第に激しくなっていく。
 室内に二人の熱い息づかいと、じゅぶじゅぶという恥ずかしい水音と、体がぶつかり合う音が響いている。
 やがて繋がった部分から、私は異物感以外の感覚を拾い始めると、自然と声が漏れるようになった。

「あっ……はぁ、は……や、ん、ああっ」

 恥ずかしくて手で口を塞ごうとしたのに、アーレンはそれを許してくれなかった。

「声を抑えなくていい。もっと聞かせてくれ」
「でも、やだ、恥ずかしい」
「防音結界があるから、外には聞こえない」
 
 この声を聞けるのは俺だけだ、と言いながら律動はさらに激しさを増してゆく。

 痛みでも異物感でも圧迫感でもない。
 花芯で感じたのとは違うが、これもきっと快楽なのだ。
 だって、さっきからさらにアーレンを締めつけてしまうのが止められないでいる。

「や、もう、ああっ、また、なにかきちゃうっ!」
「イきそうなのか?我慢せずイったらいい」
「わかんない、あああっ、も、無理ぃっ!」
「ああ、俺も、もうすぐだ」

 奥を穿たれながら耳に熱い吐息を吹き込まれるともうなにも考えられなくなってしまう。

「あああああっ!」

 体を突き抜けるような激しい快楽で頭が真っ白になり、嬌声を上げてのけ反った。
 びくびくと体が痙攣するのにあわせ、膣が勝手に収縮してアーレンを強く締めつけた。
 
「……う……くっ」

 アーレンは一際強く私の奥を穿つと、そこで爆ぜた。
 熱い飛沫が何度も吐き出され、私の体は歓喜に震えながらそれを吞みこんでいるようだった。

 必死でしがみついていた私の腕から力が抜けて、寝台の上にずるりと落ちた。

「アーレン……」

 私はちゃんとできた?気持ちよかった?こんな私でも満足してくれた?

 訊きたいことはたくさんあったのに、もう瞼が持ち上がらず意識が遠のいていく。

「おやすみ、俺のナディア」

 最後にアーレンがそう言ってキスをしてくれた記憶を最後に、私は眠りに落ちた。
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