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⑤ きみは誰だ?
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翌朝起きて顔を洗っていると、昨夜のメイドがドレスや化粧品などを持ってきてくれた。
深緑色のデイドレスは、私が昨日着ていた夜会用の派手な赤いドレスとは違い、コルセットで腹部を締めつける必要もなく、シンプルで動きやすそうなデザインになっている。
地味といえば地味な色だが、私の髪と瞳の色にあわせて選んでくれたのだと思う。
着てみると少し肩回りがブカブカするが、これくらいは許容範囲だ。
化粧品は、これまたどう見てもこのメイドの私物だ。
申し訳ないがすっぴんでいるわけにもいかないので、白粉と頬紅を少しだけ使わせてもらった。
身支度をしている間に、メイドは朝食を運んできてくれた。
テーブルに並べられたのは、刻んだ野菜がはいったオムレツ、ジャムが添えられた丸くて小さいパン、葉野菜のサラダ、ポタージュスープ、食べやすいように切られたオレンジだった。
いい匂いが漂い、私のお腹がぐぅと鳴りそうになった。
「お嬢様の好みがわかりませんでしたので、一般的なメニューにしてあります」
「ありがとう。どれも美味しそうだわ」
きれいに盛りつけられた料理は、見た目通りとても美味しかった。
「この卵も野菜も、すごく味が濃いわ。
新鮮なだけでなくて、王都で手に入るものよりも質がいいのね」
「ここは田舎ですから。
食材はこの近辺で採れたものばかりです」
素直な感想を口にすると、メイドが少し嬉しそうに応えてくれた。
食事が終わると、さてこれからどうしようとなった。
「辺境伯様にお話をしておかなければならないことがあるのだけど……お会いできるかしら?」
「旦那様は午前中は執務をなさっていることが多いので、午後からの方が面会予約がとりつけやすいかと」
「そうなのね。なら、午後からということで予約をお願いできる?」
「かしこまりました」
ということは、午前中は私はすることがない。
どうしようかと思いながら、私はふと窓の外に目を向けた。
「お庭に出てみてもいいかしら」
屋敷の中を探検してみたいところではあるが、まだ私がここでどういう扱いになるかがはっきりしていない。
中途半端な部外者が歩き回るのは気が引ける。
だが、庭の散策くらいなら大丈夫だろうと思ったのだ。
きっと、王都にはない植物もたくさんあるのではないだろうか。
「旦那様からは、自由にしていただくようにと仰せつかっております。
ただし、私が傍に控えさせていただきます」
もちろん、拒否するつもりはない。
慣れない場所だから、誰かがついていてくれないと迷子になってしまうかもしれないのだから。
私はメイドに連れられ、屋敷の外に出た。
昨夜は暗かったからよく見えなかったが、外から見ると古く重厚な造りの屋敷だということがわかる。
土地が広いということもあってか、王都で私が住んでいたアシュビー侯爵家の屋敷より大きい。
マクドゥーガル辺境伯家も、ホールデン王国の建国時からの歴史ある家柄なのだ。
おそらく庭もかなり広いのではないだろうか。
王都では、貴族の屋敷の庭には色とりどりの花が咲き誇っているのが普通だが、ここにはそういったものはなさそうだ。
その代わりに木がたくさん植えてあり、その間に小路が通してある。
小路を歩いてみると、自然の森の中にいるような感じがした。
どこまでが庭なのだろう?
もしかして、このまま森に続いているのだろうか?
メイドも後ろをついてきているし、小路から外れなければ大丈夫だろうとそのまま歩いていると、前方の茂みがガサガサと揺れた。
誰かいるのだろうかと思ったら、ひょこっと大きな獣が顔を出した。
白い首、金色の瞳、黒い前脚、茶色の下半身。
見覚えのあるグリフォンだ。
「……ロニー?」
「クエ」
教えてもらった名を呼ぶと、返事をしてくれた。
ロニーはとことこと近寄ってきて、昨日と同じように私の匂いを嗅ぎ、縦ロールでなくなった金髪を軽く引っ張った。
長い金髪が珍しいのだろうか。
「昨日は乗せてくれてありがとうね。助かったわ」
「クエ」
「柔らかそうな羽毛をしているのね。少し触ってみてもいい?」
いいよ、というようにロニーは頭を差し出してきたので、そっとその白い羽毛に触れてみた。
「……すごい……最高の手触りだわ」
侯爵家の令嬢で王太子殿下の婚約者だった私は、最高級の絹やベルベットでできたドレスをたくさん持っていた。
だが、そのどれもがロニーの羽毛の手触りには敵わない。
戦場では勇猛果敢で、敵を容赦なく爪や嘴で引き裂くというグリフォンの羽毛が、こんなにも柔らかいなんて。
グリフォンの羽毛は魔法具の素材としても珍重されている。
王都でも高値で取引されていることは知っていたが、こうして触れるのは始めてなのだ。
しばらく撫でていると、ロニーは頭をぐいっと私の胸に押しつけてきた。
どうやら、私に甘えているらしい。
両腕で大きな頭を抱えるようにして、ついでに頬を羽毛に埋めてみた。
やっぱり、とても気持ちいい。
ロニーも気持ちいのか、金色の瞳を細めた。
それがなんとも可愛くて、頬を緩めて撫でまわしていると、
「きみは……誰だ?」
後ろから、低い男性の声がした。
振り返ると、辺境伯様が榛色の瞳を大きく見開いて私とロニーを見ていた。
「おはようございます、辺境伯様」
私はロニーから離れ、優雅にカーテシーをした。
「ま、まさか……きみは……」
「エメラインですわ」
にっこりと笑って見せると、彼は困惑の表情を浮かべた。
それも無理はないと思う。
「本当に、エメライン嬢なのか? 声も、髪の色も、同じではあるが……」
「顔と印象が違う、とおっしゃりたいのでしょう?」
彼は素直に頷いた。少し離れたところに控えいるメイドも頷いた。
「辺境伯様とお話をしなくてはいけないことがたくさんございます。
この容姿のことも、きちんとご説明いたしますので、お時間をいただけませんか?」
「ああ、もちろんだ。
俺もきみとは話をしないといけないと思っていた」
彼も、私のことを気にかけてくれていたのだ。
とても嬉しい。
「では早速、サロンに行こう。
こういうことは早いほうがいい」
目の前に大きな手が差し出された。
「私は構いませんけど……辺境伯様は、お忙しいのではありませんか?」
「急ぎの仕事は昨日のうちに片づけた。
今はきみの処遇をはっきりさせることが最優先だ。
そうしないと、きみも落ち着かないだろう」
それはそうだ。
私だけでなく、マクドゥーガル辺境伯家の全員が落ち着かないと思う。
「お気遣いありがとうございます、辺境伯様」
私は頬を染めながら、褐色の大きな手に自分の手を重ねた。
深緑色のデイドレスは、私が昨日着ていた夜会用の派手な赤いドレスとは違い、コルセットで腹部を締めつける必要もなく、シンプルで動きやすそうなデザインになっている。
地味といえば地味な色だが、私の髪と瞳の色にあわせて選んでくれたのだと思う。
着てみると少し肩回りがブカブカするが、これくらいは許容範囲だ。
化粧品は、これまたどう見てもこのメイドの私物だ。
申し訳ないがすっぴんでいるわけにもいかないので、白粉と頬紅を少しだけ使わせてもらった。
身支度をしている間に、メイドは朝食を運んできてくれた。
テーブルに並べられたのは、刻んだ野菜がはいったオムレツ、ジャムが添えられた丸くて小さいパン、葉野菜のサラダ、ポタージュスープ、食べやすいように切られたオレンジだった。
いい匂いが漂い、私のお腹がぐぅと鳴りそうになった。
「お嬢様の好みがわかりませんでしたので、一般的なメニューにしてあります」
「ありがとう。どれも美味しそうだわ」
きれいに盛りつけられた料理は、見た目通りとても美味しかった。
「この卵も野菜も、すごく味が濃いわ。
新鮮なだけでなくて、王都で手に入るものよりも質がいいのね」
「ここは田舎ですから。
食材はこの近辺で採れたものばかりです」
素直な感想を口にすると、メイドが少し嬉しそうに応えてくれた。
食事が終わると、さてこれからどうしようとなった。
「辺境伯様にお話をしておかなければならないことがあるのだけど……お会いできるかしら?」
「旦那様は午前中は執務をなさっていることが多いので、午後からの方が面会予約がとりつけやすいかと」
「そうなのね。なら、午後からということで予約をお願いできる?」
「かしこまりました」
ということは、午前中は私はすることがない。
どうしようかと思いながら、私はふと窓の外に目を向けた。
「お庭に出てみてもいいかしら」
屋敷の中を探検してみたいところではあるが、まだ私がここでどういう扱いになるかがはっきりしていない。
中途半端な部外者が歩き回るのは気が引ける。
だが、庭の散策くらいなら大丈夫だろうと思ったのだ。
きっと、王都にはない植物もたくさんあるのではないだろうか。
「旦那様からは、自由にしていただくようにと仰せつかっております。
ただし、私が傍に控えさせていただきます」
もちろん、拒否するつもりはない。
慣れない場所だから、誰かがついていてくれないと迷子になってしまうかもしれないのだから。
私はメイドに連れられ、屋敷の外に出た。
昨夜は暗かったからよく見えなかったが、外から見ると古く重厚な造りの屋敷だということがわかる。
土地が広いということもあってか、王都で私が住んでいたアシュビー侯爵家の屋敷より大きい。
マクドゥーガル辺境伯家も、ホールデン王国の建国時からの歴史ある家柄なのだ。
おそらく庭もかなり広いのではないだろうか。
王都では、貴族の屋敷の庭には色とりどりの花が咲き誇っているのが普通だが、ここにはそういったものはなさそうだ。
その代わりに木がたくさん植えてあり、その間に小路が通してある。
小路を歩いてみると、自然の森の中にいるような感じがした。
どこまでが庭なのだろう?
もしかして、このまま森に続いているのだろうか?
メイドも後ろをついてきているし、小路から外れなければ大丈夫だろうとそのまま歩いていると、前方の茂みがガサガサと揺れた。
誰かいるのだろうかと思ったら、ひょこっと大きな獣が顔を出した。
白い首、金色の瞳、黒い前脚、茶色の下半身。
見覚えのあるグリフォンだ。
「……ロニー?」
「クエ」
教えてもらった名を呼ぶと、返事をしてくれた。
ロニーはとことこと近寄ってきて、昨日と同じように私の匂いを嗅ぎ、縦ロールでなくなった金髪を軽く引っ張った。
長い金髪が珍しいのだろうか。
「昨日は乗せてくれてありがとうね。助かったわ」
「クエ」
「柔らかそうな羽毛をしているのね。少し触ってみてもいい?」
いいよ、というようにロニーは頭を差し出してきたので、そっとその白い羽毛に触れてみた。
「……すごい……最高の手触りだわ」
侯爵家の令嬢で王太子殿下の婚約者だった私は、最高級の絹やベルベットでできたドレスをたくさん持っていた。
だが、そのどれもがロニーの羽毛の手触りには敵わない。
戦場では勇猛果敢で、敵を容赦なく爪や嘴で引き裂くというグリフォンの羽毛が、こんなにも柔らかいなんて。
グリフォンの羽毛は魔法具の素材としても珍重されている。
王都でも高値で取引されていることは知っていたが、こうして触れるのは始めてなのだ。
しばらく撫でていると、ロニーは頭をぐいっと私の胸に押しつけてきた。
どうやら、私に甘えているらしい。
両腕で大きな頭を抱えるようにして、ついでに頬を羽毛に埋めてみた。
やっぱり、とても気持ちいい。
ロニーも気持ちいのか、金色の瞳を細めた。
それがなんとも可愛くて、頬を緩めて撫でまわしていると、
「きみは……誰だ?」
後ろから、低い男性の声がした。
振り返ると、辺境伯様が榛色の瞳を大きく見開いて私とロニーを見ていた。
「おはようございます、辺境伯様」
私はロニーから離れ、優雅にカーテシーをした。
「ま、まさか……きみは……」
「エメラインですわ」
にっこりと笑って見せると、彼は困惑の表情を浮かべた。
それも無理はないと思う。
「本当に、エメライン嬢なのか? 声も、髪の色も、同じではあるが……」
「顔と印象が違う、とおっしゃりたいのでしょう?」
彼は素直に頷いた。少し離れたところに控えいるメイドも頷いた。
「辺境伯様とお話をしなくてはいけないことがたくさんございます。
この容姿のことも、きちんとご説明いたしますので、お時間をいただけませんか?」
「ああ、もちろんだ。
俺もきみとは話をしないといけないと思っていた」
彼も、私のことを気にかけてくれていたのだ。
とても嬉しい。
「では早速、サロンに行こう。
こういうことは早いほうがいい」
目の前に大きな手が差し出された。
「私は構いませんけど……辺境伯様は、お忙しいのではありませんか?」
「急ぎの仕事は昨日のうちに片づけた。
今はきみの処遇をはっきりさせることが最優先だ。
そうしないと、きみも落ち着かないだろう」
それはそうだ。
私だけでなく、マクドゥーガル辺境伯家の全員が落ち着かないと思う。
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