婚約者を選ぶことができるみたいです

ドロリフ公爵家のアマデオの場合

小さい頃から優秀な魔術師として将来を熱望されていた俺には、女の子がいつもいっぱい周りにいた。わかりやすく媚びる彼女達は愛らしく慈しむべきものと母から教わった。丁寧に優しく扱うと、すぐに舞い上がっている彼女達だったが、他の男性には冷たかった。そう、顔のいい優秀な男には甘い顔をして、ぱっとしない男には蔑んだ眼をする。初めの頃はそんなことが当たり前で、選ばれる俺も優越感をもっていた。が、学園で俺と話しても全くなびかない女がいた。金髪のウェーブが美しく、眼を引く美人で人気があった。そして彼女はいろんな人間と仲がよく、身分の低いパッとしない男とも普通に授業でペアになるし、その時の態度は俺と全く変わらなかった。それが面白くなかった。
　頑張って口説こうと手を回したが、あの図書館昆虫オタクのフランソワと一緒にいた方が楽しそうだった。それを見た周りの女達は彼女を馬鹿にして、彼女に俺は似合わないと媚びる。
しかし、徐々にそんな彼女たちに蔑みを覚えていった。そしてどんな人間にも丁寧に接する彼女のことに惹かれていることに気づく。
馬鹿にしていたフランソワがカッコよくなり、イケメンになって俺と同じような態度をとる女達をみてますます彼女にのめり込んでいた。
周りの男より俺は女を知っている。サラ、お前を満足させることだってできる。彼女のこを知りたくて、口説き文句の演劇の話より難しい魔術の話を聞きたがる彼女のおいそしうな頬に口付けたとき、真っ赤になった彼女のスキをみてますます俺のものにしたくなる。あぁ、これが恋なのかと思い他の女の子たちの気持ちもわかった。でも、やはり彼女がいい。彼女のスキをみては抱きしめて胸の間やみみたぶの匂いを嗅ぐんだ。他の男にとられないように俺の香りを落としていく。その度に悔しそうな顔をする周りの男たちと出し抜くように彼女をとりあっている。