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ラモラル公爵家のフランソワの場合

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青色の髪で地味だった俺は図書館によく籠っていた。見たこともない国のことを知ることが好きだった。人見知りで、何を話せばいいのかわからなくなるから、昔から顔あわせした令嬢から蔑む視線を感じていた。小さい女の子は無邪気に人を傷つける。暗い、つまらない、なにはなしてるかわからないと最初は目の前で、徐々に陰で言われた。だから学園にいくことになり、女の子と話すのが怖かった。そんな時天使のような女の子に会う。こんな難しい国の本を読めるの??!と食いついてきた彼女はサラ、あまりの美しさにドギマギして声も出せなかった。ごめんねって寂しそうな顔をさせてしまったけど、図書館で会うと笑顔で手を振って挨拶してくれた。徐々に彼女慣れていった俺は、他の大人にも何を言ってるかわからないと言われた話をしてもにこにこ的確に話を繋げてくれる彼女と話すのがとても楽しかった。実際に観に行きましょうと、外に連れ出してくれた。一緒に青色の美しい蝶を見た時、感動して泣いてしまったことを覚えてる。男なのに気まずくなったけど、彼女も感動して涙ぐんでいるのに気づいて胸があたたかくなった。そして俺は気づく、彼女はとても美しくいろんな男性に慕われていることを。いつも余裕の笑みで壁があるが俺にはなかった。他の男にとられないように手をいつも繋いでいた。でも、俺はみてしまった。俺や彼女のスキをついてキスをされた彼女の真っ赤な表情。俺はあんな顔をさせられない。それから活動的になっていた俺は筋肉もつき、人見知りもなくなった。身だしなみも整えるようになった。彼女に素敵ねって言われるのが嬉しくて。それに伴って他の女の子からアプローチもされるようになった。後輩のあどけない女の子からラブレターをもらって嬉しい気持ちになる。
 それでも、俺は彼女を諦めたくなかった。年頃になって胸の膨らみも出てきた彼女にちょっかいを出す男が多く、俺も婚約者でもないが手を繋いで牽制していた。彼女も恥ずかしそうにしながら、一緒にいてくれた。彼女が俺の全てだった。
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