8分間のパピリオ

横田コネクタ

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9.欠けたピース

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「実験の参加資格を剥奪します」

 佐藤主任は少し残念そうに唇を噛んだ。僕ら4人は蒲生里大学病院に居た。5階の会議室にはデスクが並んでいて、そのうちの1つにベイリー所長が腰掛けている。彼は腕を組んで、部屋を出入りするスタッフを眺めていた。

 僕らは前回の掃討実験についての聴取を受けるため、ここへ呼び出された。招集の連絡が来たとき、てっきり東京の日本支部へ行くことになるのだと思っていたのだが、指定された場所は大学のキャンパスからほど近いこの病院だった。所長たちは数日前にこちらへ来たらしい。理由はわからなかったが、なにか物々しい空気感を察した。

「確かに軽率な行動であったことは自覚してますし、反省もしています。ですが、理由がわかりません」

 マドカが佐藤主任に詰め寄る。マドカの小さな額には汗が光っていた。小刻みに震えている。マドカは学園祭の日にあったことを、細大漏らさず伝えた。その報告が終わった直後、資格の剥奪が伝えられた。報告の内容などはなから興味がなかったように。その通告は既に決まっていたようだった。それが納得いかない。4人ともそうだった。

「これを観なさい。ネットで見つけたわ」

 佐藤主任がタブレット端末を示す。そこにはあの日の動画が流れていた。観覧者たちには動画撮影禁止の旨を伝えていたはずだが、誰かがこっそり撮影していたらしい。佐藤主任はとあるポイントで動画を停止した。画面には、談笑する僕らとOBの姿が映し出されている。

「この男に見覚えは?」

 佐藤主任が画面の中の1人の男性を指差す。“見覚え”なんてあるに決まっている。操縦研OBの山下先輩。僕の進路について相談に乗ってくれた彼だ。「うちの会社に来ないか」と確か言われた。彼に何か問題があるのか。華山先輩が何かを察したように、ため息をついた。

「彼はヤウラウ社の渉外担当者です。ヤウラウ社との接触があった以上、実験参加資格を取り上げるしかないというのが、上の決定です」

 そんなことは知らなかった。そもそもヤウラウ社と接触するな、など言われた覚えはなかったし、相手がヤウラウ社の人間だと知っていて話していたわけではない。僕はただの先輩として話していたわけだし、会話の内容もヤウラウ社の“ヤ”の字も出て来なかった。あまりに理不尽な理由だったので、さすがに頭にきた。ヨウジロウが舌打ちをして、佐藤主任の方向へ1歩にじり寄る。

「佐藤を責めないでやってくれないか。……すまない」

 ベイリー所長が目をつぶったまま言った。いつもより低い声が会議室に響く。まぶたを開いた向こうにあった両の目は、悲しげで憂いを帯びている。彼は自分に力がなかったことを詫びた。研究者として業績を上げ、この地位までたどり着いたものの、残念ながら政治的な力はないのだと語る。

 怒りは収まらなかったが、佐藤主任もベイリー所長も意気消沈していて、怒りの矛先とする気にはならない。2人が悪い人ではないことを知っている。僕らは貸与されていたIDカードを机に置くと、辞する旨を伝えて部屋を後にしようとした。ベイリー所長がそれを止める。

「石立くん、この前の宿題の件だが……」

「……もう掃討実験と僕らに関係はありませんから」

「待ってくれ!」

 ベイリー所長はデスクから立ち上がって、叫んだ。らしくない。振り返って目に入った彼の表情はまるで痛みを堪えるように歪んでいた。

「助けてくれ。僕には君からのヒントが必要だ」

 ベイリー所長の言葉はどこか狂気じみていて、僕は嫌だとは言えなかった。操縦研の3人の顔を一瞥すると、僕と同様困惑していた。開けかけていたドアを閉めて、椅子に腰掛けた。
 ベイリー所長は青いハンカチで汗を拭くと長く息を吐いたのち、蒲生里へとやってきた理由を語り出した。佐藤主任も今回ばかりはベイリー所長の暴走を止めようとはしない。2人とも疲れ果てている。

「ソレウス構造体による寄生の事案が、ここ蒲生里に集中している」と彼は言った。前回、彼が言ったように、ソレウス構造体の出現地には徐々に偏りが生じていたのだが、ここ1週間ほどで、指数関数的にその出現範囲の変化のスピードが増し、蒲生里を含む半径15キロの範囲に収束しだしたらしい。他の地域(日本に限らず世界中)で、ソレウス構造体に寄生される新たな患者数は段々と減っていき、とうとうなくなった。

 東京の支部にスタッフの一部を残し、ここ蒲生里に組織を移管、暫定的に大学病院を本部とすることになった。なぜ、こんな片田舎に発生分布が収束し始めたのか。ベイリー所長にはその理由がわからない。しかし、目の前の天才にさえ検討のつかないものが、僕に分かるわけがあろうか。

 ソレウス構造体は謎が多い。そもそもその発生原因がわかっていない。ソレウス構造体は生物未満の有機構造体ではあるが、彼らは彼らなりになにか理由があって人間に寄生しているはずだった。生物は自分の遺伝子を未来に残すために生きている。無性生殖をするもの。単為生殖をするもの。接合によって生殖するもの。ウイルスは細胞を有しないため“生物ではない”とされるが、彼らは他の生物の細胞を利用し、自らの遺伝子を複製、増殖する。ウイルスもそういう点では、生物と同じ理由で生きている。ソレウス構造体も同じはずだ。

 ソレウス構造体は寄生すると、患者の細胞を悪性化させる。その細胞の中にはソレウス構造体の遺伝情報が埋め込まれる。しかし、ソレウス構造体がウイルスと同じ理由で細胞に遺伝子を埋め込んでいるのかというと、そこがはっきりしない。悪性化した細胞から新たなソレウス構造体が生まれたというケースは一度も確認されていなかった。悪性細胞に侵された患者は身体が動かなくなる。それだけ。

 なぜソレウス構造体は自分の遺伝子を埋め込むだけで、それ以上の行動を見せないのか。患者は死なない。ソレウス構造体は細胞を借りて、自己複製を行わない。ただ、動けない人間を増やすだけ。ソレウス構造体が寄生する理由。それを考察するにはなにかひとつ、重要なピースが足りないのだ。おそらくそのピースが見つからない以上、誰にもわからない。小さなピース1つ。

 いや、小さなピースではないのかもしれない。なにかもっと巨視的な視点で。ピースが嵌るはずの穴をただ眺めていても、全体像は見えない。俯瞰して見ろ。パズルの全体を俯瞰して見れば、たったひとつピースが足りなくとも、完成図の予想はつくはずだ。

 考えろ。僕は頭をフル回転させる。ソレウス構造体。発生の分布。偏り。動けない患者。寄生生物。生殖と増殖……。

 周りから入ってくる情報の全てをシャットダウンして、僕は考えていた。その思考を邪魔するように突然、叫び声が上がった。

「……マドカ!?」

 華山先輩がしゃがみこんだ。その先には目を見開き、青白い顔をしたマドカが倒れている。マドカの手はおかしな方向に硬直し、身体が小刻みに痙攣している。佐藤主任が駆け寄り、状況を確認すると、すぐさま内線をかける。まさか。ヨウジロウがマドカを抱いた。目からは動揺が感じられた。すぐに医療スタッフが到着し、マドカを担架に乗せて、会議室を出て行った。

 華山先輩が叫ぶ。ヨウジロウが担架とともに部屋を飛び出した。僕は、何もできずにただ立っていた。



 夜になった。ヨウジロウと華山先輩と僕の3人は、大学キャンパスのすぐ隣にある学生寮にいた。ヨウジロウの部屋は3人がやっと入れるほどの狭さではあったが、綺麗に整頓されていて、窮屈には感じない。ヨウジロウがベッドに腰掛け俯いている。タバコの箱を強く握ってはいるが、吸う気配はない。ジッポーライターはローテーブルの端に鎮座したまま。華山先輩は膝を抱えて壁際に持たれていた。

 マドカはソレウス構造体に寄生されていた。思い返してみると、このところマドカは体調が優れていない様子だった。本人はただの夏風邪であると言っていたが。それにしても進行が速すぎる。詳細な結果が出るには数日かかるそうだが、診察した医師の所感は「十中八九、ソレウス構造体の寄生」とのことだった。身体の様子から細胞の悪性化はかなり進んでいて、来週にもソレウス構造体の掃討にかからなければならないらしい。

 虚しい。僕らはソレウス構造体の掃討実験に全てをかけてきた。顔も知らない誰かの生命を謳歌する権利を取り戻すため。しかしこれだけ頑張ってきたのに、身近な、そして大切な人が苦しんでいるときに、助けることができないのだ。今までやってきたことが全て無意味だったように思えてきて、悔しかった。きっとどこかの参加チームが助けてくれるだろう。そう考えようとしたのだけれど、できなかった。

 絶対に助けられる実力と自信があるのに、その機会は決して与えられることはない。

「マドカを救うのは、私たちじゃないとダメだと思う」

 そう言ったのは華山先輩だった。先輩はいつの間にか顔を上げていて、何かを眺めている。机の上の写真立てだった。操縦研の4人で撮った写真。ヨウジロウは写真なんて飾るような奴じゃないと思っていたから意外だった。掃討実験参加資格を獲得し、初めて揃って東京へ行った日、ついでに寄ったスカイツリーで撮った記念写真。真ん中でマドカが笑っている。やっぱりマドカは笑っている方がいいなと思う。またあの笑顔が見たい。

「……やりましょう」

 ヨウジロウが呟いた。ようやく潰れたボックスからタバコを1本取り出し、火をつけた。僕も同じ気持ちだった。段々と決意が固まりだす。しかし、僕らにはもう掃討実験の参加資格はない。ヨウジロウが僕の考えを察したようだ。ヨウジロウが僕に紫煙を吹きかける。鼻の内部がひりつく。何か考えがあるようだ。

「マドカの掃討実験の日にソ対機のネットワークをハッキングする」

 嫌な予感は的中した。まあそれしかないだろうと腹は括っていた。でもどうやってそんなことができるのだろう。ヨウジロウはタバコを咥えたまま、ポケットから1枚のカードを取り出した。見覚えのあるプラスチックのカードは、ソ対機から与えられ、先程返還したはずのIDカードだった。ローテーブルに投げ、笑う。

「ゲストカードだよ。東京に行った時、くすねておいた。返せ、とは言われなかったからな」

 僕はあの日の出来事を思い出す。ソ対機内部へ入るときヨウジロウのIDカードだけが反応せず、警備員から渡されたゲストカードで入場していた。返している姿を見たかと振り返って見たが、確かに返していない。

「外からのハッキングは無理だ。でも中からなら、……多分いける」

 成功率は低いだろう。まずゲストカードが使えるのかわからない。次にソ対機内のコンピュータにアクセスできるかがわからない。そして、ハッキング。いくらヨウジロウがコンピュータに精通しているからといって、そんなことできるのか。乗り越えなければならないハードルが多すぎる。

 でもこれしかない。資格を剥奪された以上、ソ対機から情報は得られない。マドカの掃討実験を行なうことになるチームに接触は不可能だった。日本国外のチームが担当する可能性もある。どこの誰が実験に参加するかなんて検討もつかなかった。参加するのが、僕らみたいに学園祭で実験するなんていうバカなチームでない限り。

「……決まりでいいですか」

 僕は華山先輩に尋ねた。先輩が頷く。

「じゃあ作戦会議をしましょう」

 僕のその言葉がきっかけだったようにヨウジロウがノートPCを起動した。ファンが唸りだす。



 それから僕らは毎日シミュレーションを重ねた。重ねるほどの内容はないのだけれど。

 段取りはこうだ。ヨウジロウは部室で待機。ハッキングが完了次第、部室のコンピュータとソ対機のコンピュータを繋ぎ、仮想フィールド構築にかかる。華山先輩はアクションフィールドを構築し、掃討実験開始に備える。1番重要な役割を担うのが僕だ。ゲストカードで蒲生里大学病院の暫定支部に侵入。ヨウジロウから渡されたUSB接続方式のマイクロコントローラーを使ってコンピュータをハッキングする。

 うまくいけば1分程度で完了するはず。単純明快。3人の役割を考えれば、僕が不法侵入をすることになるのは必然だった。断るつもりなんてなかった。むしろ自分から進んで引き受けた。悪いことだと自覚している。でも部長がやらなくて誰がやる。

 医者から告げられたマドカの状態はかなり深刻だった。若いと進行が速いとは言われていたが、そのレベルではない。しかも、蒲生里地域の発症者の数は着実に増えていて、彼らの進行スピードも同様に速かった。

 一方で日本国外では新たな患者数が完全にゼロになった。ソ対機からの情報はなくても、ネットのニュースサイトなんかで報道されるほど周知されている。新たな発生数がゼロになったことで掃討実験が進んだ。

 不思議なのは既に寄生されていた人々の分布だ。蒲生里を中心として、そこから離れれば離れるほど患者の数が減っていく。

 掃討実験の進度は地域によらず一定であったので、同じペースで進んでいたのならば、患者の分布に偏りが出るはずがない。まるで予め掃討されるのを見越して、ソレウス構造体が発生していたようだった。蒲生里周辺で新たな患者が増えていることを考慮しても、あまりにも出来すぎている。

 綺麗な同心円。普通の病原体の発生とは真逆だ。一点から発生し、そこを中心として徐々に広がっていく既存のウイルスや細菌に対し、世界中で同時多発的に発生し、一点に収束していくソレウス構造体。

 未だにソレウス構造体の謎は解けずにいた。そんなことを考えている暇もなかったけれど。ソレウス構造体の謎を解くためのピースを探している最中、マドカという大切なピースが欠けてしまった。

 どちらが大事かなんてのは言わずもがなだった。ソレウス構造体が何者かなんてことがわからなくたって、倒しゃ、終いだ。勝てばいい。それだけ。

 何度か見舞いに行った。病院の個室で寝ているマドカは穏やかな表情だった。身体は動かなくなっても、大脳は活発に機能しているらしい。ソレウス構造体に寄生された患者の脳は起きているとき以上にフル回転していると言われる。学者の中には、「人間の尊厳は“思考”にこそある。だから身体が動かなくなっても、脳が活発に動いているのだから悲観することはない」なんてふざけたことを言う奴がいる。

 僕はそう思わない。外との繋がりを通して、人間は構築されていく。自分の足で歩き、無限の奥行きを持つ景色を眺め、空間に満たされた音や匂いを感じ、寄り添う人の手の温もりを感じる。それが人間らしい生き方。液体で満たされたガラス管の中に浮かぶ脳みそ。そんなものに僕はなりたくない。

 声をかける。手を握る。でもマドカは反応しない。悲しかった。

 ある日、1人で病室を訪ねた。先客がいた。ヨウジロウだった。ヨウジロウは泣いていた。声を殺さず、顔が歪むのも気にせず。マドカの頬に手を添え、もう片方の手は溢れる涙をぬぐい続ける。見ていられなかった。ヨウジロウはアホだと思う。なんで自分の思いを素直に伝えなかったのか。そんなことはヨウジロウが一番分かってるだろうけど。やっぱりアホだ。

 物音を立てないように、ゆっくり病室の戸を閉めた。日を改めて病室に行くと、あの写真立てが枕元に置いてあった。



 日に日に夕焼けが鮮やかになってきた。今年始めて成虫のオオカマキリを見つけた。秋がそこまで迫っているのを感じる。そしてマドカの掃討実験の日が来た。

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