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正典の謎
アイリーン・アドラー
短編『ボヘミアの醜聞』でホームズを出し抜いた人物として登場する、唯一ホームズが認めた女性こそがアイリーン・アドラーです。
アドラーはこの『ボヘミアの醜聞』のみの登場ですが、ホームズが認めたということもあってシャーロキアンの研究対象であり、パスティーシュなどでもたびたび登場します。
私は『名探偵コナン』から推理小説にハマったのですが、『名探偵コナン』の作中ではアドラーのことが言及されています。なのでアドラーは正典で、ワトスン同様にレギュラーの登場人物だと思っていました(笑)。
ただし、短編『青いガーネット』や短編『花婿失踪事件』、短編『オレンジの種五つ』、短編『最後の挨拶』などでアドラーは言及はされています
【ホームズの報酬】
この事件の報酬は『ボヘミアの醜聞』ではアドラーの写真と結婚立会人としての礼金であるソヴリン金貨だけしか言及されていませんが、後に『花婿失踪事件』で記念品としてボヘミア国王から金の嗅ぎ煙草入れを貰っていたと言及されています。
また、『ボヘミアの醜聞』ではホームズは捜査費用として白紙の小切手、金貨で300ポンド、紙幣で700ポンドを受け取っていますが、日本シャーロック・ホームズ・クラブ会員である翠川こかげさんは『 経堂の預り金なら、使った分を清算して返却したことだろう。』と言っています。
【モデル】
アドラーのモデルについては様々な説があり、シャーロキアンらはアドラーのモデルを探すために懸命となっています。
アドラーについては『ボヘミアの醜聞』で大まかな言及があり、そこにはアドラーは1858年米国ニュージャージーの生まれらしく、最低女声音歌手でワルシャワ帝室オペラのプリマドンナ、歌劇壇引退をしています。そして何より、ロンドン在住です。
シャーロック・ホームズ・クラブの紀要委員会が発行するシャーロキアンの論文集である『シャーロック・ホームズ紀要』の第六巻第一号に発表された橘牧子さんの論文『アイリーン・アドラーその正体』にて、十九世紀後半に活躍したプリマドンナを調べ上げてアドラーのモデルとしてオペラ歌手・リリアン・ノルディカを挙げているようです。
その理由はアメリカ出身のプリマドンナであり、生誕は1859年なのでアドラーと一年程度しか変わりません。また、イギリスで歌った後にミラノに留学してデビュー。舞台で男装の経験があり、何より有名でした。
アドラーは『ボヘミアの醜聞』で男装し、ホームズがベーカー街221Bの部屋に戻る際に『おやすみなさい、シャーロック・ホームズさん』などという挨拶をしました。
ノルディカの本名はノートンで、この名はアドラーの結婚相手の弁護士のものと同じなのです。
また、論文『アイリーン・アドラーその正体』で橘さんは、アドラーの経歴『ワルシャワでプリマドンナを務めた』ことを疑問に思っているようで、ワルシャワオペラは民族的色彩が強いらしく、依頼者・(自称)ボヘミア国王は『最後の挨拶』での会話から見てもドイツ関係の王侯に間違いはないがあえて明示しなかったのでは、と考えているらしいです。
アドラーは『ボヘミアの醜聞』で『The late Irene Adler』と書かれています。これは『故アイリーン・アドラー』という意味ですが、昔だと『旧姓』の意味もあります。
【嫁入り支度】
香里円さんは、アドラーについて面白いことをしています。
嫁入り支度に用意したリネン類をtrousseauと言うらしく、1862年3月号の月刊誌『英国婦人の家庭』誌に書かれる中流家庭を営む新婦がそろえたトルソーを香里さんはまとめています。
ちなみに、中流家庭は年収が400ポンド~600ポンドであり、現在の日本円に直すと約212万円~約3千180万円です。
話しを戻して、嫁入り支度に用意したトルソーを下に引用します。
『衣装・・・6枚のフランネルのベスト、身の回りの下着(12枚のシュミーズ、6枚のドロワーズ、4枚のフランネルの服用ペチコートなど)、12足の木綿の靴下、6着の絹の上下服、寝具(12着の寝間着、12個のナイトキャップ)1ダースのハンカチーフ、肩掛け、黒いレースの相掛け、12組の付け襟と付け袖、1枚の厚手の旅行用肩掛け、ペイズリー織りの肩掛け、白いレースの上下服、4着の冬用上下服、クリノリン3枚、クリノリンの下に着る 温かい綾織りのペチコート、シュミゼット(麻やモスリンでできた薄手の袖なしのブラウス。タック、フリルなどが付いていることが多い)。
結婚衣装、4枚の絹のドレス(うち1枚は黒、1枚は波模様の古風なドレス、2枚は温かい冬用ドレス)、2枚と凝った生地の上下服、4着の夏の朝用ドレス、1ダースのトルコ風上下服、8着の朝食用上下服、6着の台所用上下服、ペルリーヌ(ゆったりしたケープ)。
身の回り品など・・・雨傘1本、日傘2本 (布地はシルク、絹、アルバカなど。持ち手は象牙、真珠に凝った彫り物を施したもの。1870年から80年代には長い柄の両端に持ち手が付いたウォーキング・パラソルが流行した)、絹のマント、12個の長枕、6組の枕、6組の手袋、6ダースの部屋用タオル、頭飾り、18枚のトイレ掛け、8枚のテーブルクロス、4枚のサイドボードクロス、24枚のテーブルナプキン、長靴1足、靴1足、上履き1足、ガロッシュ (革製の防水用オーバーシューズ) 1足。』
当時の中流家庭は上のようなものを嫁入り支度として用意したようです。
アドラーの家はセントジョンズウッド区サーペンタイン広小路プライオニー荘ですが、翠川さんによるとどの建物なのか知る術はもはやないようです。
アドラーはこの『ボヘミアの醜聞』のみの登場ですが、ホームズが認めたということもあってシャーロキアンの研究対象であり、パスティーシュなどでもたびたび登場します。
私は『名探偵コナン』から推理小説にハマったのですが、『名探偵コナン』の作中ではアドラーのことが言及されています。なのでアドラーは正典で、ワトスン同様にレギュラーの登場人物だと思っていました(笑)。
ただし、短編『青いガーネット』や短編『花婿失踪事件』、短編『オレンジの種五つ』、短編『最後の挨拶』などでアドラーは言及はされています
【ホームズの報酬】
この事件の報酬は『ボヘミアの醜聞』ではアドラーの写真と結婚立会人としての礼金であるソヴリン金貨だけしか言及されていませんが、後に『花婿失踪事件』で記念品としてボヘミア国王から金の嗅ぎ煙草入れを貰っていたと言及されています。
また、『ボヘミアの醜聞』ではホームズは捜査費用として白紙の小切手、金貨で300ポンド、紙幣で700ポンドを受け取っていますが、日本シャーロック・ホームズ・クラブ会員である翠川こかげさんは『 経堂の預り金なら、使った分を清算して返却したことだろう。』と言っています。
【モデル】
アドラーのモデルについては様々な説があり、シャーロキアンらはアドラーのモデルを探すために懸命となっています。
アドラーについては『ボヘミアの醜聞』で大まかな言及があり、そこにはアドラーは1858年米国ニュージャージーの生まれらしく、最低女声音歌手でワルシャワ帝室オペラのプリマドンナ、歌劇壇引退をしています。そして何より、ロンドン在住です。
シャーロック・ホームズ・クラブの紀要委員会が発行するシャーロキアンの論文集である『シャーロック・ホームズ紀要』の第六巻第一号に発表された橘牧子さんの論文『アイリーン・アドラーその正体』にて、十九世紀後半に活躍したプリマドンナを調べ上げてアドラーのモデルとしてオペラ歌手・リリアン・ノルディカを挙げているようです。
その理由はアメリカ出身のプリマドンナであり、生誕は1859年なのでアドラーと一年程度しか変わりません。また、イギリスで歌った後にミラノに留学してデビュー。舞台で男装の経験があり、何より有名でした。
アドラーは『ボヘミアの醜聞』で男装し、ホームズがベーカー街221Bの部屋に戻る際に『おやすみなさい、シャーロック・ホームズさん』などという挨拶をしました。
ノルディカの本名はノートンで、この名はアドラーの結婚相手の弁護士のものと同じなのです。
また、論文『アイリーン・アドラーその正体』で橘さんは、アドラーの経歴『ワルシャワでプリマドンナを務めた』ことを疑問に思っているようで、ワルシャワオペラは民族的色彩が強いらしく、依頼者・(自称)ボヘミア国王は『最後の挨拶』での会話から見てもドイツ関係の王侯に間違いはないがあえて明示しなかったのでは、と考えているらしいです。
アドラーは『ボヘミアの醜聞』で『The late Irene Adler』と書かれています。これは『故アイリーン・アドラー』という意味ですが、昔だと『旧姓』の意味もあります。
【嫁入り支度】
香里円さんは、アドラーについて面白いことをしています。
嫁入り支度に用意したリネン類をtrousseauと言うらしく、1862年3月号の月刊誌『英国婦人の家庭』誌に書かれる中流家庭を営む新婦がそろえたトルソーを香里さんはまとめています。
ちなみに、中流家庭は年収が400ポンド~600ポンドであり、現在の日本円に直すと約212万円~約3千180万円です。
話しを戻して、嫁入り支度に用意したトルソーを下に引用します。
『衣装・・・6枚のフランネルのベスト、身の回りの下着(12枚のシュミーズ、6枚のドロワーズ、4枚のフランネルの服用ペチコートなど)、12足の木綿の靴下、6着の絹の上下服、寝具(12着の寝間着、12個のナイトキャップ)1ダースのハンカチーフ、肩掛け、黒いレースの相掛け、12組の付け襟と付け袖、1枚の厚手の旅行用肩掛け、ペイズリー織りの肩掛け、白いレースの上下服、4着の冬用上下服、クリノリン3枚、クリノリンの下に着る 温かい綾織りのペチコート、シュミゼット(麻やモスリンでできた薄手の袖なしのブラウス。タック、フリルなどが付いていることが多い)。
結婚衣装、4枚の絹のドレス(うち1枚は黒、1枚は波模様の古風なドレス、2枚は温かい冬用ドレス)、2枚と凝った生地の上下服、4着の夏の朝用ドレス、1ダースのトルコ風上下服、8着の朝食用上下服、6着の台所用上下服、ペルリーヌ(ゆったりしたケープ)。
身の回り品など・・・雨傘1本、日傘2本 (布地はシルク、絹、アルバカなど。持ち手は象牙、真珠に凝った彫り物を施したもの。1870年から80年代には長い柄の両端に持ち手が付いたウォーキング・パラソルが流行した)、絹のマント、12個の長枕、6組の枕、6組の手袋、6ダースの部屋用タオル、頭飾り、18枚のトイレ掛け、8枚のテーブルクロス、4枚のサイドボードクロス、24枚のテーブルナプキン、長靴1足、靴1足、上履き1足、ガロッシュ (革製の防水用オーバーシューズ) 1足。』
当時の中流家庭は上のようなものを嫁入り支度として用意したようです。
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