日常探偵団

髙橋朔也

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七不思議の七番目、爆発の怪 その弐

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 爆発の威力から考えると、直撃をくらった榊原は軽傷ではすんでいないだろう。動画を見た三人は、少しの間凍りついた。
「あの...俺、わかちゃった気がするっす」
「高田、本当なのでしょうね?」
「ああ。新島は知っているだろ? 『粉塵爆発』だ」
「粉塵爆発?」
 土方は首を傾げた。
 高田は説明を続けた。
「一年生の三月の全校集会。校長の話しの時に、榊原が爆発した。そのことと、動画を考慮に入れて考えると、粉塵爆発が妥当っすね。実験したことあったよな、新島?」
「ああ。小麦粉とかホットケーキミックスとかが宙に舞っているところで火を着けると大爆発が起こる、あれだろ?」
「そうだ。動画では、強い風が吹いていて砂が宙に舞った。そこに火を着けちゃったんすよ。砂埃に火が燃え移って爆発。あとは、その実験をするばかりだ」
「なるほどね。高田、やるじゃない」
「そうっすよね?」
「ええ。亀くらいには成長したじゃないかしら」
 新島は少し考えてから、椅子に座って説明を始めた。
「まず、大きな間違いを言うぞ。砂埃に火は燃え移らない。砂塵爆発なんて、起こらないぞ。まあ、実験するか?」
 新島は机の引き出しをいじってマッチを取りだした。マッチを胸ポケットに入れると、話し出した。
「実験するから外に行くぞ」
 三人は校庭に出た。
「俺が言い出しっぺだ。砂埃に火を着けるのは俺がやる」
 土方と高田は両手で砂をつかんで新島に投げつけた。新島は急いでマッチのリンの部分を擦って、砂埃に火を着けた。結局、爆発は怒らなかった。
「はあ。爆発が起こらなかったな。俺の説もこれで駄目になったか」
「高田は他に考えはあるのかしら?」
「ないっすね。新島はどうだ?」
「アルカリ金属の爆発は有名だ。水を分ければすぐに反応するが、話しを聞いた限りでは水が出てくる要素はなかったな。となると...油が服に染み込んでいたかどうか。あとは人体発火現象の説として有力なプラズマとかはどうかな?」
 土方と高田は新島の話しにチンプンカンプンだったようだ。

 部室に戻り、三人とも椅子に座って脱力していた。七不思議の名は伊達ではないようだった。
「職員室は隣りだし、片岡先生に聞けないのか?」
「そうだな...。俺も気になるし、行きたいぞ」
「私は近くだし、待っているよ」
 高田と新島は職員室の扉を三回叩いて、中に入った。
「失礼...。片岡さんはいますか?」
 すると、奥から長身の男が歩いてきた。
「俺が片岡だが?」
「文芸部の者ですが、二ヶ月前に榊原先生に火を着けて爆発を起こしましたよね?」
「あったな」
「その時のことをくわしく説明してください。文芸部は今、そのことを調べているんです」
「わかった...。あれは晴れた日のことだ。家を出るときにライターを探したけど見つからなくて、マッチを数本持って学校に向かったんだ。そして、朝の学年集会。校長の長ったるい話しに呆れてポケットに手を入れると煙草とマッチがあった。箱から煙草を一本手に取って口にくわえ、マッチを箱の側面に擦って火を着けた。そして、運悪く強い風が吹いて手からマッチが飛んだ。そのマッチは火が消えることなく榊原先生の背中に引火。で、爆発したんだ。
 次の日、入院したと知って病院に見舞いに行った。背中に包帯を巻いていて、火傷で全治二ヶ月。深々と頭を下げて謝った。だけど、傲慢で有力な榊原先生は笑って許してくれた。意外だったが、職員になってすぐにやめることにならなくて安心したんだ。これでいいか?」
 新島は顎に手を当てて考えた後で、頭を下げて職員室を出た。
「新島! 何かわかったのか?」
「...わかったことはなぜ爆発を起こした片岡がまだ学校にいるのか、ということだ」
「確かにそうだな。だが、それだけじゃ事件は解決できないな」
「だよな...」 
 部室に戻って、高田は土方に片岡の話しを説明した。土方はうなずいていたが、納得はしていないようだった。
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