ニート希望の補欠勇者は男なんてお呼びじゃない

こゆき

文字の大きさ
1 / 4

01 プロローグ

しおりを挟む
「囚人番号4852番。幸運を祈る」
 
 ゴウン。
 重い音がして、扉は閉まった。
 
 ……何が幸運を祈る、だ。これから俺がどこに運ばれるかも知ってるくせに。
 ケッと唾を吐き捨てようとして、やめた。
 何処で監視カメラとかで見られてるかも分からない。これ以上罪状が重くなるのはゴメンだ。 
 
 エレベーターは、どんどん下がっていく。
 これから俺が向かうのは、この国の最下層──地下施設だ。
 
 増えすぎたニート対策に、この国は突然『不労働者取締法』とかいうふざけた法律を打ち出した。
 内容はその名の通り、ニートは犯罪者、という単純なもの。
 
 反感ももちろん多かったが……適正のある仕事を見つけてきちんとバックアップまでしてくれるから、そのうちそれも消えてったらしい。
 
 正直俺としては『ふざけんなよご先祖さま』って気持ちでいっぱい。
 なんで諦めたんだよ。もっとごねれよ。ニートだってオケラだってアメンボだって生きてるんだよいいじゃねえかよ働きたくねえのは皆同じだろうが。
 
 そんな気持ちで働くのずっと拒否ってたらアッサリ捕まった。この世はクソ。
 収容先の更生施設でも労働拒否してたら、俺にはこの国で現在1番重い刑罰が課せられた。
 
 それがコレ。
 永遠下がっていく地下へのエレベーター。
『最下層労働施設強制送還刑』。
 
 書いて字のごとく、逃げ場のない地下へ追いやって働かざるを得ない状態に置いてやろう、なんつー人権もクソもない、マジでクソみてえな制度。
 
 昔はこの国にも死刑とかいう制度があったらしいが、少子化が進んだ現代若い労働力を消すのは愚の骨頂、となったらしい。
 知らねーよ給料上げなかった当時の政府のせいだろが。お前らのせいなんだからニートくらい許せよ。養え。
 
 ……なんてくだらねーことをツラツラ考えて現実逃避してたんだが。
 
「………長くね?」
 
 エレベーターが止まらない。こんなに長いとかある?? 体感時間1時間超えたんだが? どこまで降りるんだよそんなに地下に閉じ込めんの? ニートには人権もないってか? 嘘じゃんブラック過ぎだろこの国。
 
 しかも回数表示がバグってんだが。
 
 もしかしてこのエレベーターこのまま爆発的する? やめろよ死にたくねえよ。
 
 爆発オチなんてサイテー。
 なんて言葉が頭を通り過ぎて行くが、バグったエレベーターは止まらない。当然ながら窓もないから、外がどうなってるかも分からない。ちなみに緊急ボタンはただの飾りだった。神は死んだ。
 
 ああ、死ぬ前に女を抱きたかったな……。
  
 なんて死を覚悟した時。
 
 ──チンッ。
 いやエレベーター止まるんかい。
 
 今更止まるのかよ! なんて心の中でツッコミ入れつつ、開いた扉からそっと外を伺ってみる。
 これがただのエレベーターの階数表示のバグで、本当にこんだけ地下に施設があるならいい。いやよくねえけど。
 
 だが、異様に長いエレベーターと明らかにおかしかったバグに俺は慎重になっていた。
 
 真っ暗だ。何も見えない。
 ゆっくりと、エレベーターの外へと一歩踏み出した。
  
 瞬間。
 
「いらっしゃいませ! お待ちしてました勇者様!!」
「……………………………あ??」
  
 パッ! と視界が明るくなって、真っ白な空間が目の前に広がる。
 そしてそこには、エロゲーに出てきそうなおっぱい引っさげた妖精がいた。
 
 ………………………なんて????
 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

処理中です...