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第35話 初々しい気持ち
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「立派でしたよ、大丈夫です!」
恥ずかしさで気落ちしているティタンにルドが謎な励ましを掛ける。
「何が大丈夫だ、あれでは俺が下心を持っていると宣言しただけではないか」
自分の言葉を思い出して恥ずかしさで顔も上げられない。
わざわざあのような宣言をしたのは、今夜突然ミューズの元を訪ねてしまっては怖がらせてしまうと思い、伝えただけだ。
けれど今更だが、自分の発言を後悔する。
道中あんなにも夫婦になる事を嫌がってたし、好きだと伝えても一言も好意の言葉は返してはくれなかった。
それなのに求める言葉を人前で伝えてしまったのだ、これでは生真面目なミューズは断ることは出来ないだろう。
「最初はともかく一緒に過ごしていけば、きっとミューズ様はティタン様を好きになります。自信を持ってください」
ライカは主がとても気のいい人だと知っているから、絶対に上手くいくと確信していた。
「その最初を、愛のないまましたくない」
ライカの言葉を受けてますますティタンは落ち込んだ。
宣言したからには今夜勿論ミューズの元へと行くが、それがもとで更に嫌われたらどうしよう。
「義理堅く真面目なミューズだ、きっと何をしても受け入れてはくれるだろうな」
でもそこに愛はない。
そんな虚しい関係を求めているわけではない、しかし恥をかかしてしまうだろうか。
第二王子が訪れたのに、手も出されない女性として見られないだろうか。
その辺りの忖度はティタンにはわからない。
アドガルムの者は良い者が多いが、全ての者が善人とは限らない。
あの時何も伝えなければゆっくりと関係を築いてから後々に、となったのだが、ティタンはお披露目が終わった安心感と、ミューズがついに妻となったんだという高揚感でつい言ってしまった。
ミューズの逃げ場をティタンが奪ってしまったのだ。
人並みに欲はあるし、興味がなかったわけではない。
ティタンとて男だ、聖人君子ではない。
魔獣退治や逆賊退治の遠征先にてそういう誘いを受けたこともあるし、娼館についての話も聞いている。
だが、自分は王族だ。
軽率な行動は兄も家族を困らせると自制をしていた。
剣を振るって発散し、誤魔化し続ける。
戦で更に気が昂ったがその頃には慣れてしまい、何とかなると思った。
だが、父から告げられた政略結婚の話で動揺してしまう。
兄と弟は当たり前のように受け入れたので、反対はしなかったし、このままでは言い寄ってきている女性と結婚させられるかもしれないと、了承をした。
姿絵をみてもパッとせず、セラフィムに到着しても気乗りはしなかった。
なのにひと際目を引く女性に、一気に引き寄せられた。
姿絵など実物に比べれば全然冴えないし、当てにもならなかった。
小柄で可愛く、芯のしっかりとした女性、そして優しく胸も大きい。
不思議な瞳は吸い込まれそうな程綺麗だし、美人は三日で飽きるなどという言葉など虚言に過ぎないと言い切れるほど、虜になってしまう。
そんな好みの女性が妻となったのだ。
早く手を出したい気持ちと、愛のないまま結ばれたくなくて、夜になってその時が訪れても覚悟は決まらなかった。
恥ずかしさで気落ちしているティタンにルドが謎な励ましを掛ける。
「何が大丈夫だ、あれでは俺が下心を持っていると宣言しただけではないか」
自分の言葉を思い出して恥ずかしさで顔も上げられない。
わざわざあのような宣言をしたのは、今夜突然ミューズの元を訪ねてしまっては怖がらせてしまうと思い、伝えただけだ。
けれど今更だが、自分の発言を後悔する。
道中あんなにも夫婦になる事を嫌がってたし、好きだと伝えても一言も好意の言葉は返してはくれなかった。
それなのに求める言葉を人前で伝えてしまったのだ、これでは生真面目なミューズは断ることは出来ないだろう。
「最初はともかく一緒に過ごしていけば、きっとミューズ様はティタン様を好きになります。自信を持ってください」
ライカは主がとても気のいい人だと知っているから、絶対に上手くいくと確信していた。
「その最初を、愛のないまましたくない」
ライカの言葉を受けてますますティタンは落ち込んだ。
宣言したからには今夜勿論ミューズの元へと行くが、それがもとで更に嫌われたらどうしよう。
「義理堅く真面目なミューズだ、きっと何をしても受け入れてはくれるだろうな」
でもそこに愛はない。
そんな虚しい関係を求めているわけではない、しかし恥をかかしてしまうだろうか。
第二王子が訪れたのに、手も出されない女性として見られないだろうか。
その辺りの忖度はティタンにはわからない。
アドガルムの者は良い者が多いが、全ての者が善人とは限らない。
あの時何も伝えなければゆっくりと関係を築いてから後々に、となったのだが、ティタンはお披露目が終わった安心感と、ミューズがついに妻となったんだという高揚感でつい言ってしまった。
ミューズの逃げ場をティタンが奪ってしまったのだ。
人並みに欲はあるし、興味がなかったわけではない。
ティタンとて男だ、聖人君子ではない。
魔獣退治や逆賊退治の遠征先にてそういう誘いを受けたこともあるし、娼館についての話も聞いている。
だが、自分は王族だ。
軽率な行動は兄も家族を困らせると自制をしていた。
剣を振るって発散し、誤魔化し続ける。
戦で更に気が昂ったがその頃には慣れてしまい、何とかなると思った。
だが、父から告げられた政略結婚の話で動揺してしまう。
兄と弟は当たり前のように受け入れたので、反対はしなかったし、このままでは言い寄ってきている女性と結婚させられるかもしれないと、了承をした。
姿絵をみてもパッとせず、セラフィムに到着しても気乗りはしなかった。
なのにひと際目を引く女性に、一気に引き寄せられた。
姿絵など実物に比べれば全然冴えないし、当てにもならなかった。
小柄で可愛く、芯のしっかりとした女性、そして優しく胸も大きい。
不思議な瞳は吸い込まれそうな程綺麗だし、美人は三日で飽きるなどという言葉など虚言に過ぎないと言い切れるほど、虜になってしまう。
そんな好みの女性が妻となったのだ。
早く手を出したい気持ちと、愛のないまま結ばれたくなくて、夜になってその時が訪れても覚悟は決まらなかった。
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