【本編完結】獣人国での異種族婚

しろねこ。

文字の大きさ
40 / 60

第40話 獅子の国 交錯

しおりを挟む
「そうなると僕達……いや、ファルケとの関係はどうなるのでしょうか」

「違法薬物の疑いも晴れていない中での脱走とはな。どんな理由があろうと許されない事だ」
 大きく息を吐き出すと、ティタンの表情が変わる。

 先程までの人懐こい顔ではない、冷酷な目でリオン達を見た。

「この国に仇為す事は承知しない、すまないが覚悟はしていてくれ」
 獰猛な獣の目を向けられ、リオンとカミュは構え、マオは身震いした。

「発言を失礼します、ティタン様」
 今まで静かに様子見していたエリックの部下のオスカーが口を挟む。

「許そう。何を話す?」

「二コラはエリック様の忠実な部下でして、このような裏切る様な真似をするとは考えにくいのです」
 臆することなく真っ向から見つめ、二コラを擁護する。

「彼がエリック様を、引いてはファルケに不利になる事は絶対にありえません。仮に行なったとしても、何かの意図があるはずです。なのでせめて見つけた際は話し合いをさせて頂きたいのです」
 このままでは見つけてすぐに処分される可能性も高い。それだけはオスカーも避けたかった。

「ふむ。庇いたい気持ちはわかるが、抵抗しないとも限らない。そうなれば命の保証は出来ないがそれは了承してくれ」

「それは……」
 さすがにすぐに首を縦に振ることは出来ない。

 例え無抵抗でも抵抗したとみなされ、有無を言わさず殺されるかもしれないと危惧してしまう。

 皆が皆、約束を守る様な者ばかりではないと思っている。

 レーヴェ国とはまだ同盟も結んでいないし、その為の外交できたのにこのいざこざだ。難しい話にリオンは内心でエリックを恨む。

(こんな面倒な案件を寄こされるとは思っていなかった)
 リオンの勘としては二コラは白だとは思うが、会った事もない男性なのでその確証も庇う言葉も出ない。

 二コラ達の巻き添えでこのままではリオン達も投獄されそうだ。

 そんな時に不意にまたノックの音が聞こえてきた。

 何か進展があったのかと、皆体を固くし、入室してくる人物を見た。

「失礼します」
 部屋に入ってきたのはティタンの妻であるミューズだ。

 護衛が申し訳なさそうに頭を下げたが、ティタンの目には妻しか映らない。

「ミューズ、何をしに来たんだ。部屋から出るなと言っただろう」
 咎めるよりも心配の方が強い口調だ。

「今は少し厄介なことが起きているんだぞ。部屋で大人しくしていてくれ」
 そう言ってようやく護衛に目を移す。赤髪の護衛は申し訳なさそうに頭を下げて促すが、ミューズは戻る事を拒んだ。

「どうしてもお話がしたいことがあるのです。皆様も急で申し訳ございません、ですがティタン様どうか聞いてください」
 ミューズが真剣な表情でティタンを見る。

「……わかった。聞くからすぐに部屋に戻るんだぞ」
 リオン達にすまないと断りを入れて、再び廊下に出ていってしまった。

「何だか忙しないです」
 マオは少し伸びをする。

「もっと楽な話し合いかと思ってたのに」
 リオンはじろりとオスカーを睨む。

「申し訳ありません、こちらにとっても想定外の事が起きてしまいました。ですが脱走とは……一体何が起きているのでしょう」
 オスカーとしても冤罪で捕らえられたとしか思っておらず、リオンの話術で二コラ達に会わせてもらえるように交渉をし、解決に乗り出そうと思っていたのだが。

「まだ会えないですね」
 マオはここに来れば二コラに会えるのだと思っていたのに、未だ果たされずがっかりしている。
 その顔を見てリオンは慰めるように肩を抱いた。

「大丈夫、必ず会わせてあげるからね。僕を信じて欲しい」
 その様子を見てカミュは僅かばかりに呆れた顔をしていた。

 惚れた弱みだとは知っているが、リオンもまぁまぁ極端な性格だ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り

楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。 たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。 婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。 しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。 なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。 せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。 「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」 「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」 かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。 執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?! 見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。 *全16話+番外編の予定です *あまあです(ざまあはありません) *2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪

英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です

氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。 英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。

狼隊長さんは、私のやわはだのトリコになりました。

汐瀬うに
恋愛
目が覚めたら、そこは獣人たちの国だった。 元看護師の百合は、この世界では珍しい“ヒト”として、狐の婆さんが仕切る風呂屋で働くことになる。 与えられた仕事は、獣人のお客を湯に通し、その体を洗ってもてなすこと。 本来ならこの先にあるはずの行為まで求められてもおかしくないのに、百合の素肌で背中を撫でられた獣人たちは、皆ふわふわの毛皮を揺らして眠りに落ちてしまうのだった。 人間の肌は、獣人にとって子犬の毛並みのようなもの――そう気づいた時には、百合は「眠りを売る“やわはだ嬢”」として静かな人気者になっていた。 そんな百合の元へある日、一つの依頼が舞い込む。 「眠れない狼隊長を、あんたの手で眠らせてやってほしい」 戦場の静けさに怯え、目を閉じれば仲間の最期がよみがえる狼隊長ライガ。 誰よりも強くあろうとする男の震えに触れた百合は、自分もまた失った人を忘れられずにいることを思い出す。 やわらかな人肌と、眠れない心。 静けさを怖がるふたりが、湯気の向こうで少しずつ寄り添っていく、獣人×ヒトの異世界恋愛譚。 [こちらは以前あげていた「やわはだの、お風呂やさん」の改稿ver.になります]

虐げられた私が姉の策略で結婚させられたら、スパダリ夫に溺愛され人生大逆転しました。

専業プウタ
恋愛
ミリア・カルマンは帝国唯一の公爵家の次女。高貴な皇族の血を引く紫色の瞳を持って生まれたワガママな姉の陰謀で、帝国一裕福でイケメンのレナード・アーデン侯爵と婚約することになる。父親であるカルマン公爵の指示のもと後継者としてアカデミーで必死に勉強してきて首席で卒業した。アカデミー時代からの恋人、サイラスもいる。公爵になる夢も恋人も諦められない。私の人生は私が決めるんだから、イケメンの婚約者になど屈しない。地位も名誉も美しさも備えた婚約者の弱みを握り、婚約を破棄する。そして、大好きな恋人と結婚してみせる。そう決意して婚約者と接しても、この婚約者一筋縄ではいかない。初対面のはずなのに、まるで自分を知っていたかのような振る舞い。ミリアは恋人を裏切りたくない、姉の思い通りになりたくないと思いつつも彼に惹かれてく気持ちが抑えられなくなっていく。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。

真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。 狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。 私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。 なんとか生きてる。 でも、この世界で、私は最低辺の弱者。

処理中です...