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第43話 押さえつけられた毎日(ローシュ視点)
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忙しくクタクタになる日々に、更に追い打ちをかけられた。
兄様からこの前の襲撃について判明した事、そして様々な注意事項を話される。
ただ全てを守るには窮屈過ぎる。
ただでさえ行動を制限されているというのに、更に押さえつけられるなんてと反発心が生まれてしまった。
「危険なんだ。しばらく市井には行かないように」
何なんだろう。僕を雁字搦めにして、痛めつけようという事だろうか。
そもそもあの襲撃は僕が頼んだもので、もう起きる危険性はない。
けれどそれを言う事も出来ないので、ストレスが溜まっていくばかりだ。
疲れたと言っても休ませて貰えず、まともに休んだのはいつの事だろう。
数分の休憩の後にはすぐにやるべきことがあると駆り立てられた。
しかもそれらは僕の側近ではなく、兄様の側近から促される。
何を言おうとどう抗議しようと、「命令なので」と引かない。
常に付きっきりという事ではないが、進捗が遅いと監視に来る。
射る様な目で睨みつけ、命令してくる様に不敬だと周囲の者も言ってくれるが、聞く耳を持ってくれない。
「俺はカルロス殿下のご命令に従っているのです。俺のする事に不服があるという事は、王太子殿下に文句があるという事になりますがよろしいですか?」
そう言われると誰も何も言えなくなる。
兄様に立てつくようなことはしたくないと、皆口を噤むのだ。
そんな身動きの取れない毎日に心の淀みを感じていると、久しぶりに友人に会う。
「ローシュ様、お久しぶりです」
「久しぶりだね、ラウド」
以前彼とは昼食を共にしたり、放課後一緒に遊んでいたのだが、今は生徒会の事で忙しく、時間が合わない事もあって話すのは数日ぶりだ。
彼の実家、タリフィル子爵家は商会を持っており、街の事や市井の事に詳しくとても頼りになる存在である。
次男である彼は家を継ぐわけではないけれど、将来は商会の仕事に携わると話していた。
エカテリーナが復学してから、体調を崩し青白い顔をしていたのを見たが、今日も彼の顔色は悪い。
「忙しくて一緒に昼食も取れないけれど、皆元気かい?」
ミリティア達が昼食の時間すらも邪魔しに来るため、以前のようにラウド達話す事が出来なくなった為に近況について聞いてみる。
「皆は、元気ですよ」
そんな言葉とは裏腹に表情は曇っている。
「……あの、実はローシュ様に相談したいことがありまして」
「相談?」
藪から棒に一体なんだろう、でも少し嬉しい。
こうして必要としてくれる者が僕にもいるのだから。
兄様やミリティアから寄こされる仕事は、こなしたところで誰に感謝されるともわからないものばかりだ。
こうして顔を合わせて必要とされる方がまだやる気が出る。
「どういったものだい」
内容にはよるが出来る限り応えたい。
この学園での僕に向けられる視線を改善出来るかもしれないからね。
そうしたら皆きっとリヴィオよりも僕の方が正しいと気づいてくれるはずだ。
僕の方が必要な者だという事に。
「それは、学園ではちょっと話しづらい事でして……誰が聞いてるかもわかりませんし」
「人払いしても駄目かな」
「えぇ。どこで聞かれてしまうかわかりませんので」
そう言いながらラウドは震えている。余程人前では言えない深刻な相談なのだろう。
「出来れば、私の屋敷まで来て頂けないでしょうか?」
「タリフィル子爵の所に?」
一度も訪ねた事はないが、彼の実家はとても豪華と聞く。
大きさはそれほどではないが、交易で仕入れた珍しい調度品があると聞いたことがあった、ぜひ見てみたいものだ。
「行きたいのは山々だけれど、今は兄様からもミリティアからも外出を控えるようにと止められていてね。危ないからと」
兄様からは再び命を狙われる危険を説かれたばかりだし、ミリティアからも仕事を放りだすことは許さないと釘を刺されている。
あの二人を説得するのは難しい。
「一日、いえほんの数時間です。駄目でしょうか?」
その言葉に気持ちが揺らぐ。
正直出かけたい。
このように押し込められてばかりなんて耐えられない、僕にだって自由は必要だ。
(一日くらい、いいのではないか?)
行先も決まっているのならば護衛を増やせばいいだろう、あとはミリティアの説得だけ頭が痛いが、案はある。
「少しくらいなら大丈夫だよ」
僕の護衛が驚いているが、後で話しをしてわかってもらうつもりだ。
「ただ許可は得られても、僕には自由に使える馬車がない。街までならともかく君の屋敷までは行かせてもらえないと思うんだ」
暗に馬車があればと促せば、ラウドは顔を輝かせて頷いてくれた。
「うちの馬車を出します、ですからぜひ屋敷にいらしてください」
子爵家からの護衛も出すと言われた。
そうなれば新たな護衛をお願いする必要もなくなり、兄様にもバレずに出かけられるかも。
もちろん普段の護衛は連れて行くつもりだ。
「殿下は大切な方ですから、万全を期します」
ラウドは真面目な表情でそう言ってくれる。
そう、僕はこの国で大切な人物なんだ。
王家の血を引く者だもの。
エカテリーナやリヴィオなんて目ではない。
兄様からこの前の襲撃について判明した事、そして様々な注意事項を話される。
ただ全てを守るには窮屈過ぎる。
ただでさえ行動を制限されているというのに、更に押さえつけられるなんてと反発心が生まれてしまった。
「危険なんだ。しばらく市井には行かないように」
何なんだろう。僕を雁字搦めにして、痛めつけようという事だろうか。
そもそもあの襲撃は僕が頼んだもので、もう起きる危険性はない。
けれどそれを言う事も出来ないので、ストレスが溜まっていくばかりだ。
疲れたと言っても休ませて貰えず、まともに休んだのはいつの事だろう。
数分の休憩の後にはすぐにやるべきことがあると駆り立てられた。
しかもそれらは僕の側近ではなく、兄様の側近から促される。
何を言おうとどう抗議しようと、「命令なので」と引かない。
常に付きっきりという事ではないが、進捗が遅いと監視に来る。
射る様な目で睨みつけ、命令してくる様に不敬だと周囲の者も言ってくれるが、聞く耳を持ってくれない。
「俺はカルロス殿下のご命令に従っているのです。俺のする事に不服があるという事は、王太子殿下に文句があるという事になりますがよろしいですか?」
そう言われると誰も何も言えなくなる。
兄様に立てつくようなことはしたくないと、皆口を噤むのだ。
そんな身動きの取れない毎日に心の淀みを感じていると、久しぶりに友人に会う。
「ローシュ様、お久しぶりです」
「久しぶりだね、ラウド」
以前彼とは昼食を共にしたり、放課後一緒に遊んでいたのだが、今は生徒会の事で忙しく、時間が合わない事もあって話すのは数日ぶりだ。
彼の実家、タリフィル子爵家は商会を持っており、街の事や市井の事に詳しくとても頼りになる存在である。
次男である彼は家を継ぐわけではないけれど、将来は商会の仕事に携わると話していた。
エカテリーナが復学してから、体調を崩し青白い顔をしていたのを見たが、今日も彼の顔色は悪い。
「忙しくて一緒に昼食も取れないけれど、皆元気かい?」
ミリティア達が昼食の時間すらも邪魔しに来るため、以前のようにラウド達話す事が出来なくなった為に近況について聞いてみる。
「皆は、元気ですよ」
そんな言葉とは裏腹に表情は曇っている。
「……あの、実はローシュ様に相談したいことがありまして」
「相談?」
藪から棒に一体なんだろう、でも少し嬉しい。
こうして必要としてくれる者が僕にもいるのだから。
兄様やミリティアから寄こされる仕事は、こなしたところで誰に感謝されるともわからないものばかりだ。
こうして顔を合わせて必要とされる方がまだやる気が出る。
「どういったものだい」
内容にはよるが出来る限り応えたい。
この学園での僕に向けられる視線を改善出来るかもしれないからね。
そうしたら皆きっとリヴィオよりも僕の方が正しいと気づいてくれるはずだ。
僕の方が必要な者だという事に。
「それは、学園ではちょっと話しづらい事でして……誰が聞いてるかもわかりませんし」
「人払いしても駄目かな」
「えぇ。どこで聞かれてしまうかわかりませんので」
そう言いながらラウドは震えている。余程人前では言えない深刻な相談なのだろう。
「出来れば、私の屋敷まで来て頂けないでしょうか?」
「タリフィル子爵の所に?」
一度も訪ねた事はないが、彼の実家はとても豪華と聞く。
大きさはそれほどではないが、交易で仕入れた珍しい調度品があると聞いたことがあった、ぜひ見てみたいものだ。
「行きたいのは山々だけれど、今は兄様からもミリティアからも外出を控えるようにと止められていてね。危ないからと」
兄様からは再び命を狙われる危険を説かれたばかりだし、ミリティアからも仕事を放りだすことは許さないと釘を刺されている。
あの二人を説得するのは難しい。
「一日、いえほんの数時間です。駄目でしょうか?」
その言葉に気持ちが揺らぐ。
正直出かけたい。
このように押し込められてばかりなんて耐えられない、僕にだって自由は必要だ。
(一日くらい、いいのではないか?)
行先も決まっているのならば護衛を増やせばいいだろう、あとはミリティアの説得だけ頭が痛いが、案はある。
「少しくらいなら大丈夫だよ」
僕の護衛が驚いているが、後で話しをしてわかってもらうつもりだ。
「ただ許可は得られても、僕には自由に使える馬車がない。街までならともかく君の屋敷までは行かせてもらえないと思うんだ」
暗に馬車があればと促せば、ラウドは顔を輝かせて頷いてくれた。
「うちの馬車を出します、ですからぜひ屋敷にいらしてください」
子爵家からの護衛も出すと言われた。
そうなれば新たな護衛をお願いする必要もなくなり、兄様にもバレずに出かけられるかも。
もちろん普段の護衛は連れて行くつもりだ。
「殿下は大切な方ですから、万全を期します」
ラウドは真面目な表情でそう言ってくれる。
そう、僕はこの国で大切な人物なんだ。
王家の血を引く者だもの。
エカテリーナやリヴィオなんて目ではない。
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