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第4話 発見
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翌日ティの居なくなった寂しさを埋めるように、二人は外に出た。
雪は殆ど溶けており、新芽があちこちに見えている。
新しい生命の誕生に普段ならば心躍るのだが、今はそんな気持ちになれない。
特にティに懐いていたミューズはそうだ。
「寂しいな……」
ポツリと言えば、レナンがよしよしと頭を撫でてくる。
「もふもふで、良い人だったわね。でも彼はわたくし達とは住む世界が違う人なのよ」
「もちろんわかってる、でもとても優しい人だったから」
あんなにも寒い中で生命の危機に瀕していたのに、怒ることなく優しくしてくれた。そ
れにとても話しやすかった。
人間であればどのような姿なのだろうとか、また顔を出しに来てくれないだろうかと、期待も少なからずしてしまう。
「また、会いたいなぁ……」
ミューズの呟きにレナンは答えられない。
二人共、もう会えないという事くらい、わかっているからだ。
祖父と父の話しぶりから、彼はここにいてはいけない人なのだと感じられた。
どんな理由かまでは分からないが、もしかしたら犯罪をおかしてしまったのかもしれないという考えが、頭を過る。
そうであれば……会うことで家族に迷惑を掛けてしまう為、会いたいとは言えない。
(せめて彼が元の姿に戻れますように)
ミューズ達にはそう祈る事しか出来なかった。
そんな風に色々と話しながら散歩していると、何やら森の方が騒がしいことに気づく。
「何だろう?」
異変に気づいた護衛が二人に屋敷へ戻るよう促す。
「もしかしたらティが妖精を見つけた?」
ミューズはそう考え、少しだけ様子が見たいと護衛に頼む。
「そうだとしても危ないわ。一度戻りましょう」
森に行きそうなミューズの手を引き、レナンは帰ろうと声をかけた。
後ろ髪を引かれつつ姉になるそう言われてはと、ミューズも大人しく屋敷の方へと歩き始める。
護衛と共に屋敷に戻ると、すぐさま報告を受け付けた兵達が、様子を見に森へと向かう。
「何があったのか確認せねばな。魔獣や魔物の可能性もある、危ないと思ったらすぐに戻ってこい」
シグルドの命令を受け、屋敷に待機していた衛兵達数名が森へと入る。
辺境伯領であるここは、国と国の境目にあるので、様々なトラブルが起こりやすい。
それ故にこうして街には騎士の宿舎があり、戦う人材が揃えられている。
辺境伯ともなる祖父の屋敷に、衛兵達が大勢いるのも、危険を回避するためには当然な事であった。
重々しい騎士達も出動する様子を見て、ミューズもレナンもはらはらとする。
「大丈夫。二人に危害は加えさせんよ」
シグルドは大きな手で二人の頭を撫でる。
森の中や付近を調査したが、結局声の正体はわからず、不穏なものも見当たらなかったそうだ。
だが、暫くは外に出る事は許されず、領地へ帰ることも保留となる。
道中の護衛に兵を割くと調査に支障が出るからとの事だ。
二人が出て良いのは塀に囲まれた屋敷周りだけと言われる。
ここならシグルドもすぐに駆けつけられるし、目も届くからという事らしい。
束縛された生活に、レナン達は少々不自由さは感じるものの文句は言えなかった。
まだ寒さの残る季節の為、花は咲いていない。
二人は緑が少し増えたくらいの庭園を歩く。
「早くこの騒動が終わらないかしら」
何かが見つかればよかったが、何も見つからないのは不安が募る。
敷地内だし、近くに護衛達はいるから心配は少ないのだけれど、それでも原因がわからないというのはそわそわしてしまう。
見える恐怖より見えない不安の方が、心の負担は大きい。
「ティとは何も関係ないのかしらね」
もしも妖精であれば捕まえたかったとミューズは思う。
(そうすればティを元の姿に戻せるかもしれない)
そうして二人で話をしていると、またどこかから奇怪な声がした。
護衛はすぐに二人の側に付き、付き添いの侍女もまた二人を守るように取り囲む。
「どこ? 誰?」
声の主がどこにいるのか、耳を澄ませる。
「やはり森の方ですね」
護衛達はそちらに目をやる。
「きっとすぐにシグルド様が騎士を派遣するでしょう。レナン様達はすぐに屋敷の中へ」
「えぇ」
そう遠くはないので、すぐに屋敷の入口に着く。
「様子を見てきます。お二人はすぐに中へとお入り下さい」
護衛の二人を見送り、レナンとミューズは言われた通り中に入ろうとしたが……。
「あら?」
何かが草葉の陰を走っていくのが見えた。
すばしっこくて姿ははっきり見えないけれど、鼠くらいの大きさだ。
(もしかして妖精?)
小さくてすばしっこい為に鼠かと思ったが、どうやら違う。
違和感を覚えたミューズはたまらず走り出し、その後をレナンと侍女達がついていく。
「お戻りください、ミューズ様!」
侍女の必死の食い止めもそこそこに、ミューズは黒い小さな影を追って、どんどんと先へ行ってしまった。
雪は殆ど溶けており、新芽があちこちに見えている。
新しい生命の誕生に普段ならば心躍るのだが、今はそんな気持ちになれない。
特にティに懐いていたミューズはそうだ。
「寂しいな……」
ポツリと言えば、レナンがよしよしと頭を撫でてくる。
「もふもふで、良い人だったわね。でも彼はわたくし達とは住む世界が違う人なのよ」
「もちろんわかってる、でもとても優しい人だったから」
あんなにも寒い中で生命の危機に瀕していたのに、怒ることなく優しくしてくれた。そ
れにとても話しやすかった。
人間であればどのような姿なのだろうとか、また顔を出しに来てくれないだろうかと、期待も少なからずしてしまう。
「また、会いたいなぁ……」
ミューズの呟きにレナンは答えられない。
二人共、もう会えないという事くらい、わかっているからだ。
祖父と父の話しぶりから、彼はここにいてはいけない人なのだと感じられた。
どんな理由かまでは分からないが、もしかしたら犯罪をおかしてしまったのかもしれないという考えが、頭を過る。
そうであれば……会うことで家族に迷惑を掛けてしまう為、会いたいとは言えない。
(せめて彼が元の姿に戻れますように)
ミューズ達にはそう祈る事しか出来なかった。
そんな風に色々と話しながら散歩していると、何やら森の方が騒がしいことに気づく。
「何だろう?」
異変に気づいた護衛が二人に屋敷へ戻るよう促す。
「もしかしたらティが妖精を見つけた?」
ミューズはそう考え、少しだけ様子が見たいと護衛に頼む。
「そうだとしても危ないわ。一度戻りましょう」
森に行きそうなミューズの手を引き、レナンは帰ろうと声をかけた。
後ろ髪を引かれつつ姉になるそう言われてはと、ミューズも大人しく屋敷の方へと歩き始める。
護衛と共に屋敷に戻ると、すぐさま報告を受け付けた兵達が、様子を見に森へと向かう。
「何があったのか確認せねばな。魔獣や魔物の可能性もある、危ないと思ったらすぐに戻ってこい」
シグルドの命令を受け、屋敷に待機していた衛兵達数名が森へと入る。
辺境伯領であるここは、国と国の境目にあるので、様々なトラブルが起こりやすい。
それ故にこうして街には騎士の宿舎があり、戦う人材が揃えられている。
辺境伯ともなる祖父の屋敷に、衛兵達が大勢いるのも、危険を回避するためには当然な事であった。
重々しい騎士達も出動する様子を見て、ミューズもレナンもはらはらとする。
「大丈夫。二人に危害は加えさせんよ」
シグルドは大きな手で二人の頭を撫でる。
森の中や付近を調査したが、結局声の正体はわからず、不穏なものも見当たらなかったそうだ。
だが、暫くは外に出る事は許されず、領地へ帰ることも保留となる。
道中の護衛に兵を割くと調査に支障が出るからとの事だ。
二人が出て良いのは塀に囲まれた屋敷周りだけと言われる。
ここならシグルドもすぐに駆けつけられるし、目も届くからという事らしい。
束縛された生活に、レナン達は少々不自由さは感じるものの文句は言えなかった。
まだ寒さの残る季節の為、花は咲いていない。
二人は緑が少し増えたくらいの庭園を歩く。
「早くこの騒動が終わらないかしら」
何かが見つかればよかったが、何も見つからないのは不安が募る。
敷地内だし、近くに護衛達はいるから心配は少ないのだけれど、それでも原因がわからないというのはそわそわしてしまう。
見える恐怖より見えない不安の方が、心の負担は大きい。
「ティとは何も関係ないのかしらね」
もしも妖精であれば捕まえたかったとミューズは思う。
(そうすればティを元の姿に戻せるかもしれない)
そうして二人で話をしていると、またどこかから奇怪な声がした。
護衛はすぐに二人の側に付き、付き添いの侍女もまた二人を守るように取り囲む。
「どこ? 誰?」
声の主がどこにいるのか、耳を澄ませる。
「やはり森の方ですね」
護衛達はそちらに目をやる。
「きっとすぐにシグルド様が騎士を派遣するでしょう。レナン様達はすぐに屋敷の中へ」
「えぇ」
そう遠くはないので、すぐに屋敷の入口に着く。
「様子を見てきます。お二人はすぐに中へとお入り下さい」
護衛の二人を見送り、レナンとミューズは言われた通り中に入ろうとしたが……。
「あら?」
何かが草葉の陰を走っていくのが見えた。
すばしっこくて姿ははっきり見えないけれど、鼠くらいの大きさだ。
(もしかして妖精?)
小さくてすばしっこい為に鼠かと思ったが、どうやら違う。
違和感を覚えたミューズはたまらず走り出し、その後をレナンと侍女達がついていく。
「お戻りください、ミューズ様!」
侍女の必死の食い止めもそこそこに、ミューズは黒い小さな影を追って、どんどんと先へ行ってしまった。
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