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第4話 告白
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「えっと…?」
領内のさらさらときれいな小川があるところで、ティタンが作ったお花の冠とネックレスと指輪を身に着けて、ミューズは困惑していた。
こんなプレゼントは子どもの時以来とはしゃいでいたが、ティタンの言葉に現実に引き戻される。
「俺と、結婚してください!」
たくさんの花束を渡され、そう云うティタンの顔は耳まで真っ赤だ。
色々な言葉やシチュエーションを考えたのだがどれもしっくり来ず、一番ストレートなものにしたのだ。
アルフレッドに相談した次の日、ティタンは告白すると決めたのだ。
このままミューズを離したりはできない。
この帰郷が終われば、次会えるのは入学式。
こんな可愛らしいミューズだ、誰かに告白されるところだって見たくない。
振られてしまったなら、彼女の恋を応援しようと思うくらい、彼女が好きだ。
「あの、ティタン。何で私に?」
ミューズの戸惑う声に深呼吸した。
伝える言葉はずっと決まっている。
「俺みたいな容姿でも、兄と比べることなく接してくれた優しいミューズが好きだ。農業の話も馬鹿にせず聞いてくれるし、何よりここが好きだと話していただろ。俺はいずれここの領地を継ぎ、ここに移り住む。同じここの土地を愛してくれるミューズなら、きっと仲良くしていけると思ったんだ」
ひと息に話してしまったので、一度深呼吸する。
興奮しすぎてしまった。
「そして、初めて会ったときから妖精のように可愛らしい子だなって。嫋やかで儚げで、でも芯はしっかりしてて。それに俺はバカだから、博識なミューズに助けてもらえれば嬉しい」
ティタンはいかに自分がミューズを欲していて、気になる存在なのかを話していく。
「それにその瞳。ミューズはイヤだと言ったけど俺はずっと見ていたいし、見つめていたい。とてもキレイだ」
ミューズが気にしているオッドアイだが、ティタンはいたく気に入っている。
「俺はその、頭があまり良くない。でもミューズを守る自信ならある。これから学校に行ってもっと強くなって、もっと領地についても勉強する。だから、」
改めての、三回目の言葉。
「愛しています。俺と結婚してください」
ミューズは花束を受け取るか、しばし悩んでしまった。
昨日婚約者の話をしたからこんなふうに告白してくれたのであろうか?
だとしたら申し訳ない。
ティタンは普段は王都に住み、ここより発展した都会で暮らしているのだ。
素敵な女性も多いだろう。
こんな田舎娘で妥協しなくても、ティタンはいい男なのに。
(でも、もし本当に本心なら…)
嘘をつく人とではないと知っている。
この花の冠などもあの大きな指で頑張って作ったのだろう。
ティタンの手は剣を振るうために、傷だらけでタコも出来ている。
ゴツゴツとしていて関節も太い。
真っすぐで不器用で、この人を支えたいなと思えた。
「不束者ですが、お願いします」
ふわりとティタンの手にミューズが手を重ねる。
白く細い指がそっと包み込んでいた。
ミューズの白い頬も赤く蒸気している。
二人はしばし無言のまま見つめ合っていた。
「呼び出された時は驚いたわ。まさかこのような話になるなんて」
ミューズは少しだけ咎めるような、拗ねたような口調でいう。
「ご、ごめん」
ティタンはしゅんとして謝った。
迷惑をかけてしまったと単純に思ったのだ。
何の予兆もなく将来の話をされて、さぞ困っただろう。
今更ながら、申し訳なく思ってしまう。
「しかし、今日しかないと思ったんだ。あまり時間をかけてはミューズの体の負担にはなるし、その兄上の事もあるし……」
「エリック様が何かあったの?」
ミューズは思わず聞き返してしまう。
「いや、兄上もきっと婚約者になって欲しい人に想いを伝えているはずだから」
「そうなの?!」
ミューズは思わず大声を上げる。
姉のレナンの恋心はこれからどうなるのだろうかと、心配してしまった。
「大丈夫、きっとミューズにとってもいい方向に向かうはずだから」
「?」
ティタンの言葉に不思議に思うばかりであった。
領内のさらさらときれいな小川があるところで、ティタンが作ったお花の冠とネックレスと指輪を身に着けて、ミューズは困惑していた。
こんなプレゼントは子どもの時以来とはしゃいでいたが、ティタンの言葉に現実に引き戻される。
「俺と、結婚してください!」
たくさんの花束を渡され、そう云うティタンの顔は耳まで真っ赤だ。
色々な言葉やシチュエーションを考えたのだがどれもしっくり来ず、一番ストレートなものにしたのだ。
アルフレッドに相談した次の日、ティタンは告白すると決めたのだ。
このままミューズを離したりはできない。
この帰郷が終われば、次会えるのは入学式。
こんな可愛らしいミューズだ、誰かに告白されるところだって見たくない。
振られてしまったなら、彼女の恋を応援しようと思うくらい、彼女が好きだ。
「あの、ティタン。何で私に?」
ミューズの戸惑う声に深呼吸した。
伝える言葉はずっと決まっている。
「俺みたいな容姿でも、兄と比べることなく接してくれた優しいミューズが好きだ。農業の話も馬鹿にせず聞いてくれるし、何よりここが好きだと話していただろ。俺はいずれここの領地を継ぎ、ここに移り住む。同じここの土地を愛してくれるミューズなら、きっと仲良くしていけると思ったんだ」
ひと息に話してしまったので、一度深呼吸する。
興奮しすぎてしまった。
「そして、初めて会ったときから妖精のように可愛らしい子だなって。嫋やかで儚げで、でも芯はしっかりしてて。それに俺はバカだから、博識なミューズに助けてもらえれば嬉しい」
ティタンはいかに自分がミューズを欲していて、気になる存在なのかを話していく。
「それにその瞳。ミューズはイヤだと言ったけど俺はずっと見ていたいし、見つめていたい。とてもキレイだ」
ミューズが気にしているオッドアイだが、ティタンはいたく気に入っている。
「俺はその、頭があまり良くない。でもミューズを守る自信ならある。これから学校に行ってもっと強くなって、もっと領地についても勉強する。だから、」
改めての、三回目の言葉。
「愛しています。俺と結婚してください」
ミューズは花束を受け取るか、しばし悩んでしまった。
昨日婚約者の話をしたからこんなふうに告白してくれたのであろうか?
だとしたら申し訳ない。
ティタンは普段は王都に住み、ここより発展した都会で暮らしているのだ。
素敵な女性も多いだろう。
こんな田舎娘で妥協しなくても、ティタンはいい男なのに。
(でも、もし本当に本心なら…)
嘘をつく人とではないと知っている。
この花の冠などもあの大きな指で頑張って作ったのだろう。
ティタンの手は剣を振るうために、傷だらけでタコも出来ている。
ゴツゴツとしていて関節も太い。
真っすぐで不器用で、この人を支えたいなと思えた。
「不束者ですが、お願いします」
ふわりとティタンの手にミューズが手を重ねる。
白く細い指がそっと包み込んでいた。
ミューズの白い頬も赤く蒸気している。
二人はしばし無言のまま見つめ合っていた。
「呼び出された時は驚いたわ。まさかこのような話になるなんて」
ミューズは少しだけ咎めるような、拗ねたような口調でいう。
「ご、ごめん」
ティタンはしゅんとして謝った。
迷惑をかけてしまったと単純に思ったのだ。
何の予兆もなく将来の話をされて、さぞ困っただろう。
今更ながら、申し訳なく思ってしまう。
「しかし、今日しかないと思ったんだ。あまり時間をかけてはミューズの体の負担にはなるし、その兄上の事もあるし……」
「エリック様が何かあったの?」
ミューズは思わず聞き返してしまう。
「いや、兄上もきっと婚約者になって欲しい人に想いを伝えているはずだから」
「そうなの?!」
ミューズは思わず大声を上げる。
姉のレナンの恋心はこれからどうなるのだろうかと、心配してしまった。
「大丈夫、きっとミューズにとってもいい方向に向かうはずだから」
「?」
ティタンの言葉に不思議に思うばかりであった。
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