ひきこもりぽっちゃり令嬢とウールドール ~人形がつなぐ優しい恋~

しろねこ。

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第23話 初めての朝

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「ふわぁ」

 離宮に来てからの初めての朝。

 リーレンに起こしてもらい何とか起きたのだけれど、まだまだ寝たりなくてついあくびをしてしまう。

 落ち着く室内にふわふわとした寝具ではあったのだけれど、まだ馴染めておらず緊張でなかなか寝付くことが出来なかったから、少しだけ寝不足だわ。

 椅子に座ってリーレンに髪を整えてもらっているのだけれど、その時間でもうとうとしてしまい、無意識に頭がかくんとしてしまう。

「大丈夫そうですか? お嬢様」

「何とか、大丈夫……」

 とてもとても眠たいけれど、初日から休むわけにはいかないわ。それに学園での勉強にも興味があるもの。

 今までは家庭教師に教わっていたので一対一での勉強だったけれど、今度は皆と一緒になっての勉強だわ。

(どんな風に行なうのかしら)

 皆と話し合いながらとか、わからない事があれば相談とかできるのかしら。皆で協力して課題をクリアするなどかしら、とてもワクワクするわ。

 他にも先生はどんな人なのか、クラスにはどんな人がいるのかなど興味が尽きないわね。

(いい事ばかりではないけれど……ビドー様やベリンダ様も同じ学年にいるというのは心配だわ)

 ディフェクト様とイティルラ様がいるので不安よりも期待が大きいけれど、それでも少し気になっちゃう。

 眠気覚ましと不安を払拭する為に、ちょっとだけ冷たい水で顔を拭いた。

 まだ春なので、朝は少しひんやりする。

 その中で水を使うのは少々勇気が要ったけれど、おかげでさっぱりと市、少し元気が出たわ。

 制服に着替え、身だしなみを整えて食堂へ行くと、既にイティルラ様とディフェクト様が座っていた。

「すみません、お待たせしてしまって」

 一体どれくらい待たせてしまったのだろう、申し訳ないわ。

「今来たところだから大丈夫だよ、それよりも昨夜は休めたかな」

 寝坊してしまったのに、そんなお気遣いの言葉を頂いてしまうとは。

「それが緊張してあまり眠れなくて……明日はきちんと時間に間に合うようにします」

「そんなに時間を気にしなくてもよろしくてよ。エストレアにいい所を見せたくて、普段よりも早起きを頑張っただけなのですから」

(本当かしら? 私を気遣ってそう言ってくれているんじゃないのかしら?)

 私の表情から察したのか、グレースさんが微笑みながら教えてくれる。

「ディフェクト様とイティルラ様は、本当に朝が弱いのです。エストレア様を待たせないようにと、いつもよりも頑張って起きてましたよ。エストレア様が来るまで何度もあくびをしてましたしね」

「そうだったのですね」

 皆朝が弱いのは一緒なのね。ちょっとだけホッとしたわ。

 そうして話をしている内に朝食が並べられる。本日のメニューはクロワッサン、スクランブルエッグにサラダ、そしてホットミルクだ。

「そう言えばチェリちゃんは?」

 昨日は一緒に食事をしていたのだけれど、今日はまだ来ていないわね。

「チェリならあそこにいるよ」

 ディフェクト様が指す方を見ると、チェリちゃんが籠に入って眠っていた。

「チェリちゃんもまだ起きてないのね」

 猫は良く眠ると聞くものね、仕方ないか。

「実はチェリはもうご飯を食べ終わったんだ。そしてひと通り遊んで、今は休憩中なんだよね」

「という事はこれは二度寝ですか?」

 にゃんこの朝は早いのね……もうご飯を食べて、そして遊び終わった後だなんて。凄い活動的なのね。

「チェリの事は置いておいて、まずは食事にしましょう。折角の食事が冷めてしまいますわ」

 そうね、早く食べないと遅刻もしてしまうわ。

「それでは頂きます」

 今朝の食事もとても美味しかったわ。




 ◇◇◇



「では行ってきます」

 食事を終えた私たちはグレースさんやドレイヴさんに見送られ、馬車で学園へと向かう。

 初めての学園までの道のりと制服。この後の学園生活を考えると、否が応でも緊張してしまうわね。

(ディフェクト様とイティルラ様と一緒なのも、なんだか変な感じだわ)

 今まで手紙のやり取りをしていたから会話には困らないけれど、こんなにもずっと一緒なのには、まだ少しどきどきする。

 二人はとても優しいし気遣ってくれるけれど、言葉や仕草の端々で身分の違いを切に感じてしまうわ。

(この二人に追い付けるように頑張らないと)

 初心を忘れないように、気合を入れて頑張るわ。

 学園に着いた為馬車を降りる、ふと後ろの馬車を見るとレイズさんとミオさんも降りてきた。私達と同じ制服を着ているわ。

「レイズさん達も一緒だったのですね」

「二人共年齢も同じだし、これもいい経験になると思ってね。それに学園にいる時にもいろいろと頼むことがあると思うからさ」

 二人もこちらを見てぺこりと頭を下げる。

「こちらでは学友として支えさせてもらいますので、よろしくお願いします」

「こちらこそ、二人共通えて嬉しいわ」

 知っている人が増えるのって心強いな、それに仲良くなる機会も増えるからとても嬉しい。

「まずはどこの教室なのか、クラスを確認しようか」

 クラスは事前のテストや家柄などにより決まるらしい。

 ディフェクト様とイティルラ様はもちろん一緒で、そしてレイズさんとミオさんの名前もあった。

「あ、あった……」

「もちろんエストレアも一緒だよ」

 私の名前も皆と同じところにあって一緒なのは嬉しいけれど、その代わりにベリンダ様も一緒である。

(これは仕方ないわよね)

 身分と試験の結果だもの、でもあの件があるから少しだけもやもやとした気持ちになってしまうわ。

 何事もないと良いけれど……。

 他にはディフェクト様の知り合いである留学生の方や、イティルラ様の友人である令嬢の方と一緒らしい。

「お昼に紹介させてもらいますわね」

 イティルラ様とても嬉しそうだわ、一体どんな方たちなのかしら。

「僕の方は紹介はするけれど……あまり近づかせたくないなぁ」

 ディフェクト様が心配そうな表情をされる。

「怖い方なのですか……?」

「そうではないけれど、やっぱりエストレアの近くに男を近寄らせたくないんだよね。たとえ友人でも」

「ディフェクトはやきもち焼きですものね、まぁ気持ちはわかりますけど。邪な気持ちでエストレアに近づくようでしたら蹴り飛ばしまてやりますわ」

「そんな事はしないでね?」

 本気ではないと思ってはいるけれど、それでもちょっとだけしてしまうかもという思いがよぎってしまう。

(しないよね……?)

 なんとなく信じきれない気持つが湧き上がってきてしまった。





 ◇◇◇




 教室には半数ほどの人がもう来ており、それぞれのところに座っていた。私達も空いているところに座って先生が来るのを待つ。

「初めまして皆さん、私が担任のランディです。これからよろしくお願いしますね」

 物腰柔らかそうな先生でホッとした。

(お父様と同じくらいの年齢かしら? 怖そうな方ではなくて良かったわ)

「まずは自己紹介から始めましょう」

 クラスメイトは三十人くらいかしら、結構多いものね。一人一人が名前と家柄を言っていくうちに一人の女性が目に留まる

(あの人がベリンダ様ね)

 少し気が強そうで活動的な感じである、私とは全くタイプが違いそうだわ。

 何というか、人を惹き付ける魅力があるような……そんな印象を受ける。

(堂々として自信に満ち溢れている方ね……)

 ディフェクト様は譲れないけれど、自分にはない強さを持っているところが、少しだけ眩しく見えた。


 
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