絶対零度の悪役令嬢

コトイアオイ

文字の大きさ
4 / 57
序章

小さな悩み

しおりを挟む
 午前の授業を終え、ダンスの時間がやって来た。ダンスに関しては、既にどこに出ても困らないレベルに達していると思う。なので、この時間はある意味、息抜きという感じ。


しかし、最近のダンスの先生は、何故か男性のステップも覚えさせようとしている。完璧を目指す私としては、よっしゃ来い!という気持ちだ。


先生が言うには、「クリスお嬢様は凛々しさも魅力ですからね!そこらへんの男に負けるわけがありません!」だとか。


先生の熱意に少し、困惑した。


しかし、人生何があるか分からない。没落or死亡or行方不明エンドが待ち受けているからには、出来ることは全てやっておきたい。


今はいらないと思うものも、いつかは役に立つ。そう信じて、ダンスの先生の自己満足に上手く乗せられて行ったーーー。



 身体を動かし、少し疲れたところでおやつの時間がやって来る。何が嬉しいって、おやつが美味しい、美味しすぎる!


本日のお菓子は胡桃とラズベリーのスコーン、それに合わせて紅茶も運ばれてくる。この時間が至福の時だ。


この時ばかりは、実年齢に相応しく目を期待に輝かせているのだが、本人だけが気付いていない。周りの視線よりも、目の前のお菓子なのだ。


甘い物は疲れを癒す、まさにその通り。あぁ~美味しい!サクサクのスコーンが優しい甘みを生み出す。しかし、ベリーが入っているので甘ったるくはない。甘さと甘酸っぱさが両立して、おやつをもっと食べたい、その思いが強まる。


ただ、私は公爵令嬢である。甘い物や美味しいものは食べられるのだが、人様の前に出て恥ずかしくないよう振る舞うことが求められる。


何が言いたいかというと、おかわりは褒められるものではないのだ…。こればっかりは悲しい。いや、おかわりしてたら絶対太るけどさ!


家の者は、私の様子に気づき、そっとおかわりを差し出してくれる。ほんと、優しいよ…。だけど、それに慣れちゃ駄目な女になる!子供だからといって、甘えちゃ、甘えちゃいけないのよ…!


ちなみに、この誘惑を断ち切る行為は、転生して未だに悩まされることが多い。15歳から貴族は魔法学園に入学しなければならないのだが、その頃までには直したい。


悪役令嬢という役どころからして、つけ込まれる隙を与えてはならない!
誰にも迷惑をかけない、自分の力で道を切り開く!そう、それが私の目指すクリスティーヌ像である。


しかし、私の誘惑を知ってなのかは分からないが、時折、私の部屋の前に小さな袋が置いてある。そこには、クッキーやスコーン、フィナンシェなどのお菓子が入っていた。これは何だと一度サリや他の使用人に尋ねたが、皆「恥ずかしがりの妖精さんから、お嬢様宛ですよ」と優しく微笑むだけだった…。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

処理中です...