絶対零度の悪役令嬢

序章

攻略対象の情報

その後、魔法実演の授業を終え、私は一旦自室に戻る。

この世界で魔法は当たり前の手段であり、その魔法を扱う力は貴族に多く見られるそうだ。


確か前世の同僚、田中に聞いた話だと、ヒロインは平民で特別編入生として、一年後に遅れて学園に入学するという。


これだけでも、色々とめんどくさそうな存在だ。それが、王子とか皆に人気なイケメンと恋愛するのだから、さらにめんどくさい。


しかし、悲しいことに私は悪役令嬢という運命。どうあっても、関わらずにはいられそうにない。あーぁ、何で悪役令嬢なのよ…モブで良いのに。クラスの隅っこにいるようなモブAが羨ましい。


「田中～。私に色々教えてくれてありがとう。お陰でバッドエンド回避のために動けるわ。」



あの時は、いちいち趣味押しつけないでとか言ってマジごめんよ！細かいことは分からないけど、大体の知識あるだけで心の余裕ができた。


登場キャラについて、分かることを取り敢えず、紙に書いて整理してこ。


まずは、ヒロイン。名前、不明。見た目、何かフワフワしててピンク。身長低い。魔法は何だっけ。


で、次に攻略対象であるヒーロー役…確か四人くらいだったか？


えぇっと、まぁ絶対いるよね！な王子様でしょ。名前はダレン・アース・サンブルク。ダレン様ね。赤毛で素直な性格だという。


で、王子の友人の人。名前はフレッド・ハウエル。一度遠目に見たが、何かチャラそうなやつだった。


そして、騎士団長の息子のジャック・ブラウン。特筆すべき情報は覚えていない。


あと、リュドシエルって人。黒髪のミステリアス君らしい。


まぁ、ざっくりだけど、これだけ覚えているんだから上等よ。王子の詳細は転生してから知ったけど、こんなものだろう。


どうせ、攻略方法なんてほぼ知らない無知なんだもの。傲慢やら我儘な行為さえ気をつければ、さすがに死亡はないはず。


先の見えない不安はあるけど、なるようになる。頭を整理して、私は夕食の席へ向かった。