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明暗の差
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帰宅途中に謎の大穴に吸い込まれたOL、雨宮真澄、ただ今凄い大人数に囲まれて正直びびっている。穴の底に光が見えたと思ったら、この場所に転移していたのだ。そして、私と鈴が現れた場所はどこか現実離れしたところだった。ヨーロッパの神父の着ていそうな祭服の男達が、聖書らしき書物を片手に私達を取り囲んでいる。その向こうには、家の玄関のドアの倍ある絵が壁にかけられており、大きな教会を思わせる。気持ち悪いのは、私達二人を囲むのは男達だけではなく、後ろに控える女性達が皆蝋燭を一本ずつ持っていることもそうだ。
何の儀式の準備だ。あれ、立ち位置的に私、生贄では?
怪しい宗教団体に攫われたんだろうか?どうしよう、何か変な薬とか嗅がされてたら怖いんですけど!
私が回らない頭で必死に現状を整理しようとしていると、一番手前にいた恰幅の良い男性司祭が拍手し始めた。勢いをつけて拍手したせいか、頭に被った被り物がずり落ち、チラリと寂しげな頭皮が覗く。私は何も見ていないふりをした。
「おぉ、言い伝えは真実であったか!聖女様が降臨なされた!……しかし、二人とは一体どういうことだ?」
せ、聖女とは。普段聞きなれない上に恥ずかしい呼称である。これは何のドッキリだろう。早く止めてくれ、頼むからさっさと「ドッキリ成功!」の紙を見せて。
「カール司祭長様!もしや、聖女と一緒に手違いで魔女を召喚してしまったのでは?ほら、ここまでは呪文が同じですし…」
今度は魔女かーい。やだ、大の大人が恥ずかしい言葉を連発してるわー。演技力すっげーなおい。俳優さんかな、何かのドラマの撮影に巻き込まれた線もあるよね。
私がじっと押し黙って彼らの様子を観察している間に、隣で座り込んでいた鈴が勢い良く立ち上がった。え、何?と横を見ると、鈴は一瞬勝ち誇った顔でこちらを見た。
「皆様!どうか聞いて下さい。私こそが聖女なのです!」
ええええええええええ。嘘でしょー。聖女なわけないじゃんか。お前普通のOLだろうが、私と同じ営業部のさ。
しかし、私の思いに賛同する者はおらず、むしろ、鈴の宣言にその場にいる人々は感嘆の声を上げた。
「やはりあの方が聖女様か!私は一目見てそうだろうと思っていたがな!」
「いやいや、儂だってそう考えておったところじゃい」
彼らが言うには、鈴の聖女説を裏付けるのは衣服に、髪の長さだそうだ。鈴は白いロングスカートで、私はジーパンを履いている。どうやら、ジーパン族はそもそも女として見られないらしい。ズボンを履くのは男だけ!という旧時代の考え方に、私は「はっ」と鼻で笑ってしまう。さらに、鈴の髪の長さは背中まであるのに対して、私は肩につくかどうかの長さである。これらから、鈴の方が聖女っぽいじゃん?という結論に至るとのこと。
最後まで聞いていれば、およそ馬鹿らしい根拠に私は呆れて声も出ない。
それをいいことに、鈴はなお主張した。
「皆様、あの方は皆様を聖女だと欺いた魔女なのです!早く捕らえて下さい!」
「はぁぁぁ?どういうこと、鈴!」
鈴の裏切りによって、私の周りにはいつの間にか忍び寄っていた衛兵で固められ、手を捻りあげられた。
「ちょっと!痛っ、この…ふざけんな!」
私の怒りの声に、司祭長が怯えた声で呟く。
「おぉ、恐ろしい。何と口汚い…。やはり魔女に間違いあるまい。早く地下牢に入れるのじゃ」
「この…デブ髭!」
私は数十の衛兵に動きを封じられ、半ば強引に地下へと連れて行かれた。
何の儀式の準備だ。あれ、立ち位置的に私、生贄では?
怪しい宗教団体に攫われたんだろうか?どうしよう、何か変な薬とか嗅がされてたら怖いんですけど!
私が回らない頭で必死に現状を整理しようとしていると、一番手前にいた恰幅の良い男性司祭が拍手し始めた。勢いをつけて拍手したせいか、頭に被った被り物がずり落ち、チラリと寂しげな頭皮が覗く。私は何も見ていないふりをした。
「おぉ、言い伝えは真実であったか!聖女様が降臨なされた!……しかし、二人とは一体どういうことだ?」
せ、聖女とは。普段聞きなれない上に恥ずかしい呼称である。これは何のドッキリだろう。早く止めてくれ、頼むからさっさと「ドッキリ成功!」の紙を見せて。
「カール司祭長様!もしや、聖女と一緒に手違いで魔女を召喚してしまったのでは?ほら、ここまでは呪文が同じですし…」
今度は魔女かーい。やだ、大の大人が恥ずかしい言葉を連発してるわー。演技力すっげーなおい。俳優さんかな、何かのドラマの撮影に巻き込まれた線もあるよね。
私がじっと押し黙って彼らの様子を観察している間に、隣で座り込んでいた鈴が勢い良く立ち上がった。え、何?と横を見ると、鈴は一瞬勝ち誇った顔でこちらを見た。
「皆様!どうか聞いて下さい。私こそが聖女なのです!」
ええええええええええ。嘘でしょー。聖女なわけないじゃんか。お前普通のOLだろうが、私と同じ営業部のさ。
しかし、私の思いに賛同する者はおらず、むしろ、鈴の宣言にその場にいる人々は感嘆の声を上げた。
「やはりあの方が聖女様か!私は一目見てそうだろうと思っていたがな!」
「いやいや、儂だってそう考えておったところじゃい」
彼らが言うには、鈴の聖女説を裏付けるのは衣服に、髪の長さだそうだ。鈴は白いロングスカートで、私はジーパンを履いている。どうやら、ジーパン族はそもそも女として見られないらしい。ズボンを履くのは男だけ!という旧時代の考え方に、私は「はっ」と鼻で笑ってしまう。さらに、鈴の髪の長さは背中まであるのに対して、私は肩につくかどうかの長さである。これらから、鈴の方が聖女っぽいじゃん?という結論に至るとのこと。
最後まで聞いていれば、およそ馬鹿らしい根拠に私は呆れて声も出ない。
それをいいことに、鈴はなお主張した。
「皆様、あの方は皆様を聖女だと欺いた魔女なのです!早く捕らえて下さい!」
「はぁぁぁ?どういうこと、鈴!」
鈴の裏切りによって、私の周りにはいつの間にか忍び寄っていた衛兵で固められ、手を捻りあげられた。
「ちょっと!痛っ、この…ふざけんな!」
私の怒りの声に、司祭長が怯えた声で呟く。
「おぉ、恐ろしい。何と口汚い…。やはり魔女に間違いあるまい。早く地下牢に入れるのじゃ」
「この…デブ髭!」
私は数十の衛兵に動きを封じられ、半ば強引に地下へと連れて行かれた。
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