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4 聖人候補の領地経営
682 マリス領の行政改革
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682
例のイベントまでは一ヶ月以上あるので、私は仮縫いや打ち合わせを一通り終えたのち、すぐにイスから去った。
それからの数週間は領主としての業務に集中し、特に行政関係のテコ入れに奔走することになった。
私がイスに行ったり、カングンの領主邸に籠もって仕事をしている間に、私の領主就任祝いの第一弾として行った寄進が領内で大変な騒ぎを起こしていた。
基本貴族は〝聖天神教〟以外の信仰に対して、迫害こそしないが冷淡だ。私のように土地神様のために祠を建てたり、今回のように寄進をするなどまずあり得ない。そのため、人々が信仰しているそれぞれの土地神様のために大きな祭りを行うことは、強く願いながらもなかなか叶わないものなのだという。
「特に、最初はお祭りに必要な道具を作ったり揃えたりと、いろいろ経費がかかりますから、盛大に行おうとすると、そこで予算問題に阻まれてしまうんです。ですから、大きな街ならともかく、田舎の小さな町や村ですと、土地神様へ皆が祈りを捧げるぐらいで精一杯なんですよ」
キッペイの話の通り、私の机には大変な数の感謝の手紙がすでにうず高く積まれている。あちこちの村ですでに色々な趣向の土地神様祭りが開かれたそうで、手紙を読むと皆さんの盛大な祭りが行えたことに対する感謝と興奮が伝わってくる。こうした盛大なお祭りは経済効果も高かったようで、領内はとても活気付いている様子だ。しかも、手紙だけでなく必ず贈り物も一緒に送られてくるので、領主館はますますモノに溢れている。食べ物に関しては、もう館の人たちで分けて……といった量ではまったくなくなってしまっているので、痛みの早いものはとりあえず空いているマジックボックス(ということにしている箱型に偽装した《無限回廊の扉》)へと、セーヤとソーヤに運んでもらっている。これでとりあえず腐らせるという状況は回避できるので、この処遇については後回しとした。
ともかく皆さん大いに祭りを楽しみ、土地神様への感謝を捧げられたことを喜んでくれているので、私はそれで満足だ。
(きっと、たくさんの祈りが届いて土地神様も力をもらえているよね。どうぞ、みんなを見守ってください!)
私は第八区で買ってきた小さな土地神様の置物と一緒に飾っている、まん丸で小さなジャイアントボアの可愛い土地神様ペンダントに手を合わせ祈った。
さて、仕事に戻ろう。
「キッペイ、役所の拡充工事は順調?」
「はい。メイロードさま仰るところの〝いんたーんしっぷ〟で採用した新人を大量に雇い入れましたので、人員は三倍以上になりました。最初は手こずりましたが、集中的に教育期間を設けたのが正解でしたね。いまではだいぶ皆使えるようになってまいりました。おかげで、仕事が捗ります」
私が領主になる以前は、行政としての活動がほぼ放棄されていたこの土地では、役人の仕事のできる人材が大幅に不足していた。
その上、雇い入れるにしても、私の領地の仕事は、他の領地のものとはだいぶ趣きが違う。そのため、経験者であっても一から覚えなければならないことも多い。ならばと考え、私は優秀な若い人たちを大量に採用することにした。もちろん経験が浅いことは不問とし、最初は仕事を覚える期間を設けての仮採用だ。もちろんこの間も給金はしっかり支給する。
徒弟制度に慣れていて、見習いは無給が当たり前のこの世界で、この給金を貰いながら仕事の勉強するという考え方を理解してもらうのにはかなりてこずった。でも、私の領地で仕事をする役人に必要なスキルを習得してもらうために必要な時間なのだから、その費用負担は私がするべきだ。私のポケットマネーで支払ってもよかったのだが、この〝インターンシップ〟は今後も定期的に行わなければ意味がないことなので、しっかり予算に組み入れることとし、そのかわり学ぶことが〝仕事〟であるということは徹底してもらった。
もちろん向き不向きもあるので、本採用に至るまで、何度かのテストと足切りは行うことになったが、教育期間終了後には優秀な人材を一気に確保でき、行政部門の再編成を一気に進めることができた。
税務署が兼務していた戸籍に関する作業を分離し、新たに戸籍・住民課を新設。これで、領内の人口に関する動向などもより把握しやすくなるだろう。
とはいえ、まだ必要なところから少しづつ増やしている段階なので、私が直接決済しないと進まないことも多い。
とりあえず〝軍備・警備局〟と〝土木・建設局〟を新設して、こちらは基本的に私が関わることを極力減らすことにした。これだけでもかなり楽になり、ペーパーワークも一気に減らすことができた。私がいなくても公共工事はきっちり行われるようになったし、警備や兵隊の配備についても、お任せできている。
もちろん、これらの行政局では大きなお金が動くためチェック機関として〝監査局〟も作ってはあるが、これは私がいる限りはあまり必要ないかもしれない。行政が動き始めてからしばらくは、私が《真贋》を使って、正確に細かい不正に至るまで未然に危険因子を排除しまくったこともあり、役所で働く人たちは〝絶対ご領主さまは欺けない〟とわかっている。
(そのためにわざと最初だけ、徹底的にやってみたわけだけど……まぁ、いまはそんなことはしてない。ときどきセーヤとソーヤにチェックはしてもらっているけどね。とはいえ、やはり人による監査は責任上必要なことだからね)
最初のインパクトのせいなのか、皆さんクリーンな仕事をしてくれている。
(こうやって早く、私の仕事を減らしていかないとね……)
例のイベントまでは一ヶ月以上あるので、私は仮縫いや打ち合わせを一通り終えたのち、すぐにイスから去った。
それからの数週間は領主としての業務に集中し、特に行政関係のテコ入れに奔走することになった。
私がイスに行ったり、カングンの領主邸に籠もって仕事をしている間に、私の領主就任祝いの第一弾として行った寄進が領内で大変な騒ぎを起こしていた。
基本貴族は〝聖天神教〟以外の信仰に対して、迫害こそしないが冷淡だ。私のように土地神様のために祠を建てたり、今回のように寄進をするなどまずあり得ない。そのため、人々が信仰しているそれぞれの土地神様のために大きな祭りを行うことは、強く願いながらもなかなか叶わないものなのだという。
「特に、最初はお祭りに必要な道具を作ったり揃えたりと、いろいろ経費がかかりますから、盛大に行おうとすると、そこで予算問題に阻まれてしまうんです。ですから、大きな街ならともかく、田舎の小さな町や村ですと、土地神様へ皆が祈りを捧げるぐらいで精一杯なんですよ」
キッペイの話の通り、私の机には大変な数の感謝の手紙がすでにうず高く積まれている。あちこちの村ですでに色々な趣向の土地神様祭りが開かれたそうで、手紙を読むと皆さんの盛大な祭りが行えたことに対する感謝と興奮が伝わってくる。こうした盛大なお祭りは経済効果も高かったようで、領内はとても活気付いている様子だ。しかも、手紙だけでなく必ず贈り物も一緒に送られてくるので、領主館はますますモノに溢れている。食べ物に関しては、もう館の人たちで分けて……といった量ではまったくなくなってしまっているので、痛みの早いものはとりあえず空いているマジックボックス(ということにしている箱型に偽装した《無限回廊の扉》)へと、セーヤとソーヤに運んでもらっている。これでとりあえず腐らせるという状況は回避できるので、この処遇については後回しとした。
ともかく皆さん大いに祭りを楽しみ、土地神様への感謝を捧げられたことを喜んでくれているので、私はそれで満足だ。
(きっと、たくさんの祈りが届いて土地神様も力をもらえているよね。どうぞ、みんなを見守ってください!)
私は第八区で買ってきた小さな土地神様の置物と一緒に飾っている、まん丸で小さなジャイアントボアの可愛い土地神様ペンダントに手を合わせ祈った。
さて、仕事に戻ろう。
「キッペイ、役所の拡充工事は順調?」
「はい。メイロードさま仰るところの〝いんたーんしっぷ〟で採用した新人を大量に雇い入れましたので、人員は三倍以上になりました。最初は手こずりましたが、集中的に教育期間を設けたのが正解でしたね。いまではだいぶ皆使えるようになってまいりました。おかげで、仕事が捗ります」
私が領主になる以前は、行政としての活動がほぼ放棄されていたこの土地では、役人の仕事のできる人材が大幅に不足していた。
その上、雇い入れるにしても、私の領地の仕事は、他の領地のものとはだいぶ趣きが違う。そのため、経験者であっても一から覚えなければならないことも多い。ならばと考え、私は優秀な若い人たちを大量に採用することにした。もちろん経験が浅いことは不問とし、最初は仕事を覚える期間を設けての仮採用だ。もちろんこの間も給金はしっかり支給する。
徒弟制度に慣れていて、見習いは無給が当たり前のこの世界で、この給金を貰いながら仕事の勉強するという考え方を理解してもらうのにはかなりてこずった。でも、私の領地で仕事をする役人に必要なスキルを習得してもらうために必要な時間なのだから、その費用負担は私がするべきだ。私のポケットマネーで支払ってもよかったのだが、この〝インターンシップ〟は今後も定期的に行わなければ意味がないことなので、しっかり予算に組み入れることとし、そのかわり学ぶことが〝仕事〟であるということは徹底してもらった。
もちろん向き不向きもあるので、本採用に至るまで、何度かのテストと足切りは行うことになったが、教育期間終了後には優秀な人材を一気に確保でき、行政部門の再編成を一気に進めることができた。
税務署が兼務していた戸籍に関する作業を分離し、新たに戸籍・住民課を新設。これで、領内の人口に関する動向などもより把握しやすくなるだろう。
とはいえ、まだ必要なところから少しづつ増やしている段階なので、私が直接決済しないと進まないことも多い。
とりあえず〝軍備・警備局〟と〝土木・建設局〟を新設して、こちらは基本的に私が関わることを極力減らすことにした。これだけでもかなり楽になり、ペーパーワークも一気に減らすことができた。私がいなくても公共工事はきっちり行われるようになったし、警備や兵隊の配備についても、お任せできている。
もちろん、これらの行政局では大きなお金が動くためチェック機関として〝監査局〟も作ってはあるが、これは私がいる限りはあまり必要ないかもしれない。行政が動き始めてからしばらくは、私が《真贋》を使って、正確に細かい不正に至るまで未然に危険因子を排除しまくったこともあり、役所で働く人たちは〝絶対ご領主さまは欺けない〟とわかっている。
(そのためにわざと最初だけ、徹底的にやってみたわけだけど……まぁ、いまはそんなことはしてない。ときどきセーヤとソーヤにチェックはしてもらっているけどね。とはいえ、やはり人による監査は責任上必要なことだからね)
最初のインパクトのせいなのか、皆さんクリーンな仕事をしてくれている。
(こうやって早く、私の仕事を減らしていかないとね……)
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