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5森に住む聖人候補
849 港の祭り
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「トントントコトコ、トントントコトコ……」
少し高い音をした太鼓の音が山の方から聞こえる。太鼓の音が邪を払うという考えは、沿海州では広く広まっているそうで、ここアキツでも神事が行われるときには、こうして一日に何度も太鼓が打ち鳴らされるそうだ。
ここの太鼓は木の幹をくり抜き、それに動物のなめした皮を張って紐でぎゅうぎゅうに縛りつけた素朴なものだが、小さなその太鼓はたくさんあって、街の人たちは楽しそうに交代で演奏役をしているという。
(うん、お祭りって感じがするいい音!)
それなのに、私のそんなのんびりしたお祭り気分は目の前の光景に一瞬でかき消されてしまう。
そう、この私の目の前で繰り広げられている殺伐としているとさえ思える光景が、今日のメインイベントなのだ。
筋肉隆々の男たちで埋め尽くされた会場の四方八方から聞こえてくる雄叫びやら怒鳴り声を前に、私はむしろ呆れていた。
(なんなの? この異様な熱気と盛り上がりは!)
汗と熱気が充満したイベント会場の高い席から見下ろすと、そこはバンダッタ中のマッチョが全員集合したかのような光景だった。
ここは〝綱引き神事〟の会場の関係者席という領主や来賓が座るためのいわゆる桟敷席。のほほんと会場を見に行った私は、領主館の方にあっという間にこの場所へ案内され座らされていまに至る。
「ご領主様よりメイロードさまがいらっしゃいましたら必ずご案内するよう申し付けられておりますので……」
にっこりと微笑まれてそう告げられたら、もう断るのも面倒になり、私はおとなしくその特等席の観客になることにした。
(確かに相変わらずちっちゃい私は、十重二十重の人垣に阻まれて、平場ではまったく前が見えなかったりはするんだ……たはは)
案内された席は立派な椅子、そして冷たい飲みものやおしぼりまで用意されたいわゆるVIP待遇の設えで、しかも最前列中央。
(ご招待はありがたいけど、こんな目立つ席にひとりっきりにしないでよぉ、タイチ!)
そう、私をこの席に招待してくれたはずの当のご領主様であるタイチはといえば、各所の調整のために飛び回っている様子で、全然姿を現さず、他の来賓の多くは例の会議の出席者だったりするので、私にとても丁寧な挨拶をしてくれつつも遠巻きに見ているという感じだ。
もちろん来賓の中にはあの会議に参加していない人もいるので、不思議そうな顔で私を見る人もいたが、それは知らぬふりをしておくしかない。
それにしても〝綱引き神事〟は始まる前から本当にものすごい盛り上がりようだ。初めての試みで、しかも準備期間も短かったはずなのに、網元を組頭とする十五組が参加するそうで、大きな網元からは二組参加させてくれるよう要請があったという。ひと組十名なので、網元としては組数を増やして力自慢が分散することは避けたいはずで、なかなか悩ましいことだが、とにかく参加希望者が多く、二組が出られる網元でも熾烈な予選が行われたと聞いている。
神事という性質上、ゲン担ぎの大好きな漁師たちはこの勝負に今年の豊漁を賭けているので、シャレにならない本気度だそうで、しかも優勝すれば網元から金一封が出るという話もあったと、これは激アツになるしかないという状況だそうだ。
当然、勝負は最初から白熱した。
それぞれの家族、同僚、友人、恋人などなどが詰めかけている応援の熱気も凄まじく、太い声も高い声もみんな力の限り叫び、
「引け! 引け!」
「耐えろ! 耐えろ!」
「頑張れ、もう少し!」
「粘れ、引き戻せ!」
と真剣な顔で声をかけ続けている。
最初から最後まで、試合は勝っても負けても大いに盛り上がり、屈強な男たちが悔しさや喜びで泣き崩れる光景や、お互いの健闘を讃えて抱き合う光景など、不思議な感動に包まれる場面も多く、見応えのあるイベントになったと言っていいだろう。
そして今回の覇者なのだが、なんとヨシン組。そう、タイチのおじさまのヨシンさんが網元をしている組の勝利で幕を閉じた。若い網元の自らが参加していたヨシン組はやはり統率力抜群で息が良くあっていたのが勝因ということのようだ。
決勝間際にやっと席へ戻ってきたタイチと私も、やはりどうしても身贔屓が出てしまい、ヨシンさんの応援に声を枯らしていたので、その優勝は嬉しく、手を叩いて喜んでしまった。本来であれば領主が特定の組を応援するのは良くないのかもしれないが、ヨシンさんとタイチの関係は皆の知るところだし、応援するぐらいは多めに見てもらおう。
熱戦の末の劇的な勝利の興奮がひとしきりおさまったところで、ヨシン組の皆さんは来賓席前に一列に並び、真剣な表情で一礼する。そんな彼らに向かい〝ご領主様〟はこう言葉をかけた。
「初めての〝綱引き神事〟だったが、準備から今日の試合まで、みんなよく頑張ってくれた。今年の奉納役はヨシン組となったが、いまは皆の健闘を讃えよう! こうして皆が己の力を十二分に出し合って正々堂々競い合う姿こそが、大事な神への供物なのだ!」
タイチの言葉に選手たちの雄叫びと観客の拍手が響き合う。
(そうだね。こうして一生懸命みんなで競い合うっていいよね)
私も不思議な感動を感じながら、笑顔で拍手をし続けた。この行事はきっと来年ももっとパワーアップして続くだろうという確信と共に。
綱の奉納は、後日正装で身を清めた上で行うことになっているので、今日の〝綱引き神事〟はこれで終了だ。
私も午後からは少し屋台巡りをして、ソーヤと海鮮の買い食い三昧のひとときを過ごした。特に貝焼きが絶品で、一生分の貝を食べ尽くした気分だ。
(ソーヤは私の十倍は食べてたけど)
「この濃厚な貝汁がたまりませんねぇ。ぎゅっとした噛み心地からほとばしる海の旨味と塩気、まさに天然の調味料でございます。こちらの貝もまたブリブリで肉厚で柔らかい大粒の身で、柔らかさの中に濃厚な味が詰まっておりまして、半生状態の食感がこれまた……」
ものすごい勢いで食べながらも話し続けるソーヤの食レポを聞きながらの、楽しいひとときだった。街の皆さんも買い食いをしたりお弁当を広げたり、それぞれに祭りを楽しんでいる様子だ。
そして夕方になると〝船流し神事〟が行われることを告げる役員の声が聞こえてきた。
海に注ぎ込む川の浅瀬で、それぞれの祈りと花が飾られた〝アルド舟〟が流されていく。それを見つめて祈る人々の姿はとても神聖な雰囲気が感じられる静かなもので、船の行方を追いかけていく子どもたちの姿と沈みゆく夕日に向かって流れていく祈りの舟の光景は、儚くも美しく、この祭りを締めくくるとても良い行事に見えた。
いつの間にか私の隣にはタイチがやってきていた。
「良いお祭りね」
「はい、すべてはメイロードさまのおかげでございます」
「私はちょっと案を出しただけ。良いお祭りにしたのはタイチやみんなの力だわ」
「それでも、やはりメイロードさまのお力なのですよ。そう思わせてください、せめて私だけでも……」
決して表に出ようとせず、何も誇ろうとしない私に、タイチは理解を示しつつも、それを言えないことに辛さを感じているのかもしれない。
「タイチ……私が望んでいないのだから、それでいいの。とてもいいお祭りができた。それが嬉しいの」
私の言葉に、タイチは少し悲しげに微笑んで、
「はい。すべてはメイロードさまの仰せのままに」
とだけ言って、流れていく舟と夕日を見つめていた。
「トントントコトコ、トントントコトコ……」
少し高い音をした太鼓の音が山の方から聞こえる。太鼓の音が邪を払うという考えは、沿海州では広く広まっているそうで、ここアキツでも神事が行われるときには、こうして一日に何度も太鼓が打ち鳴らされるそうだ。
ここの太鼓は木の幹をくり抜き、それに動物のなめした皮を張って紐でぎゅうぎゅうに縛りつけた素朴なものだが、小さなその太鼓はたくさんあって、街の人たちは楽しそうに交代で演奏役をしているという。
(うん、お祭りって感じがするいい音!)
それなのに、私のそんなのんびりしたお祭り気分は目の前の光景に一瞬でかき消されてしまう。
そう、この私の目の前で繰り広げられている殺伐としているとさえ思える光景が、今日のメインイベントなのだ。
筋肉隆々の男たちで埋め尽くされた会場の四方八方から聞こえてくる雄叫びやら怒鳴り声を前に、私はむしろ呆れていた。
(なんなの? この異様な熱気と盛り上がりは!)
汗と熱気が充満したイベント会場の高い席から見下ろすと、そこはバンダッタ中のマッチョが全員集合したかのような光景だった。
ここは〝綱引き神事〟の会場の関係者席という領主や来賓が座るためのいわゆる桟敷席。のほほんと会場を見に行った私は、領主館の方にあっという間にこの場所へ案内され座らされていまに至る。
「ご領主様よりメイロードさまがいらっしゃいましたら必ずご案内するよう申し付けられておりますので……」
にっこりと微笑まれてそう告げられたら、もう断るのも面倒になり、私はおとなしくその特等席の観客になることにした。
(確かに相変わらずちっちゃい私は、十重二十重の人垣に阻まれて、平場ではまったく前が見えなかったりはするんだ……たはは)
案内された席は立派な椅子、そして冷たい飲みものやおしぼりまで用意されたいわゆるVIP待遇の設えで、しかも最前列中央。
(ご招待はありがたいけど、こんな目立つ席にひとりっきりにしないでよぉ、タイチ!)
そう、私をこの席に招待してくれたはずの当のご領主様であるタイチはといえば、各所の調整のために飛び回っている様子で、全然姿を現さず、他の来賓の多くは例の会議の出席者だったりするので、私にとても丁寧な挨拶をしてくれつつも遠巻きに見ているという感じだ。
もちろん来賓の中にはあの会議に参加していない人もいるので、不思議そうな顔で私を見る人もいたが、それは知らぬふりをしておくしかない。
それにしても〝綱引き神事〟は始まる前から本当にものすごい盛り上がりようだ。初めての試みで、しかも準備期間も短かったはずなのに、網元を組頭とする十五組が参加するそうで、大きな網元からは二組参加させてくれるよう要請があったという。ひと組十名なので、網元としては組数を増やして力自慢が分散することは避けたいはずで、なかなか悩ましいことだが、とにかく参加希望者が多く、二組が出られる網元でも熾烈な予選が行われたと聞いている。
神事という性質上、ゲン担ぎの大好きな漁師たちはこの勝負に今年の豊漁を賭けているので、シャレにならない本気度だそうで、しかも優勝すれば網元から金一封が出るという話もあったと、これは激アツになるしかないという状況だそうだ。
当然、勝負は最初から白熱した。
それぞれの家族、同僚、友人、恋人などなどが詰めかけている応援の熱気も凄まじく、太い声も高い声もみんな力の限り叫び、
「引け! 引け!」
「耐えろ! 耐えろ!」
「頑張れ、もう少し!」
「粘れ、引き戻せ!」
と真剣な顔で声をかけ続けている。
最初から最後まで、試合は勝っても負けても大いに盛り上がり、屈強な男たちが悔しさや喜びで泣き崩れる光景や、お互いの健闘を讃えて抱き合う光景など、不思議な感動に包まれる場面も多く、見応えのあるイベントになったと言っていいだろう。
そして今回の覇者なのだが、なんとヨシン組。そう、タイチのおじさまのヨシンさんが網元をしている組の勝利で幕を閉じた。若い網元の自らが参加していたヨシン組はやはり統率力抜群で息が良くあっていたのが勝因ということのようだ。
決勝間際にやっと席へ戻ってきたタイチと私も、やはりどうしても身贔屓が出てしまい、ヨシンさんの応援に声を枯らしていたので、その優勝は嬉しく、手を叩いて喜んでしまった。本来であれば領主が特定の組を応援するのは良くないのかもしれないが、ヨシンさんとタイチの関係は皆の知るところだし、応援するぐらいは多めに見てもらおう。
熱戦の末の劇的な勝利の興奮がひとしきりおさまったところで、ヨシン組の皆さんは来賓席前に一列に並び、真剣な表情で一礼する。そんな彼らに向かい〝ご領主様〟はこう言葉をかけた。
「初めての〝綱引き神事〟だったが、準備から今日の試合まで、みんなよく頑張ってくれた。今年の奉納役はヨシン組となったが、いまは皆の健闘を讃えよう! こうして皆が己の力を十二分に出し合って正々堂々競い合う姿こそが、大事な神への供物なのだ!」
タイチの言葉に選手たちの雄叫びと観客の拍手が響き合う。
(そうだね。こうして一生懸命みんなで競い合うっていいよね)
私も不思議な感動を感じながら、笑顔で拍手をし続けた。この行事はきっと来年ももっとパワーアップして続くだろうという確信と共に。
綱の奉納は、後日正装で身を清めた上で行うことになっているので、今日の〝綱引き神事〟はこれで終了だ。
私も午後からは少し屋台巡りをして、ソーヤと海鮮の買い食い三昧のひとときを過ごした。特に貝焼きが絶品で、一生分の貝を食べ尽くした気分だ。
(ソーヤは私の十倍は食べてたけど)
「この濃厚な貝汁がたまりませんねぇ。ぎゅっとした噛み心地からほとばしる海の旨味と塩気、まさに天然の調味料でございます。こちらの貝もまたブリブリで肉厚で柔らかい大粒の身で、柔らかさの中に濃厚な味が詰まっておりまして、半生状態の食感がこれまた……」
ものすごい勢いで食べながらも話し続けるソーヤの食レポを聞きながらの、楽しいひとときだった。街の皆さんも買い食いをしたりお弁当を広げたり、それぞれに祭りを楽しんでいる様子だ。
そして夕方になると〝船流し神事〟が行われることを告げる役員の声が聞こえてきた。
海に注ぎ込む川の浅瀬で、それぞれの祈りと花が飾られた〝アルド舟〟が流されていく。それを見つめて祈る人々の姿はとても神聖な雰囲気が感じられる静かなもので、船の行方を追いかけていく子どもたちの姿と沈みゆく夕日に向かって流れていく祈りの舟の光景は、儚くも美しく、この祭りを締めくくるとても良い行事に見えた。
いつの間にか私の隣にはタイチがやってきていた。
「良いお祭りね」
「はい、すべてはメイロードさまのおかげでございます」
「私はちょっと案を出しただけ。良いお祭りにしたのはタイチやみんなの力だわ」
「それでも、やはりメイロードさまのお力なのですよ。そう思わせてください、せめて私だけでも……」
決して表に出ようとせず、何も誇ろうとしない私に、タイチは理解を示しつつも、それを言えないことに辛さを感じているのかもしれない。
「タイチ……私が望んでいないのだから、それでいいの。とてもいいお祭りができた。それが嬉しいの」
私の言葉に、タイチは少し悲しげに微笑んで、
「はい。すべてはメイロードさまの仰せのままに」
とだけ言って、流れていく舟と夕日を見つめていた。
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