730 / 840
6 謎の事件と聖人候補
919 新ダンジョン調査
しおりを挟む
919
「こんにちは! おつかれさまです」
私はとくに荷物も持たず、いつもと変わらぬごく普通の姿でダンジョンの入り口に詰めている兵士のひとりに話しかけた。
ダンジョンの管理は冒険者ギルドの管轄なので、現在封鎖中のこの新ダンジョンの警備にあたっている兵士たちも当然ギルドから派遣されている。そしてここは危険が潜んでいる可能性のある、しかも調査団をひとつ飲み込んでいるかもしれない場所だ。
当然、兵士たちはピリピリしているし、全体の空気も重い。
そんな場所に、まるで散歩の途中のような軽装でにこやかに現れた私。皆さんに怪訝そうな様子全開で「誰だ、こいつ?」と思われても仕方ない。
だが、私は戦うわけでもないし、長くダンジョン内に留まるつもりもないので、近所の山歩きをするときぐらいの服装をしている。
ローブでも着れば、それっぽかったかな? と思わないでもないが、あれはあれで重いので今回は邪魔になると判断した。
それに私は大したことはしないただの偵察なのだという印象を持ってほしかった。最初から姿を見せないというのは、調査の報告をきっちりあげる必要がある今回の依頼では無理がある。姿は見せるが、それは本当に見てくるだけのお使いのようなものだと思って欲しいのだ
(ローブすら着ていない軽装の少女じゃ、驚かれるよね。でも、できるだけ侮ってくれるとちょうどいいんだよねぇ。どうも私が行動したあと、妙に派手な噂が立ちやすい傾向があるから、気をつけなくちゃ。
ともかく、あれこれ詮索されないうちに話を進めてしまおっと)
「ええと、こちらがギルドからの依頼状です。ダンジョンの中の様子をちょっと見せていただきますね」
私はユリシル皇子からの連絡ですぐに冒険者ギルドが用意した正式な依頼書を持ち、その日のうちにダンジョンへ移動してきた。徒歩では面倒な距離だが、アタタガに頼めば二時間とかからない距離だ。待つ理由もないので最速で済ませてしまおう。
「おふたりだけでございますか?」
「ええ、従者と私だけです。みられそうな場所をちょっとみてくるだけです。予備調査みたいなものですよ」
「予備調査ですか」
「そうです、そうです。では行ってきます」
私が提出した書類を見て確認した兵士の横を、スタスタと通り抜ける私に、他の兵士たちも唖然としているが、ここは平然と通ってしまうに限る。
いかつい調査隊がゾロゾロ入ったまま戻ってきていないダンジョンに、平然と入る私は変に見えるだろうが、ここは平然と進もう。
許可証はあるのだ。いらないことは言う必要はない。
簡易的にダンジョン入り口につけられた扉を開けてもらいダンジョンに入ったところで《暗視》と《静移迷彩術》の魔法をかける。不測の事態に備えるために《物理結界》も展開。
(これでなにか降ってきても大丈夫っと)
「ソーヤ、気は引き締めて行きましょう。慎重に、でも手早く三階層まで調べたら帰るわよ」
「承知いたしました。ご指示をお願いいたします」
私は《地形把握》のスキルを使い、周囲の状況をマッピングしていく。
(新ダンジョン調査開始!)
ーーーー
すいません、ここで風邪にて力尽きました。
次回はこの回を編集しつつ続きを書いていきます。
季節の変わり目、皆さんもお気をつけて。
やまなぎ
「こんにちは! おつかれさまです」
私はとくに荷物も持たず、いつもと変わらぬごく普通の姿でダンジョンの入り口に詰めている兵士のひとりに話しかけた。
ダンジョンの管理は冒険者ギルドの管轄なので、現在封鎖中のこの新ダンジョンの警備にあたっている兵士たちも当然ギルドから派遣されている。そしてここは危険が潜んでいる可能性のある、しかも調査団をひとつ飲み込んでいるかもしれない場所だ。
当然、兵士たちはピリピリしているし、全体の空気も重い。
そんな場所に、まるで散歩の途中のような軽装でにこやかに現れた私。皆さんに怪訝そうな様子全開で「誰だ、こいつ?」と思われても仕方ない。
だが、私は戦うわけでもないし、長くダンジョン内に留まるつもりもないので、近所の山歩きをするときぐらいの服装をしている。
ローブでも着れば、それっぽかったかな? と思わないでもないが、あれはあれで重いので今回は邪魔になると判断した。
それに私は大したことはしないただの偵察なのだという印象を持ってほしかった。最初から姿を見せないというのは、調査の報告をきっちりあげる必要がある今回の依頼では無理がある。姿は見せるが、それは本当に見てくるだけのお使いのようなものだと思って欲しいのだ
(ローブすら着ていない軽装の少女じゃ、驚かれるよね。でも、できるだけ侮ってくれるとちょうどいいんだよねぇ。どうも私が行動したあと、妙に派手な噂が立ちやすい傾向があるから、気をつけなくちゃ。
ともかく、あれこれ詮索されないうちに話を進めてしまおっと)
「ええと、こちらがギルドからの依頼状です。ダンジョンの中の様子をちょっと見せていただきますね」
私はユリシル皇子からの連絡ですぐに冒険者ギルドが用意した正式な依頼書を持ち、その日のうちにダンジョンへ移動してきた。徒歩では面倒な距離だが、アタタガに頼めば二時間とかからない距離だ。待つ理由もないので最速で済ませてしまおう。
「おふたりだけでございますか?」
「ええ、従者と私だけです。みられそうな場所をちょっとみてくるだけです。予備調査みたいなものですよ」
「予備調査ですか」
「そうです、そうです。では行ってきます」
私が提出した書類を見て確認した兵士の横を、スタスタと通り抜ける私に、他の兵士たちも唖然としているが、ここは平然と通ってしまうに限る。
いかつい調査隊がゾロゾロ入ったまま戻ってきていないダンジョンに、平然と入る私は変に見えるだろうが、ここは平然と進もう。
許可証はあるのだ。いらないことは言う必要はない。
簡易的にダンジョン入り口につけられた扉を開けてもらいダンジョンに入ったところで《暗視》と《静移迷彩術》の魔法をかける。不測の事態に備えるために《物理結界》も展開。
(これでなにか降ってきても大丈夫っと)
「ソーヤ、気は引き締めて行きましょう。慎重に、でも手早く三階層まで調べたら帰るわよ」
「承知いたしました。ご指示をお願いいたします」
私は《地形把握》のスキルを使い、周囲の状況をマッピングしていく。
(新ダンジョン調査開始!)
ーーーー
すいません、ここで風邪にて力尽きました。
次回はこの回を編集しつつ続きを書いていきます。
季節の変わり目、皆さんもお気をつけて。
やまなぎ
311
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【短編】花婿殿に姻族でサプライズしようと隠れていたら「愛することはない」って聞いたんだが。可愛い妹はあげません!
月野槐樹
ファンタジー
妹の結婚式前にサプライズをしようと姻族みんなで隠れていたら、
花婿殿が、「君を愛することはない!」と宣言してしまった。
姻族全員大騒ぎとなった
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
オネエ伯爵、幼女を拾う。~実はこの子、逃げてきた聖女らしい~
雪丸
ファンタジー
アタシ、アドルディ・レッドフォード伯爵。
突然だけど今の状況を説明するわ。幼女を拾ったの。
多分年齢は6~8歳くらいの子。屋敷の前にボロ雑巾が落ちてると思ったらびっくり!人だったの。
死んでる?と思ってその辺りに落ちている木で突いたら、息をしていたから屋敷に運んで手当てをしたのよ。
「道端で倒れていた私を助け、手当を施したその所業。賞賛に値します。(盛大なキャラ作り中)」
んま~~~尊大だし図々しいし可愛くないわ~~~!!
でも聖女様だから変な扱いもできないわ~~~!!
これからアタシ、どうなっちゃうのかしら…。
な、ラブコメ&ファンタジーです。恋の進展はスローペースです。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。(敬称略)
【完結】婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
2025.10〜連載版構想書き溜め中
2025.12 〜現時点10万字越え確定
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。