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恋の伝え方
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色彩の感じられない私の瞳には、彼だけが色鮮やかに、輝いているように見えた。
モノトーンの世界で生きてきた私にとって、彼に興味を抱くのは必然的だ。色のない世界の中で一際鮮やかに輝く人。
もちろん彼が光っているわけでも、彼だけがカラーに見えるわけでもない。だが、それ程までに惹き付けられた。
この時から私の大学生活がガラリと変わる。
それまでは大人しく、静かに過ごしていた私はきっとあまり周りから注目はされて無いのだろう。背景と同じようにしか認識していないと思われる。
だが今では私の位置づけは彼、彼女等の中ではドジっ子になっているようだ。
それもそのはず。
視界の片隅にでも彼の姿が入れば目で追い、視線が逸らせない。
何度、柱や壁や木に頭をぶつけたかもはや数えられない程に。
要は彼を目で追うあまり前を見てない私は、傍から観ればぼーっとして良くぶつかったり、転んだりする子。という訳だ。
同じ授業を受講してた時は、頑張って彼に自己紹介と、お友達になりましょうと伝えた。
たどたどしく、つっかえ、間違えながらも伝えた私を……彼は笑わずに真剣に受け止めてくれた。
『友達になろう。これから、よろしくね』
彼からそう返ってきた時は有頂天になり、興奮のあまり彼の手を両手で握り締めてしまった。
今思い出すと本当に恥ずかしい。綺麗な瞳を瞬いて、彼は驚いた顔をしていたのをいまでも覚えている。
見開いた彼の瞳に私の顔が映っているのが見えた。つまりは、それほどまでにお互いの距離が近かった。
それからはたまに一緒になる授業では隣で受け、ノートの貸し借りなどもテスト前はした。
時間が合えば一緒に昼食をとり。
とにかく、他愛ない話をしながらも友人として過ごした。
彼はどうだかは分からないが、元々一目惚れだった私は、優しく誠実な彼にどんどん惹かれていった。
そして--
バレンタイン。
人生で初めてと言っても過言ではない程に悩み、決めた手作り。親に手伝ってもらって作った、きっとカラフルであろうマカロン。
間に挟むのはチョコクリーム。
これに込められた意味に気づいてくれるかは分からない。
だから『好きです』と大きく書いた小さなカードを同封した。
親には『貴女の口から直接伝えたらいいじゃない』と言われた。
もちろん、ちゃんと本人にも伝えるつもりだ。でも上手く伝わらなかった時を考えて、カードも入れ、意味を考えてマカロンも作ったのだ。
小さめの、4つに仕切られた箱の中にマカロンを3つ。ハート型に固めただけの小さいチョコを残りの1つに。
カードを入れた小さな封筒の端っこに穴を開け、それをリボンで箱に留める。
2/14
バレンタインデー当日。
丁寧にラッピングした箱を両手で渡す。彼が受け取ってくれた後、必死に何度も練習した想いを目を見て伝える。
『大好きです』
見開いた目は、いつか見た驚きの表情。
そして私は返事も聞かずに走り去ってしまった。所謂、言い逃げだ。
今思い返すと、あの時の自分を殴りたい思いにかられる。
それから、何度となく話しかけたそうにしていた彼を、避けに避けた。返事を聞く勇気が出なかったのだ。
いつしか彼も無理に私を捜しまわる事をしなくなり、今まで隣で受けてた授業も離れて座り。お昼も一緒に食べなくなっていった。
激しく後悔した。
3/14
ホワイトデー。
世間では騒がれているこの日は私に無関係だ。
……そう、思っていた。
彼から呼び出され、渡された袋。
少し重みがある。中を見ようと手を伸ばすが--
『家で開けて、その意味は自分で調べて。話聞いてくれなかったから、僕からは教えない』
そして彼は一月前の私のように、背を向け去っていった。
家に帰り、袋を開ける。
まるでパフュームの瓶の様な丸い形をした入れ物の中に、沢山のハート型のキャンディが入っていた。
薄らと涙の浮かぶ目を見開き、震える口から嗚咽が漏れた。咄嗟に手を当てるが、その手も震えている。
キャンディ
『あなたが好きです』
それは私が必死に調べた意味の中に載っていた。好きと伝えた私への返事。
封を開け、一つ口に入れる。
甘酸っぱいイチゴの味がした。
目敏い母親にキャンディを見つけられ、顔を真っ赤にした彼女は
『あらあら!それ、キャンディの色全部真っ赤じゃないの!味は全部イチゴかしら?……え、リンゴもあったの?あらまあ!ふふふふふ、ロマンチックなのね、キャンディくれた彼は』
なんでも。
イチゴは【恋、結婚、子孫繁栄(最後の一つは見てないのかもしれない)】
リンゴは【運命の相手】
なんだとか。
その意味を聞いた私は林檎のように頬を染める。
ああ。
明日、彼に会ったらなんと伝えようか。
モノトーンの世界で生きてきた私にとって、彼に興味を抱くのは必然的だ。色のない世界の中で一際鮮やかに輝く人。
もちろん彼が光っているわけでも、彼だけがカラーに見えるわけでもない。だが、それ程までに惹き付けられた。
この時から私の大学生活がガラリと変わる。
それまでは大人しく、静かに過ごしていた私はきっとあまり周りから注目はされて無いのだろう。背景と同じようにしか認識していないと思われる。
だが今では私の位置づけは彼、彼女等の中ではドジっ子になっているようだ。
それもそのはず。
視界の片隅にでも彼の姿が入れば目で追い、視線が逸らせない。
何度、柱や壁や木に頭をぶつけたかもはや数えられない程に。
要は彼を目で追うあまり前を見てない私は、傍から観ればぼーっとして良くぶつかったり、転んだりする子。という訳だ。
同じ授業を受講してた時は、頑張って彼に自己紹介と、お友達になりましょうと伝えた。
たどたどしく、つっかえ、間違えながらも伝えた私を……彼は笑わずに真剣に受け止めてくれた。
『友達になろう。これから、よろしくね』
彼からそう返ってきた時は有頂天になり、興奮のあまり彼の手を両手で握り締めてしまった。
今思い出すと本当に恥ずかしい。綺麗な瞳を瞬いて、彼は驚いた顔をしていたのをいまでも覚えている。
見開いた彼の瞳に私の顔が映っているのが見えた。つまりは、それほどまでにお互いの距離が近かった。
それからはたまに一緒になる授業では隣で受け、ノートの貸し借りなどもテスト前はした。
時間が合えば一緒に昼食をとり。
とにかく、他愛ない話をしながらも友人として過ごした。
彼はどうだかは分からないが、元々一目惚れだった私は、優しく誠実な彼にどんどん惹かれていった。
そして--
バレンタイン。
人生で初めてと言っても過言ではない程に悩み、決めた手作り。親に手伝ってもらって作った、きっとカラフルであろうマカロン。
間に挟むのはチョコクリーム。
これに込められた意味に気づいてくれるかは分からない。
だから『好きです』と大きく書いた小さなカードを同封した。
親には『貴女の口から直接伝えたらいいじゃない』と言われた。
もちろん、ちゃんと本人にも伝えるつもりだ。でも上手く伝わらなかった時を考えて、カードも入れ、意味を考えてマカロンも作ったのだ。
小さめの、4つに仕切られた箱の中にマカロンを3つ。ハート型に固めただけの小さいチョコを残りの1つに。
カードを入れた小さな封筒の端っこに穴を開け、それをリボンで箱に留める。
2/14
バレンタインデー当日。
丁寧にラッピングした箱を両手で渡す。彼が受け取ってくれた後、必死に何度も練習した想いを目を見て伝える。
『大好きです』
見開いた目は、いつか見た驚きの表情。
そして私は返事も聞かずに走り去ってしまった。所謂、言い逃げだ。
今思い返すと、あの時の自分を殴りたい思いにかられる。
それから、何度となく話しかけたそうにしていた彼を、避けに避けた。返事を聞く勇気が出なかったのだ。
いつしか彼も無理に私を捜しまわる事をしなくなり、今まで隣で受けてた授業も離れて座り。お昼も一緒に食べなくなっていった。
激しく後悔した。
3/14
ホワイトデー。
世間では騒がれているこの日は私に無関係だ。
……そう、思っていた。
彼から呼び出され、渡された袋。
少し重みがある。中を見ようと手を伸ばすが--
『家で開けて、その意味は自分で調べて。話聞いてくれなかったから、僕からは教えない』
そして彼は一月前の私のように、背を向け去っていった。
家に帰り、袋を開ける。
まるでパフュームの瓶の様な丸い形をした入れ物の中に、沢山のハート型のキャンディが入っていた。
薄らと涙の浮かぶ目を見開き、震える口から嗚咽が漏れた。咄嗟に手を当てるが、その手も震えている。
キャンディ
『あなたが好きです』
それは私が必死に調べた意味の中に載っていた。好きと伝えた私への返事。
封を開け、一つ口に入れる。
甘酸っぱいイチゴの味がした。
目敏い母親にキャンディを見つけられ、顔を真っ赤にした彼女は
『あらあら!それ、キャンディの色全部真っ赤じゃないの!味は全部イチゴかしら?……え、リンゴもあったの?あらまあ!ふふふふふ、ロマンチックなのね、キャンディくれた彼は』
なんでも。
イチゴは【恋、結婚、子孫繁栄(最後の一つは見てないのかもしれない)】
リンゴは【運命の相手】
なんだとか。
その意味を聞いた私は林檎のように頬を染める。
ああ。
明日、彼に会ったらなんと伝えようか。
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