俺と幼馴染だけ、異世界の別の場所に転移したそうです

ふじ

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第2章 俺と幼馴染と異世界

5.

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森の中を結構歩いた気がする。

その中で俺たちは情報共有を行なっていた。
っても、俺が勝手に情報もらってばっかだったけどな。

悠理の話では
*予知夢の中で、異世界へ飛んだ俺は魔王に殺されて死ぬらしい。
それを阻止するため、女神にお願いし俺と悠理だけ別の場所に転移させてもらった。
また魔王討伐には向かないよう、冒険者として過ごすことを悠理は希望している。
*他のクラスメイトたちはリービッヒ国に召喚されているはず。
 元気かどうかはわからない、生きているかもわからない。
*本来ならオウガマヤ国が勇者召喚に成功し魔王討伐を果たすのだが
リービッヒ国が先に勇者を召喚してしまい、
魔王vs人間の最悪な未来へと進んでいるらしい。(悠理経由の女神情報)
*転移された段階でそれぞれステータスというものがつくらしい。
「ステータスオープン」というだけで
iPadのような画面が目の前に出てきて確認できる。
俺は《召喚士》というものだった。
悠理は《暗殺者》らしい。
スキルは鍛えれば使えるものも増えていき、
上級のスキルも使えるようになるらしい。(悠理経由の女神情報)
消費する際にはMPを消費するので減り具合に注意。
*スキルと同時に、魔術も付与されている。
これもレベル上げが必要なものらしい。
手っ取り早くは魔女もしくは魔術師に師としてついて貰うのが1番のようだ。
こちらはHPを消費するようだ。これも注意だな。
*お金に関しては多少女神からふんだくった(?)らしい。
使い方までは聞くのを忘れたようだ。

まぁ、こんなもんだろうか。。

正直、クラスメイト達の行方が分からないのは心が痛む。
どこかで生きているかもと思って生きていくしかない。
無事、王様達の召喚で召喚されてればいいけど。。。

俺には転移の時に悠理に
クラスメイト全員を助け欲しいなど言えはしなかった。

悠理も悠理で辛かったのだ。
基本的には、予知夢での出来事は起こること前提で話が進む。
その未来を少しでも変えようとすれば
どこでどんな変動が起こるか分からないからだ。
だからこそ今までは気をつけて
状況が変わったらいいな。の程度だった。

それを俺が死ぬという予知夢を変えるために2人もの人間の
転移先を変えたのだ。女神を使って。
正直、どこでどんな変動が起こっても仕方がない状況で
俺らは生き抜いていくしかない。

悠理は初めから分かっていたのだ。
だからこそ、俺は悠理の行動に応えていかなければならない。
生きていかなければならないのだ。

ただーーーーー

(悠理の話を聞く限り、こんなにも女神が良くしてくれ事なんてあるのか?
もしかして悠理は女神と取引でもしたんじゃなかろうか)

俺の中には一抹の不安が芽生えてしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コンパスが正しい方角を示していると信じて俺たちは進むが
森の中だからこの方向があっているのかの確認が取れずにいた。

そう、迷っていたのだ!

(そもそも異世界でコンパスって役に立つのか?
せめて、森から外れて草原とかに出れたら何か変わるのかも)


ふと、静かな森の中でその音は聞こえてきた。

パカラッ、パカラッ、パカラッ、、、

ーーーーこの音は、もしかして!!

「悠理、こっちだ!!」
「まって、真司……!!」

俺は音のする方へ走っていく。

少し走ったとことで俺たちは草原に出た。
どうやら、森を抜けたらしい、、、

ヒヒヒーーーーン
「うわぁぁ!!」

俺が急に飛び出してしまったため馬が驚いてしまったようだ。
俺も思わず尻餅をついてしまった。

「おい、あぶねぇじゃねーか、お前!!」

「す、すみません」

驚いていたのは馬車を引いていた馬のようだ。

悠理が後を追いかけてきた。
「真司、急に走るなんて…」

「お前らこんなところで何してんだ。
ここは商人が行商に使うために利用する道だぞ」

おれは、尻餅の痛みとおっさんの威圧感で
完全に萎縮してしまった。

「私たちは森深くの村から来た身でして
こういった通りなどであると知らなかったのです。
急に飛び出してしまいすみませんでした。」
悠理が咄嗟の機転を利かせて答える。
ナイスだ悠理!

「だから、お前ら変てこりんな服装してるのか、
まぁ盗賊ではなさそうだから見逃してやるが次からは気をつけろよ!」

「あ、あの、ご迷惑をおかけした上で申し訳ないのですが、
私たちは冒険者になるべくオウガマヤ国を目指しています。
オウガマヤ国へいく道を教えていただけないでしょうか…。」

「ほう、2人とも冒険者になるのか?」
「その予定です」
悠理が仁王立ちで答える。

おっさんは、ふーん。そうかぁ。と言うと、
悠理を見定めした後に俺を見た。

「お嬢ちゃんは合格だろうが、そこの腰抜けは落ちるだろうな」
鼻で笑ってそう応えた。

「なんだと……」
俺は尻餅の痛みが引いてきたので起き上がる。
なんとも失礼なおっさんだ。

「これでも俺は冒険者を兼ねた行商を生業としている。多少人を見る目は持ってると自負しているんだがなぁ」

「だとしても、私たちは生きていく力が欲しいのです。
そのためにオウガマヤ国へ行きたいのです。
どうが助けてくださいませんか」

少し間を置き、おっさんが答えた。

「元々この先のオウガマヤ国へいく予定だから仕方なく乗せてやる。
入国審査もあるだろうし、運ぶのは国門までだがな。
おい腰抜け坊主、お嬢ちゃんの熱意に感謝しろよ?」

「「あ、ありがとうございます!!」」

ちょっと納得いかないが、
たしかにこういう場面での悠理の咄嗟の対応はすごかった。
情けねーおれ。

おじさんにお辞儀をして、荷台にのっかる。

「俺の名前はアルシュだ」

「俺はシンジと言います」
「私はユーリです」

「んじゃ、落ちないようにしっかり掴まってろよ」

そういうと馬車は再び走り出した。

アルシュさん曰く、オウガマヤ国まで馬車で約3時間らしい。

歩いていたら今日中についていたのか
分からないほどのようだ。

納得はしてないが、オウガマヤ国までの移動が短縮されたのは、俺たちにとって幸運な事だった。
荷台の端っこに体操座りで座る俺たち。

「ふふっ」
悠理が小さく笑う。

「なんだよ、何かおかしいことでもあったか?」

「さっきの尻餅のついた真司、面白かったなーって」

「悠理、お前なー」
ちょっとバカにされたので、
こずいてやろうと上半身を起き上がらせる。

ガタンッ。
大きな石につまずいたのか、荷台が揺れた。

思わず俺の態勢が崩れる。

「す、すまん」

俺の態勢が悠理に覆いかぶさる体制になってしまった。

((は、はずかしいーーーー////))

「お前ら大丈夫かー??」
アルシュが聞いてくる。

「だ、大丈夫です!」
悠理が答える。

「ここら辺ちょっと道が荒れてるから、気をつけておけよ」
アルシュが助言をくれた。

「そ、そうします!」
丁寧に対応しているようで、上からの覆いかぶさる態勢である俺はわかる。
悠理の顔が真っ赤であることに。

(悠理はそういった感情に鈍感だと思っていたけど…もしかして…?)

俺はこんなタイミングにもかかわらず
多少のあらん妄想をしてしまいそうになった。

「真司、本当に落ちることになりそうだから、はやく態勢戻して」
悠理の言葉で目が覚めた。

はい、すみませんでした。


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