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第2章 俺と幼馴染と異世界
7.
しおりを挟むオウマガヤ国の町並みは
感覚で言うところのヨーロッパに来たような感じだ。
基本はレンガ造りの建物が多い。
そして、欧州系の顔に近い。
(ってことは俺らのようなアジア系の顔は珍しくなるのか??)
と言っても、人間だけではなく
いろんな種族が歩いているので
アジア系の顔だけじゃ注目はされないか。
それでも、悠理の整った顔は
すれ違う人の目を惹きつける様で
ちょっと俺としては複雑であったりもする。
(どんな世界でも綺麗の感覚は同じなのだろう)
ジュベルさんに教わった道を進んでいく。
歩いて30分ほどで俺たちは
冒険者ギルド〔アルジューム〕についた。
レンガ造りの建物が町並みを占めるの中、
冒険者ギルドは例えるなら
(テキサスとかにありそうな木造の建物)
ほら、よく銃でドンパチやってるその背景にありそうな建物だよ!
ここだけ雰囲気が違うのは、
それだけの歴史があるからなのか?
俺がそんなこと考えている隣で
悠理は御構い無しにギルドに入っていく。
チャリン、チャリーン
ドアを開けたユーリはその場の視線を集める。
1階は奥に受付スペースがある以外は
テーブルと椅子が点々と置かれている。
ドアから見て右側の壁には依頼表だろうか、たくさんの紙が貼られている。
「嬢ちゃん、入る店間違ってんぞー笑」
「お、可愛子ちゃんじゃねーか??」
ほかの冒険者たちが冷やかしてくるのを気にせずに悠理は受付へと歩いていく。
「いらっしゃいませ。冒険者試験希望の方ですか?」
受付担当のエルミンが対応する。
「はい、2名希望です」
「お名前をお願い致します」
「シンジです」
「ユーリです」
エルミンは先程シンシア様から
《シンジとユーリという冒険者試験希望者が来たら連絡が欲しい》と言伝を受けていた。
「少々お待ちくださいませ」
エルミンは受付から離れて裏へ行くとシンシア様へ連絡する。
「もしかしたら忙しかったのかな?」
「これで忙しいとしたら、閑散期はどうなってるのよ」
「確かに、けど受付の人裏に行っちゃったよ?」
「確かに…何か不味いことした??」
「お待たせいたしました。シンシア様が2階でお待ちですので、そのまま横の階段から2階へ上がっていただき、突き当たりの奥の部屋へどうぞ」
エルミンが案内する。
周辺にいた冒険者たちがざわつく。
それもそうだ、本来なら冒険者試験は受付のその場で行われるからだ。
忙しくとも2階の奥の部屋までは案内されない。なぜなら突き当たりの奥の部屋は冒険者ギルド代表シンシアの書斎だからだ。
「あんなヒョロヒョロがなぜ?」
「何かの間違いじゃないのか?」
俺たちは他の冒険者が騒ついたのに気にすることなく階段を上っていく。
(どうやら試験は受けれそうだ)
シンジは口頭審問はアレとしても適性検査が心配であった。
(心の強さ、か。もう、受けるしかねー!)
俺たちは2階へ上がり
突き当たりの奥の部屋へ入った。
コンコン
「どうぞ、お入りなさい」
シンジがドアを開ける。
目に入ったのは背の高い、クリーム色の髪色でロングヘア、ハリーポッターの様な眼鏡をかけたおじさんだった。日の当たり具合からだろうが後光が射しているようにも感じた。
「シンジさん、ユーリさん、こんにちは。私がこの冒険者ギルド〔アルジューム〕の代表シンシアです」
「こ、こんにちは」
「こんにちは」
(冒険者試験はギルドの代表が直接やるのか)
俺は素直に受け止めていたが
ユーリは何かを察したのか、
シンシアを疑う様な目をしていた。
(ほぅ、確かに彼女の方はセンスがあるな)
「そんな疑わなくてもとって食ったりしませんよ。そちらの椅子にどうぞお座りなさい」
「「失礼します」」
下座に俺たちは座る。
シンシアさんは上座に座り、俺たちをゆっくりと見ていた。
そして口を開く。
「率直に申し上げると2人の冒険者試験はおまけです。ある程度のレベルはすでに分かっておりますので、あとで受付のエルミンからプレートを受け取ってくださいね。さて、今回は2人のことが知りたくてこちらまで来て頂きました」
(どう言うことだ??)
俺たち昨日の今日この世界に来たばっかりだぞ??試験受けてねぇのにプレートって??
悠理は何か気づいているのか??
「もしかしてこの椅子ですか?」
悠理がシンシアさんに尋ねる。
「よくぞ気づきましたね。あなたはユーリさんで宜しかったかな?」
各国の冒険者ギルドの代表は
本来自分自身しか見れないはずのステータスプレートを他人のも確認することができるのだ。
その代わり、相手を自分が指定した物に触れさせないといけない。
それが今回の場合は2人が座った椅子だった。
「単なる直感です」
悠理が答える。
「それはそれは、羨ましい才能ですね」
シンシアがにっこりと笑う。
(この人、気味が悪い……それに私のステータスが見られたのは不味い。女神の加護がバレてしまった)
「さて、2人はなぜこのギルドへ?」
シンシアはにっこりと笑った。
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