俺と幼馴染だけ、異世界の別の場所に転移したそうです

ふじ

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第2章 俺と幼馴染と異世界

9.

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真司の足音が1階へ向かっていくのを確認して
シンシアの方へ体を向ける。

「そんな顔をしなくとも、いいじゃないですか。
あなた達は僕らの仲間なのですから」

シンシアはにっこりと笑ってはいるが、
(この人、目が笑っていない…)

悠理には分かるのだ。
現実の世界で小さい頃に見ていた笑顔にそっくりだったから。

「冒険者は誰にでも平等と聞いてます。良くも悪くも。
先程の理由くらいじゃ、シンシアさんから話すことないと思いますけど」

「私が呼び止めた理由は、あなたがよくわかっているでしょう」

空気が変わった。いや、シンシアが変えたのだ。

女神の加護を知られてしまっている以上、
いろんなルートを考えたとて結果は最悪だった。

あの時の迂闊だった自分のバカ。

「結論から申し上げると、
その力我々の為に使うという選択肢はありますか?」
「ないですね」
悠理は間髪入れずに答えた。

この力は真司のためにと女神に要求したのだ。
そもそも他の人のために使うほど悠理は優しくはなかった。

「まぁ、いいでしょう。いずれ使がくるかもしれませんからね。
その時を素直に待つといたしましょう」

シンシアはにっこり笑った。

もう部屋を出てもいいかな。。。。
真司を待たせている。はやく帰りたいのだ。

それに気づいたのか、シンシアが
わざと思い出したかのように続けた。

「あぁ、そういえばこの国この街にはがいるそうですよ。
お会いできるといいですね」

「魔女を知っているの!?」

悠理には願ってもない情報だった。
魔術は自力でも能力を高めることができるが
魔術師か魔女に師を仰ぐことで習熟スピードが高まるのだ。
魔術師は自身の得意とする項目を持つ者に限られるが
魔女はオールラウンダーであり、師弟契約を結んだ弟子に
自身の魔力を与えて育てていくことになるため、感覚で学ぶ部分の魔術の技能が
スムーズに身につけられると女神から聞いてた。

闇の魔術は、正直会得している人は少ないなかで
それでも早くに闇の魔術を会得しなければならない悠理にとって
冒険者ギルドの次に優先事項として欲していた情報だった。

「私もだいぶ昔ですが魔女と師弟契約を結び魔術を会得した人間です。
たしかは、、、、まぁいいや。
をお持ちのあなたなら案外容易く出会えるかもしれないですしね」

どうやらこれ以上の情報は教えてはくれなさそうだ。

「加護がなくとも、出会ってみせますので
ご心配は無用です」

悠理は強く扉を閉め、部屋から出て行った。

(ジュベルさん、あなたって人は、、、、、
本当に凄い子たちが来てしまいましたよ)

シンシアは笑ってみせた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「案外早かったのな、もっとかかるかと思ったよ」
「セクハラとかの話だったから、早々に切り上げてきた」

真司は椅子から立ち上がり
悠理の後ろに回り込む。

そして、、、、、
「じゃ、じゃーん」

後ろから冒険者のプレートをつけたのだ。

〔冒険者 ユーリ   ランクE級〕

「これでお揃いだな!」

真司の屈託のない笑顔が悠理の癒しになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

エルミンさんからギルドのルールを教えてもらい。(俺は2回目)

今日宿泊する予定の宿をどうするか相談していた。
正直この街の中で転々とするのはめんどくさい。
ある意味その宿を拠点として生活の基盤を築いていきたいのだが
なんせこの世界に来たペーペーがそんな宿を知る由もなかった。

「それなら、カンパレリは如何ですか?」
エルミンさんが提案してくれた。

「初級冒険者さんには結構優しい宿だと思いますよ?
ご主人はちょっと気難しい方ですが料理が美味しくて
泊まらないけど食事を食べていく行商さんとかもいるくらいです」

よし、そこにしよう!

「基本宿は前払いですが、お金はありますか?」

「村から持ってきたのがここに…」

悠理、女神様からお金をそんな風に言うのか。。。

「これだけあれば十分、むしろどれだけ貯めていたんですか…」

悠理が四次元ポケットから取り出した巾着には
ずっしりと金貨が入っていた。

え、この金貨すごい価値なの??

「正直、俺ら価値がわかっていなくて
金貨1枚どれくらいの価値があるのでしょうか。」

エルミンがびっくりしていたが
丁寧に教えてくれた。

《お金の価値》

銅貨1枚 = 日本円         1円
銀貨1枚 = 銅貨1000枚   日本円 1000円
金貨1枚 = 銀貨      10枚   日本円10,000円
白金貨1枚 = 金貨 1000枚 日本円10,000,000円

うひゃーすげえ額。。。。

まぁ、エルミンが問題ないと言っていたし
巾着から溢れていたお金を戻して
俺たちは宿屋カンパレリを目指した。



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