40 / 52
第3章 勇者たちの行方
5.
しおりを挟む水晶に近いクラスメイトから手を触れていく。
そして、姫様が指定するグループの先生の元へ向かう。
安藤は俺を適当なタイミングで戦士のグループの元へ連れて行き、スキルを解除した。そして自身もあたかもそこにいたかのようにして、水晶に触り隠密者のグループへ向かう。
(さーて、俺はどうなるかな?)
佐々木が、水晶に触れる。
呪いを解くのは治癒に入るのか魔術に入るのか、正直分からない。
姫様の気分次第ってことになる。
(これで治癒グループに入れたらラッキーだぜ)
「そうねぇ、あなたは魔術師かしらね!」
やっぱりそうきたか。
そうだよな、わざわざめんどくさい者を自身で処理する方法は選ばないだろうからな。
28名全員のステータス分類が完了した。
健二郎は戦士ということにさせた。
((((なんとか乗り切った…))))
何故あんなにも連携が取れていたのか健二郎には分からなかったが、佐々木、安藤、遠藤のお陰であることは間違いない。
(あとでお礼を言わなきゃな。)
(あれ、健二郎って測ってたっけ?)
持田洋子は疑問を抱いていた。
だが、基本的に水晶に触ってから、グループの元へ行っていた。
洋子が終える前に健二郎はすでに戦士のグループにいたのだ。
(私の勘違いかな?)
不思議に思う洋子の姿を見て、エリーゼはニヤリと笑った。
「皆様の訓練は2ヶ月間を予定しております。皆さまがまたここに集まる時、その時には魔王を倒せるほどの力を身につけてらっしゃると信じております」
ってことは、余命2ヶ月はあるってことだ。
それまでに国外逃亡の準備をする。
俺たち4人は各自身、改めて認識した。
健二郎と同じ戦士のグループにいる恭子は分かっていた。
(松本くんはズルしている…)
けど、ここで公にするのもなんだが気がひける。
彼にちゃんと話しを聞いてから、どうするか決めよう。
もしかしたら、国外逃亡の仲間に入れてもらえるかもしれない。
その後は、各グループごとに
メンバー同士の挨拶といったところか。
戦士グループも教えてもらうことになる騎士の人たちの自己紹介と自身の自己紹介でその日は終わった。
------------
治癒グループは
姫様専用の客間にてちょっとしたアフタヌーンティを楽しむ感じだった。
治癒グループはなんと女子5人でのみだったので、なんとも女子会としか思えなかった。
洋子は治癒師のステータスで良かったと心底思っていた。
だって、前線で戦うのも、隠密みたいな縁の下の力持ちみたいなものも嫌だったからだ。
魔術師も惹かれることがあったが、先生となる人が怖そうで嫌だった。
(異世界まで来て、好きじゃない勉強をするのだから、いいと思う人にしか教えてもらいたくないわ)
それにしても引っかかったのは健二郎のことだった。
健二郎は元々目立ちだかりやな部分もある、けど昨日のパーティもそうだが、変に目立たないようにしていたのが洋子は気になって仕方なかった….
(健二郎が勇者だったら絶対似合うと思ったんだけどなぁ。)
そして勇者健二郎が怪我をして私が治す。
健二郎は私に絶大な信頼を寄せてくれる。
もうハッピーエンドが待ってる感じね!
(せっかくアイツがいないんだもの。今のうちに健二郎の心をつなぎとめなきゃ)
「皆様は好きな方はいらっしゃるの?」
エリーゼ姫が紅茶カップ片手にこやかに聞いてきた。
「私、生まれてからほぼこの城から出たことが無くて、お茶会が出来てすごく嬉しくてつい、、、いけませんはね。私は皆様に魔力を教える立場。でも、今日だけは許してくださる??」
「そんなことないです、私たちも姫様とお話しできて嬉しいです」
「ほんと、光栄に思ってます」
洋子含め、5名全員が姫様の虜になっていた。
当たり前だ、言葉の呪いの他、彼女らの飲み物に少量の惚れ薬を使ったのだ。
惚れ薬と聞くと異性に使われると思うだろうがあくまで効果はその相手に使われるのだ、同性であってもそれは同じである。
「洋子は、健二郎の事が好きなのよね?」
とある女子生徒が口を滑らす。
「わ、私は別に…////」
恋愛話とは面白いもので、本人たちよりも周りが正直になることの方が多い。
そして、人間関係がよく分かる。
特に狭い人間関係だと余計に…
「人を愛するということは、素敵なことですわ。治癒の気持ちもそういった気持ちから生まれるのです。慈しみと愛情を持って治癒の力を高めましょう」
「そして、皆さんの愛する方を守るのですよ。それか皆様にとっての幸せになるのですから。」
エリーゼ姫は紅茶カップをテーブルに置く。
洋子含め、女子生徒たちは
半ば洗脳を受けているような感じだ。
(私はこの手で健二郎を守らないと…)
特に個人的な恋心を持つ子は、よく動く。それも想いが強ければ強いほど、、、
(いいカモが見つかったわ…)
エリーゼとしては満足のいく結果となった。
------------
俺たちはその日の夜も集まった。
健二郎により、安藤が気配消去を用いてみんなに連絡を回したのだ。
昨日と同様の広場へ集まる。
「今日はどうだった?」
「戦士のところは騎士団にお世話になるから自己紹介と階級とかの話をされたよ。正直興味がないから覚えてないな。」
「あの健二郎が覚える気がないなんて珍しいね笑」
安藤が笑う。
「単にライバルになり得る和田もいねーから手を抜いてるだけだろ?笑」
「そんなことはない!ゆくゆくは此処からいなくなるんだ、騎士の階級なんて関係ないと思ったまでさ」
佐々木の挑発に思わず乗ってしまった。。
「ふーん(笑」
「おれら魔術師のグループは自己紹介は勿論だけど、個々の魔力を確認されたよ」
「そして案の定先生を煽ってしまった俺が早速目をつけられたというね」
なにしてんだよ。。。
「だが、俺は思った。あの人を味方につけれたら多分国外逃亡は上手くいく!」
目をつけられたお前が何言ってんだよ。
「それは俺も思った。ただの感覚でしかないけど、あの人の魔力はなんか違うんだ。佐々木が煽って先生の魔力を見せろって言った時に出したあの魔力、、なんかおかしい」
遠藤までがそういうのか、ガルデリオ先生、、気になるな…
「私のところは早速訓練に入ったよー。気配探知っていうのをやった!あれ30分やるだけで相当な魔力使うんだけど、それを常に行えるようにしとけって、えぐい!エグすぎる!寝てる時もってことだよ!えぐいー!」
途中から愚痴になってるぞ、安藤。
「だーかーらー、気づいちゃったんだよね、そこの茂みにいる子は誰かなー??」
安藤は自身の目の前にある茂みにまっすぐ指をさした。
茂みからは何も聞こえてこない。
安藤の間違いか?
ガサッ
「ご、ごめんなさい」
出てきたのは三橋だった。
0
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる