盾の騎士は魔法に憧れる

めぐ

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再び手にした決意

ゴブリンスタンピード2

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 あの壁があった場所は、にわかには信じられない光景となっていた。

 多数のゴブリンが崩れた壁の穴から次々と街になだれ込み、守護隊の面々がその対応に当たっている。
 既に何匹かは街の奥に入り込んでしまっているようだ。

「ゴードンっ!一人を王城前に待機させている2番隊に使いに出せ!2番隊には街に入り込んだ魔物の捜索とその討伐を行えと伝えろ!」
「了解しました!」

 近くに居た、3番隊の隊長ゴードンに指示を飛ばす。
 ゴードンは弓の名手だ。話ながらも次々と矢をつがえゴブリンの頭を射抜いていく。

 儂も、次々と襲いかかってくるゴブリンを愛用のランス剣を手繰り片っ端から突き殺していく。

 一体どれだけいるというんだ?!
 冒険者達はどうなっている?!

 確認したいことがいくらでもあるがまずはここの鎮圧が優先だ。急いで壁の穴を塞がなければ。

「カインっ!ゴードンっ!半分は東門に残しておけ!向こうも抜かれたら、目が当てられん。」
「はいっ!既にそのように動いています!」

「っ!上出来・・・だっ!!」

 少し大きめの個体を突き刺す。ホブの更に上位種、ファイターだな。
 これは、更に上がいそうだ。

 棲みかとなっている洞窟にはキング・・・。いや、最悪ゴブリンロードがいる可能性がある。

 冒険者達の無事と成功を信じるしかあるまい。

「何人かで穴を塞げる物を探せ!残りは、引き続き入り込んだ魔物の討伐と、援護だ!」

 ひとまずの方針を伝え、儂も援護に廻る。

 壁の穴から入り込んでくるゴブリンの数も、流石に少なくなってきたようだ。あと、もう少し耐えれば──

「そ、総隊長っ!!」

 唐突に、2番隊の隊員の一人が駆け込んで来た。
 何を言わないでも、表情はかなり緊迫した状況を伝えてくる。

「どうしたっ?!要点だけ話せ!」
「はっ!!き、北門からもゴブリンが侵入しました!」

 ?!!なんだと!?

「現在、魔法ギルド所属の魔法使い達が、結界を張り食い止めています。ミリアーナ様が参戦されたようですので、間もなく鎮圧されるかと思われますが・・・」

 ミリアーナが出たか。なら、そちらは問題ないだろう。
 今は急ぎここを──

「そ、それでミリアーナ様が、急ぎ総隊長を呼ぶようにと」

 今このときに?何だ・・・?

 しかし、ミリアーナは無駄なことをするような奴ではない。何か、大切な何かがあるのだ。

 先程出した指示に沿って行動をしている二人の隊長に叫ぶ。

「カインっ!ゴードンっ!ここは任せる!儂は北門に行く!」
「「はっ!了解しました!」」




 北門に辿り着くとかなり激しい戦いがあったのか?周囲の建物の損壊が大きい。破壊力のある魔法が何発も放たれた様な壊れかただ。

 その壊れた残骸の中に、見覚えのある後ろ姿を見つけ、駆け寄る。

「はぁっ、はぁっ。ミ、ミリアーナ。何があったんだ・・・?」
「・・・フェンス、遅い。体力衰え過ぎ」
「ああ、否定せんよ。・・・それより、何があった?どうして俺を呼んだ?!」

「・・・魔人が出た」

 は?魔人だと──?

 魔人とは魔王の眷属。魔王討伐の旅の際も、何度も戦った。

 そこいらの魔物とは比べ物にならないほどの力と魔力を持ち、かなり苦戦を強いられた記憶がある。

 そいつが、今、この街に。

「なんと・・・。そ、それでその魔人は?」
「・・・倒した。なかなか厄介な奴だった」

 一人で倒したのか?流石は元勇者パーティの大魔法使い。
 まだまだ腕は健在なようだ。

「そ、そうか。で、どうして俺を呼んだ?」
「・・・あいつら、神器を狙ってるみたい。わたしの神器をよこせって言ってた」

 神器とは、フリオニールの持つ聖剣と同じ神の加護を受けた武具の呼び名。
実はミリアーナは四元属性の神々の加護を受けた4つもの神器を持っている。風の神の加護を受けた帽子、地の神の加護を受けたローブ、火の神の加護を受けたロッド、そして水の神の加護を受けた指輪の4つだ。

 それぞれに、一般の武具とは一線を画す、凄まじい性能を秘めている。

「神器を狙う?・・・何が目的だ?」
「・・・それは、わからない」

 神器を奪って何をしようというのか。

 ん?待てあいつらっ・・・て、言ったのか?

「・・・ミリアーナ。まさか倒した奴以外にも魔人がいるのか?」
「・・・そうみたい。だからフェンスを呼んだ。わたしが倒しに行こうと思ったんだけど、流石にもう魔力切れ」

「倒しにって、どこに……」
「・・・他にも神器はあるでしょ?フリオニールの聖剣と・・・」

 ミリアーナはじっと儂の目を見つめる。

「・・・フェンスの盾」

 !!??

 しまった!!ユリアが危ない!!

 もうひとつの神器。

 儂の盾、だった『神盾アイギス』──








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