光がさしこむ、その日まで

光

　昨日より手があったかい気がする。今にも握り返してくれそう。嫁にはたくさんウソついたけど、君には大きなウソを一つついたことになるね。
　僕はズルい男・・・。君は強い人だよね。もっと強くなってるはず。今は隠れてるけど、君は大きな瞳で全てを飲み込んできたじゃない。早く、こっちに戻っておいでよ。ズルい男って、大声で文句言ってよ。
　すっごく迷ったんだけど、やっぱり書いておくことにした。岡山で一度で飲んだ希々ちゃんがね、先月病院にきたんだ。もう、枯れ果てるくらい涙流してた。三ヶ月前、偶然渋谷で会ったよね。あの時、君はウソをついた。いや、やっぱり、君は黙ってただけなのかもしれない。あの、君にも負けないくらい大きな目の男の子は僕の子だったんだね。　
　柴田洋介　六歳。僕、洋介と二人で生きていくことにした。洋介と一緒に君を待つことにした。君と洋介、二人の人生をがむしゃらに愛して生きてくことにした。
　君は必ず目を覚ます。君のこと信じてるから。君の大きな瞳で、この手紙を読んでくれる日が必ず来るって信じてるから。
　これから洋介と会うんだ。また明日ね。

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　「おじさん、ママのお友達？」




　　　おわり