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本編
彼氏(仮)
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「彼氏(仮)?なんで(仮)なの?」
相澤君の手が緩んだ隙に腕の中から抜け出し距離を取る。うぅ、触られた場所がゾワゾワする。
「き…昨日、相澤君が自分で言ってたでしょ?だから彼氏(仮)」
「(仮)が取れて、彼氏じゃないの?」
「昨日まではクラスメイトだったの!」
自分でも小賢しいやり取りだなとは思う。だけどあんな脅しのような告白で正式にお付き合いなんて、やっぱり納得できない。これが私にできる最大の譲歩だと言わんばかりに相澤君を睨み付ける。
「ふぅん。まぁいいよ」
ニヤリと笑う相澤君は、悔しいけれど格好いい。ホント、顔だけはめちゃくちゃタイプなのに…。
「じゃあ学校行こ」
はいっ、と相澤君が手を差し伸べる。
「え…」
「え、じゃないでしょ?手を繋ごうよ」
「なんで…」
「彼氏でしょ?」
「(仮)だもん」
「みーゆーうーっ」
ズイッと相澤君の綺麗な顔が近づき、私は一歩後退る。
「な…何?」
「俺達の関係について、よぉーく話し合う必要がありそうだね。ちょうど明日は土曜日だから…俺の家においでよ」
「いっ…家!?無理、無理、無理!」
「ふっ、なぁーに?俺にナニかされちゃうって警戒してるの?美優、見掛けによらずえっちなんだね」
「はぁ?!そんなんじゃないもんっ!」
「そ?じゃあ明日10時に駅でね」
「え、あ…、うぅ…」
「ほら、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」
それとも二人でサボる?と耳元で囁かれて顔が熱くなる。無駄に色気を振り撒くのはやめて欲しい。相澤君と一緒にいると平穏な日常ってなんだっけ?って思う。
結局、手を繋いで登校はハードルが高いから無理って拒否して、「まぁ今日は許してあげる」って意味深な発言をされたけど、なんとか学校へついた。
30分も早く家を出たのにギリギリで…由妃ちゃんに「大丈夫?遅かったね」って言われて何となく後ろめたい気持ちになる。
隣の相澤君は相変わらずニコニコこちらを見てくるし、上野君が「朝からイチャイチャすんなよー、俺今フリーなんだからさぁっ」と愚痴れば、クラスの女子の目の色が変わる。うん、上野君もイケメンだもんね。
ーーーーーーーーーーー・・・
「で?なんで今日も相澤と一緒に登校してきたの?」
HRが終わると直ぐに由妃ちゃんに手を引かれ廊下に連れ出される。さながら母親に悪戯がばれた子供のようで、私は「えっと~…」と視線を彷徨わせた。
「美優、今日は早く登校して時間ずらすって言ってたよね?どうしたの?寝坊しちゃった?」
朝が弱い私は普段は伊織に起こして貰っている。それを知ってる由妃ちゃんだから‘寝坊’はもはや当たり前の認識なのだ。
「うんん、今日は一人で早起きできたの…。30分早く家を出たんだけど……相澤君に捕まったの」
「え?!あいつそんな早くから居るの?怖っ!ねぇ、やっぱり相澤ちょっとおかしいよ。美優、何かされる前に距離を取った方がいいんじゃない?」
「それが……あの…えっと…」
由妃ちゃんの真剣な瞳を前に言葉に詰まってしまう。私でさえ今朝の出来事に心の整理ができていないのに…由妃ちゃんに何て説明したらいいか…。そう考えあぐねていると、いきなり後ろから抱き締められる。
「伊村さん、俺達付き合う事になったんだ。」
「ひぇっ!?!」
「はぁぁ?」
「うっわーまじで?!」
満面の笑みの相澤君、顔面蒼白の私、
相澤君を鬼の形相で睨み付ける由妃ちゃん、
「おめでとー蓮!」と大声で騒ぐ上野君…。
カオスだ…。
相澤君の手が緩んだ隙に腕の中から抜け出し距離を取る。うぅ、触られた場所がゾワゾワする。
「き…昨日、相澤君が自分で言ってたでしょ?だから彼氏(仮)」
「(仮)が取れて、彼氏じゃないの?」
「昨日まではクラスメイトだったの!」
自分でも小賢しいやり取りだなとは思う。だけどあんな脅しのような告白で正式にお付き合いなんて、やっぱり納得できない。これが私にできる最大の譲歩だと言わんばかりに相澤君を睨み付ける。
「ふぅん。まぁいいよ」
ニヤリと笑う相澤君は、悔しいけれど格好いい。ホント、顔だけはめちゃくちゃタイプなのに…。
「じゃあ学校行こ」
はいっ、と相澤君が手を差し伸べる。
「え…」
「え、じゃないでしょ?手を繋ごうよ」
「なんで…」
「彼氏でしょ?」
「(仮)だもん」
「みーゆーうーっ」
ズイッと相澤君の綺麗な顔が近づき、私は一歩後退る。
「な…何?」
「俺達の関係について、よぉーく話し合う必要がありそうだね。ちょうど明日は土曜日だから…俺の家においでよ」
「いっ…家!?無理、無理、無理!」
「ふっ、なぁーに?俺にナニかされちゃうって警戒してるの?美優、見掛けによらずえっちなんだね」
「はぁ?!そんなんじゃないもんっ!」
「そ?じゃあ明日10時に駅でね」
「え、あ…、うぅ…」
「ほら、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」
それとも二人でサボる?と耳元で囁かれて顔が熱くなる。無駄に色気を振り撒くのはやめて欲しい。相澤君と一緒にいると平穏な日常ってなんだっけ?って思う。
結局、手を繋いで登校はハードルが高いから無理って拒否して、「まぁ今日は許してあげる」って意味深な発言をされたけど、なんとか学校へついた。
30分も早く家を出たのにギリギリで…由妃ちゃんに「大丈夫?遅かったね」って言われて何となく後ろめたい気持ちになる。
隣の相澤君は相変わらずニコニコこちらを見てくるし、上野君が「朝からイチャイチャすんなよー、俺今フリーなんだからさぁっ」と愚痴れば、クラスの女子の目の色が変わる。うん、上野君もイケメンだもんね。
ーーーーーーーーーーー・・・
「で?なんで今日も相澤と一緒に登校してきたの?」
HRが終わると直ぐに由妃ちゃんに手を引かれ廊下に連れ出される。さながら母親に悪戯がばれた子供のようで、私は「えっと~…」と視線を彷徨わせた。
「美優、今日は早く登校して時間ずらすって言ってたよね?どうしたの?寝坊しちゃった?」
朝が弱い私は普段は伊織に起こして貰っている。それを知ってる由妃ちゃんだから‘寝坊’はもはや当たり前の認識なのだ。
「うんん、今日は一人で早起きできたの…。30分早く家を出たんだけど……相澤君に捕まったの」
「え?!あいつそんな早くから居るの?怖っ!ねぇ、やっぱり相澤ちょっとおかしいよ。美優、何かされる前に距離を取った方がいいんじゃない?」
「それが……あの…えっと…」
由妃ちゃんの真剣な瞳を前に言葉に詰まってしまう。私でさえ今朝の出来事に心の整理ができていないのに…由妃ちゃんに何て説明したらいいか…。そう考えあぐねていると、いきなり後ろから抱き締められる。
「伊村さん、俺達付き合う事になったんだ。」
「ひぇっ!?!」
「はぁぁ?」
「うっわーまじで?!」
満面の笑みの相澤君、顔面蒼白の私、
相澤君を鬼の形相で睨み付ける由妃ちゃん、
「おめでとー蓮!」と大声で騒ぐ上野君…。
カオスだ…。
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