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本編
YDK
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「美優~、寝ちゃだめよっ」
「んんん…。あれ?もうお話終わったの?」
屋上のベンチに座って日向ぼっこしてたらいつの間にかウトウトしてしまっていたらしい。由妃ちゃんの綺麗な顔が間近にあった。由妃ちゃんの肌綺麗だな…。じっと見つめてたら由妃ちゃんの頬がポッと赤くなって照れた。ホント可愛い。
「美優、待たせちゃってごめんな」
「全然平気。日向ぼっこ気持ち良かったし。ところで、大ちゃんの話って何?」
「ああ…お昼食べながらでもいい?あっちのテーブル行こう」
3人で少し奥まった場所のテーブルに移動してお弁当を広げる。
「わ、それ伊織君が作ってるの?」
「うん、そうだよ。あ、アスパラのベーコン巻き入ってる。やったぁ」
「伊織もマメだなぁー。加奈子さんより料理上手いんじゃない?」
「そうかも。お母さんの作るハンバーグが一番だけど、レパートリーが多くて手際がいいのは伊織かもね」
大ちゃんが言う‘加奈子さん’はうちのお母さんの事。両親揃って美容クリニックの先生をしてて、帰宅が遅い母に代わり小さい頃から伊織は料理を作っていた。
私達が小学生の頃はお手伝いさんが来てくれてご飯を作ってくれていたけど、中学に入ってから伊織が「俺が作るからお手伝いさんいらない」って両親に猛反発したんだよね。
料理が趣味で自分で作りたかったのか、思春期で他人が家に居るのが嫌だったのか…?真相は解らないけれど、私は何となく後者が理由なのかなと思ってる。
ちょうどその頃来ていたお手伝いさんが20代前半のナイスバディなお姉さんだったから…伊織も男の子だもん、そういうの気になっちゃうよね。
理由はともかく、伊織はそれからずっと、お母さんが仕事で遅くなる日は夕御飯を作り、朝は私のお弁当まで用意してくれる。しかもお弁当のおかずは可愛いピックが刺さっていたり、彩りも良くかなり可愛い。
ちなみに私も料理を作ったり、伊織を手伝おうとするんだけど「美優は邪魔だから座ってて」とやらせて貰えない。
「私の女子力が落ちてお嫁に行けなかったらどうするの!?」って抗議したら「俺が面倒見てやる」って…意味不明な事を言っていた。
将来、伊織夫婦の新居に小姑として厄介になるなんて絶対嫌だ。
「なぁ、美優。由妃ちゃんから聞いたんだけど、相澤って奴に付きまとわれてて困ってるんだろ?俺が相澤に言ってやろうか?」
「え…?」
「美優、久遠先輩に力になってもらおう?相澤って目立つから、上級生にも既に相澤と美優の事噂になってるみたいだし…」
「あー…。今朝も登校中かなりいろんな先輩から睨まれてた…かも?」
「男の俺から言えば相澤も引くだろ。なぁ、美優が困ってるのにほっとけないよ。今はまだ睨まれるくらいかもしれないけど、嫌がらせがエスカレートしたら…」
「私、美優が怪我したら…絶対相手を許せないよ。私に犯罪者になってほしくないでしょ?」
「犯罪者って大袈裟な…」
実はもう相澤君の元カノからガッツリ目をつけられてます…。昨日、由妃ちゃんと別れた後に絡まれた事は誰にも言ってない。たまたま相澤君が助けてくれたから怪我はしてないけど…。
そういえば…あのお姉さんに「付き合ってない」って言ったんだった。これで彼氏(仮)なんて今の状況を知られたらどうなるの?…これ、ヤバイんじゃない?
相澤君の元カノが誰かは解らない。けれど、登校時の姿を盗撮されたって事は身近に居るって事だ…。
それって…私の親友が由妃ちゃんで、大ちゃんが従兄とまでは解らなくてもお兄ちゃん的存在って事は知られているかも…。
この状況で相澤君を呼び出して注意するとか…大ちゃんや由妃ちゃんに非難の目が向けられたり、攻撃対象になったら…。
駄目だ。絶対それだけはダメなやつだ。
私だけなら何を言われても、何をされても我慢できるけど、由妃ちゃんや大ちゃんに何かあったら許せない。二人が私を大事に思ってくれてるように、私も二人が大事なんだから。
「えっと…相澤君、多分気まぐれで私にちょっかい出してるだけだと思うんだよね。すぐ飽きると思うし…。大ちゃんや由妃ちゃんの気持ちは有難いんだけど、あまり大事にするのもアレでしょ?だから、大丈夫。ありがとう」
明日相澤君と話した時に、自分でちゃんとお付き合いを拒否すればいいよね。私だってもう高校生だもん。自分の事は自分で何とかしなくちゃ。
甘音美優、YDK!(やればできる子)
「んんん…。あれ?もうお話終わったの?」
屋上のベンチに座って日向ぼっこしてたらいつの間にかウトウトしてしまっていたらしい。由妃ちゃんの綺麗な顔が間近にあった。由妃ちゃんの肌綺麗だな…。じっと見つめてたら由妃ちゃんの頬がポッと赤くなって照れた。ホント可愛い。
「美優、待たせちゃってごめんな」
「全然平気。日向ぼっこ気持ち良かったし。ところで、大ちゃんの話って何?」
「ああ…お昼食べながらでもいい?あっちのテーブル行こう」
3人で少し奥まった場所のテーブルに移動してお弁当を広げる。
「わ、それ伊織君が作ってるの?」
「うん、そうだよ。あ、アスパラのベーコン巻き入ってる。やったぁ」
「伊織もマメだなぁー。加奈子さんより料理上手いんじゃない?」
「そうかも。お母さんの作るハンバーグが一番だけど、レパートリーが多くて手際がいいのは伊織かもね」
大ちゃんが言う‘加奈子さん’はうちのお母さんの事。両親揃って美容クリニックの先生をしてて、帰宅が遅い母に代わり小さい頃から伊織は料理を作っていた。
私達が小学生の頃はお手伝いさんが来てくれてご飯を作ってくれていたけど、中学に入ってから伊織が「俺が作るからお手伝いさんいらない」って両親に猛反発したんだよね。
料理が趣味で自分で作りたかったのか、思春期で他人が家に居るのが嫌だったのか…?真相は解らないけれど、私は何となく後者が理由なのかなと思ってる。
ちょうどその頃来ていたお手伝いさんが20代前半のナイスバディなお姉さんだったから…伊織も男の子だもん、そういうの気になっちゃうよね。
理由はともかく、伊織はそれからずっと、お母さんが仕事で遅くなる日は夕御飯を作り、朝は私のお弁当まで用意してくれる。しかもお弁当のおかずは可愛いピックが刺さっていたり、彩りも良くかなり可愛い。
ちなみに私も料理を作ったり、伊織を手伝おうとするんだけど「美優は邪魔だから座ってて」とやらせて貰えない。
「私の女子力が落ちてお嫁に行けなかったらどうするの!?」って抗議したら「俺が面倒見てやる」って…意味不明な事を言っていた。
将来、伊織夫婦の新居に小姑として厄介になるなんて絶対嫌だ。
「なぁ、美優。由妃ちゃんから聞いたんだけど、相澤って奴に付きまとわれてて困ってるんだろ?俺が相澤に言ってやろうか?」
「え…?」
「美優、久遠先輩に力になってもらおう?相澤って目立つから、上級生にも既に相澤と美優の事噂になってるみたいだし…」
「あー…。今朝も登校中かなりいろんな先輩から睨まれてた…かも?」
「男の俺から言えば相澤も引くだろ。なぁ、美優が困ってるのにほっとけないよ。今はまだ睨まれるくらいかもしれないけど、嫌がらせがエスカレートしたら…」
「私、美優が怪我したら…絶対相手を許せないよ。私に犯罪者になってほしくないでしょ?」
「犯罪者って大袈裟な…」
実はもう相澤君の元カノからガッツリ目をつけられてます…。昨日、由妃ちゃんと別れた後に絡まれた事は誰にも言ってない。たまたま相澤君が助けてくれたから怪我はしてないけど…。
そういえば…あのお姉さんに「付き合ってない」って言ったんだった。これで彼氏(仮)なんて今の状況を知られたらどうなるの?…これ、ヤバイんじゃない?
相澤君の元カノが誰かは解らない。けれど、登校時の姿を盗撮されたって事は身近に居るって事だ…。
それって…私の親友が由妃ちゃんで、大ちゃんが従兄とまでは解らなくてもお兄ちゃん的存在って事は知られているかも…。
この状況で相澤君を呼び出して注意するとか…大ちゃんや由妃ちゃんに非難の目が向けられたり、攻撃対象になったら…。
駄目だ。絶対それだけはダメなやつだ。
私だけなら何を言われても、何をされても我慢できるけど、由妃ちゃんや大ちゃんに何かあったら許せない。二人が私を大事に思ってくれてるように、私も二人が大事なんだから。
「えっと…相澤君、多分気まぐれで私にちょっかい出してるだけだと思うんだよね。すぐ飽きると思うし…。大ちゃんや由妃ちゃんの気持ちは有難いんだけど、あまり大事にするのもアレでしょ?だから、大丈夫。ありがとう」
明日相澤君と話した時に、自分でちゃんとお付き合いを拒否すればいいよね。私だってもう高校生だもん。自分の事は自分で何とかしなくちゃ。
甘音美優、YDK!(やればできる子)
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