16 / 62
本編
好きの定義
しおりを挟む
「由妃ちゃんのお家久しぶりだね」
「そっか、春休み前に引っ越しの手伝いに来てくれた時以来だね」
放課後、私は由妃ちゃんのマンションに遊びに来ていた。
中学の頃から読者モデルをしていた由妃ちゃんは、大人っぽくてクールな雰囲気がとてもカッコイイ。高校入学を気に芸能事務所と正式に契約することになって、学校や事務所が近いこのマンションに引っ越してきた。
「一人暮らし寂しくない?」
「うーん、ママもよくご飯作りに来てくれるし今の所は平気かな」
「私も大学生になったら一人暮らししたいなー」
「えぇ、美優が一人暮らしとか心配だなぁ。あ!私とルームシェアはどう?一緒に暮らしたら楽しいよ!」
「それいい!由妃ちゃんと一緒なら絶対楽しい!…あ、でも由妃ちゃんの彼氏に悪くない?」
由妃ちゃんはモテる。中学はいろんな人に告白されてたし、何人か彼氏もいた。
ただ私には彼氏の話をしてくれないし、何となく本人も話したくないのかな?って雰囲気だったから取り立てて話題には出して来なかった。
「彼氏いないよ?もう2年くらいいない。作る気もないし」
「え!?そうなの?あ、そっか…、やっぱり芸能事務所との契約とかもある…のかな?」
「あー…うんん、そういうのじゃないんだけど…。……人を好きになるって何かなーって考えちゃってさ」
「ん?どういうこと?」
由妃ちゃんは「うーん」と難しい顔をしながらアイスティーを出してくれる。
「美優はさ、一緒に買い物したりカフェに行きたいなって思うのは誰?」
「由妃ちゃん!」
ガバッと抱き付けば、優しく由妃ちゃんが抱き締めかえしてくれる。
「ふふ、私も美優だよ。じゃあさ困った時に相談したいって思うのは誰?」
「うーん、悩みの種類にもよるけど…由妃ちゃんか大ちゃんかな?」
「じゃあ、今日は気分が優れないからゆっくりしたいなーって時に一緒にいたいのは誰?」
「伊織かな?一番気を遣わなくてすむし、美味しいご飯作ってくれたり、マッサージしてくれたりするし。癒やされる」
「私はね、ぜーんぶ美優の顔が思い浮かんだんだ。彼氏がいた時も、私の中の一番は美優だったの。だから、彼氏いらないかなーって思ったんだ」
「由妃ちゃん…嬉しいっ!私も由妃ちゃんが大好きだよ」
再びぎゅうぅと抱き付けば、由妃ちゃんはヨシヨシと頭を撫でてくれる。
「美優はさ、今の質問で相澤の顔なんて浮かばなかったでしょ?美優の中でどんな時もこの人が一番って思える人ができるまでは…彼氏作らないで欲しいな」
「うん、解った!」
そっか、由妃ちゃんの質問で‘人を好きになる’って事がよく解った気がする。確かに今の私は何をするにも由妃ちゃんや大ちゃん、伊織の顔しか浮かばない。そう考えると‘初恋’ってまだなんだな…。好きな人ってどうやって見つけるんだろう…。
「そっか、春休み前に引っ越しの手伝いに来てくれた時以来だね」
放課後、私は由妃ちゃんのマンションに遊びに来ていた。
中学の頃から読者モデルをしていた由妃ちゃんは、大人っぽくてクールな雰囲気がとてもカッコイイ。高校入学を気に芸能事務所と正式に契約することになって、学校や事務所が近いこのマンションに引っ越してきた。
「一人暮らし寂しくない?」
「うーん、ママもよくご飯作りに来てくれるし今の所は平気かな」
「私も大学生になったら一人暮らししたいなー」
「えぇ、美優が一人暮らしとか心配だなぁ。あ!私とルームシェアはどう?一緒に暮らしたら楽しいよ!」
「それいい!由妃ちゃんと一緒なら絶対楽しい!…あ、でも由妃ちゃんの彼氏に悪くない?」
由妃ちゃんはモテる。中学はいろんな人に告白されてたし、何人か彼氏もいた。
ただ私には彼氏の話をしてくれないし、何となく本人も話したくないのかな?って雰囲気だったから取り立てて話題には出して来なかった。
「彼氏いないよ?もう2年くらいいない。作る気もないし」
「え!?そうなの?あ、そっか…、やっぱり芸能事務所との契約とかもある…のかな?」
「あー…うんん、そういうのじゃないんだけど…。……人を好きになるって何かなーって考えちゃってさ」
「ん?どういうこと?」
由妃ちゃんは「うーん」と難しい顔をしながらアイスティーを出してくれる。
「美優はさ、一緒に買い物したりカフェに行きたいなって思うのは誰?」
「由妃ちゃん!」
ガバッと抱き付けば、優しく由妃ちゃんが抱き締めかえしてくれる。
「ふふ、私も美優だよ。じゃあさ困った時に相談したいって思うのは誰?」
「うーん、悩みの種類にもよるけど…由妃ちゃんか大ちゃんかな?」
「じゃあ、今日は気分が優れないからゆっくりしたいなーって時に一緒にいたいのは誰?」
「伊織かな?一番気を遣わなくてすむし、美味しいご飯作ってくれたり、マッサージしてくれたりするし。癒やされる」
「私はね、ぜーんぶ美優の顔が思い浮かんだんだ。彼氏がいた時も、私の中の一番は美優だったの。だから、彼氏いらないかなーって思ったんだ」
「由妃ちゃん…嬉しいっ!私も由妃ちゃんが大好きだよ」
再びぎゅうぅと抱き付けば、由妃ちゃんはヨシヨシと頭を撫でてくれる。
「美優はさ、今の質問で相澤の顔なんて浮かばなかったでしょ?美優の中でどんな時もこの人が一番って思える人ができるまでは…彼氏作らないで欲しいな」
「うん、解った!」
そっか、由妃ちゃんの質問で‘人を好きになる’って事がよく解った気がする。確かに今の私は何をするにも由妃ちゃんや大ちゃん、伊織の顔しか浮かばない。そう考えると‘初恋’ってまだなんだな…。好きな人ってどうやって見つけるんだろう…。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
『推しに転生したら、攻略対象が全員ヤンデレ化した件』
春夜夢
ファンタジー
「推しキャラが死ぬバッドエンドなんて認めない──だったら、私が推しになる!」
ゲーム好き女子高生の私が転生したのは、乙女ゲームの中の“推しキャラ”本人だった!
しかも、攻略対象たちがみんなルート無視で私に執着しはじめて……!?
「君が他の男を見るなんて、耐えられない」
「俺だけを見てくれなきゃ、壊れちゃうよ?」
推しキャラ(自分)への愛が暴走する、
ヤンデレ王子・俺様騎士・病み系幼なじみとの、危険すぎる恋愛バトルが今、始まる──!
👧主人公紹介
望月 ひより(もちづき ひより) / 転生後:ヒロイン「シエル=フェリシア」
・現代ではゲームオタクな平凡女子高生
・推しキャラの「シエル」に転生
・記憶保持型の転生で、攻略対象全員のヤンデレ化ルートを熟知している
・ただし、“自分が推される側”になることは想定外で、超戸惑い中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる