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本編
行ったり来たり
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「美優?また暗い顔してる」
蓮にポンポンと頭を撫でられて、自分が俯いてた事に気付いた。
「あ、ごめん…ちょっと考え事してた…」
「ふぅん…。そんな暗い顔するなら、何も考えられないくらい俺が気持ちよくさせてあげようか?」
耳元で囁かれて顔に熱が集まる。
「も、もぅ!そういう冗談やめて」
「冗談じゃないんだけどなぁ。あ!そうだ、彼氏(仮)のルールを確認したいんだけど、いい?」
「ルール?」
「そう、友達以上恋人未満の関係は、どこまで許されるのかな?って。勿論美優の嫌がる事はしたくないけど、好きな子を前にすっごく我慢してる俺の気持ちも解って欲しいな」
「え…これで我慢してるの?」
あんなに抱き締めたり舐めたりしていたのに?
「してるよ。本当は今すぐキスしたいし、朝までぐちゃぐちゃになるまで抱きたい」
「へ…変態っ!!」
「心外だなぁ。純粋な愛情だよ?」
距離を取ろうとする私に対し、蓮はぎゅっと手を握ってくる。
「まず、手を繋ぐのはいいよね?弟の伊織君とも恋人繋ぎで歩いていたもんね?」
「うぅ……。まぁ、手くらいなら…」
「抱き締めるのもいいでしょ?伊村さんとよくハグしてるよね?」
「由妃ちゃんは女の子だし…」
「性別は関係ないよ。友達の由妃ちゃんにできるなら俺もいいよね?」
「えぇ……。うーん…」
何だか丸め込まれているような…?
「キスはしちゃダメ?」
「キスはダメ。これは友達にもしないから」
「唇以外ならいい?さっきもうしちゃったしね」
「恥ずかしい…」
「けど、嫌じゃない?」
「うぅ~……」
嫌…じゃない気がするけど…。恥ずかしいし、ドキドキして自分がよくわからなくなる。
「あとさ、俺達の関係だけど…みんなには『付き合ってる』って事でいいよね?」
「え……。でも(仮)でしょう?」
「昨日学校で省吾が騒いだからさ、もう俺達付き合ってるって噂が広まってるよ?(仮)とか、お試しで付き合ってるなんて…なんだか遊んでる子みたいに思われないかな?俺は元々遊んでるイメージあるかもしれないけど…美優は大丈夫?」
サァッと顔が青くなる。
確かに『私達~お試しで付き合ってます~。相性悪かったら別れるけどね~』ってかなり適当な人みたいじゃない?遊び人だと思われたらヤダ!
今まで真面目に頑張ってきたし、キスだってまだなのに…。
「だ…大丈夫じゃない…」
「じゃあ、みんなには『付き合ってる』って事でいいよね?」
「う…でも…、由妃ちゃんに何て言えば…」
「なんでそこで伊村さんが出てくるの?」
蓮はあからさまにムッとした表情になる。
「あ…あのね、由妃ちゃんに『本当に好きな人ができるまで彼氏作らない』って約束したの。だから、本当は今日…断ろうと思ってここにきたんだ」
「美優…」
ぎゅっと抱き締められて、蓮がハァ…とため息をついた。
私も優柔不断だって解ってる。
別れるつもりで来たのに、大好きって言われて嬉しくなって…このままでいいって頷いたのに…。また、どうしようって揺らいでる。
「美優は悪くないよ。俺が急ぎ過ぎたんだ。ごめんね、美優…」
「あっ……違うの、私がいけないの…」
「ねぇ美優、こうして抱き締められてるのは嫌じゃない?」
「うん…。嫌じゃない…」
「ありがとう。それだけで嬉しい」
抱き締められていて蓮の顔は見えないけれど、少し震えた声に、また涙目なんだろうなって思ったら苦しくなった。
「由妃ちゃんには…ちゃんと話すよ。だから…」
「いいの?」
「うん…」
「ありがとう、美優。大好き」
蓮にポンポンと頭を撫でられて、自分が俯いてた事に気付いた。
「あ、ごめん…ちょっと考え事してた…」
「ふぅん…。そんな暗い顔するなら、何も考えられないくらい俺が気持ちよくさせてあげようか?」
耳元で囁かれて顔に熱が集まる。
「も、もぅ!そういう冗談やめて」
「冗談じゃないんだけどなぁ。あ!そうだ、彼氏(仮)のルールを確認したいんだけど、いい?」
「ルール?」
「そう、友達以上恋人未満の関係は、どこまで許されるのかな?って。勿論美優の嫌がる事はしたくないけど、好きな子を前にすっごく我慢してる俺の気持ちも解って欲しいな」
「え…これで我慢してるの?」
あんなに抱き締めたり舐めたりしていたのに?
「してるよ。本当は今すぐキスしたいし、朝までぐちゃぐちゃになるまで抱きたい」
「へ…変態っ!!」
「心外だなぁ。純粋な愛情だよ?」
距離を取ろうとする私に対し、蓮はぎゅっと手を握ってくる。
「まず、手を繋ぐのはいいよね?弟の伊織君とも恋人繋ぎで歩いていたもんね?」
「うぅ……。まぁ、手くらいなら…」
「抱き締めるのもいいでしょ?伊村さんとよくハグしてるよね?」
「由妃ちゃんは女の子だし…」
「性別は関係ないよ。友達の由妃ちゃんにできるなら俺もいいよね?」
「えぇ……。うーん…」
何だか丸め込まれているような…?
「キスはしちゃダメ?」
「キスはダメ。これは友達にもしないから」
「唇以外ならいい?さっきもうしちゃったしね」
「恥ずかしい…」
「けど、嫌じゃない?」
「うぅ~……」
嫌…じゃない気がするけど…。恥ずかしいし、ドキドキして自分がよくわからなくなる。
「あとさ、俺達の関係だけど…みんなには『付き合ってる』って事でいいよね?」
「え……。でも(仮)でしょう?」
「昨日学校で省吾が騒いだからさ、もう俺達付き合ってるって噂が広まってるよ?(仮)とか、お試しで付き合ってるなんて…なんだか遊んでる子みたいに思われないかな?俺は元々遊んでるイメージあるかもしれないけど…美優は大丈夫?」
サァッと顔が青くなる。
確かに『私達~お試しで付き合ってます~。相性悪かったら別れるけどね~』ってかなり適当な人みたいじゃない?遊び人だと思われたらヤダ!
今まで真面目に頑張ってきたし、キスだってまだなのに…。
「だ…大丈夫じゃない…」
「じゃあ、みんなには『付き合ってる』って事でいいよね?」
「う…でも…、由妃ちゃんに何て言えば…」
「なんでそこで伊村さんが出てくるの?」
蓮はあからさまにムッとした表情になる。
「あ…あのね、由妃ちゃんに『本当に好きな人ができるまで彼氏作らない』って約束したの。だから、本当は今日…断ろうと思ってここにきたんだ」
「美優…」
ぎゅっと抱き締められて、蓮がハァ…とため息をついた。
私も優柔不断だって解ってる。
別れるつもりで来たのに、大好きって言われて嬉しくなって…このままでいいって頷いたのに…。また、どうしようって揺らいでる。
「美優は悪くないよ。俺が急ぎ過ぎたんだ。ごめんね、美優…」
「あっ……違うの、私がいけないの…」
「ねぇ美優、こうして抱き締められてるのは嫌じゃない?」
「うん…。嫌じゃない…」
「ありがとう。それだけで嬉しい」
抱き締められていて蓮の顔は見えないけれど、少し震えた声に、また涙目なんだろうなって思ったら苦しくなった。
「由妃ちゃんには…ちゃんと話すよ。だから…」
「いいの?」
「うん…」
「ありがとう、美優。大好き」
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