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本編
お家デート
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「んーっ!美味しぃーっ!」
「ふふ、喜んでくれて良かった。手料理を振る舞うの、美優が初めてなんだ」
お昼になり、蓮が海老とアスパラのクリームパスタを作ってくれた。
ちなみに私は蓮の横でサラダを作りました。洗って切っただけだけど…。私の女子力が低いのは伊織のせいだと思う。これからは料理頑張ろう。
「ふふ、初めてなんて光栄です。本当に美味しい。料理とかしなさそうなのに意外だね」
「んー、自分の為に凝った料理を作ろうとは思わないけどね。外食すると周りが煩くて、ここ1年で料理の腕が上がったのかも」
『周りが煩くて』ねぇ…なるほど、なるほど。いろんな女の子に声をかけられるってことね。
ふーん、別に…いいけどね。
『ここ1年で』って言葉には反応しちゃうし…。気持ちの浮き沈みが激しいなぁ。
昼食後は、DVDを観たり音楽を聴きながら穏やかな時間を過ごした。これぞ、ザ・お家デート!
午前中のアレコレが頭をよぎり、蓮の一挙手一投足に意識しちゃって…なんだか恥ずかしかった。
蓮は涼しい顔で照れた素振りもないし…。
「あ…そろそろ帰らなくちゃ。長居しちゃってごめんね」
「俺はもっと居て欲しいって思ってるから、寂しいな。ねぇ、最後に抱き締めてもいい?」
「ぅ…いちいち許可を求められると余計に恥ずかしいデス」
「美優はホント可愛いね。大好き」
蓮の腕の中にすっぽり抱き締められて、落ち着いてしまっている自分にびっくりする。今日1日ですっかり懐柔されてしまった。
手…背中に回してもいいのかな?
うぅ…やっぱりまだ抱き締め返すのは恥ずかしいな…。
少しずつ、ゆっくり、蓮を知っていきたいな。
「ねぇ、本当に後片付け手伝わなくていいの?」
リビングのテーブルにはティーカップが残されたまま。洗おうか?と申し出たけれど、後で食洗機に入れるからいいよと言われてしまった。
「大丈夫だよ。はいっ、コートしっかり着て?家に着くまで脱いじゃ駄目だからね?」
「う…うん」
蓮にコートを着させてもらい、もう一度抱き締められる。
「帰したくないなぁ。明日も来て欲しい」
「明日はちょっと…」
連日はちょっと刺激が強すぎて心と身体が持たない。
「じゃあいつ会える?あ、連絡先交換しよ?連絡は毎日してもいいでしょ?」
「う…うん」
「美優、ちょっとスマホ貸して。俺が入れてあげるよ」
はい、できた。と返ってきたスマホには、メッセージアプリのtalkへの友達追加と、アドレス帳に蓮の番号とメールアドレス、住所が登録されていた。
「ありがとう。私のは…?」
「知ってるから大丈夫」
「………あぁ…そうなんだ?」
そういえば蓮は私の家の住所も知っていたな…。どうやって?とは深く聞かないことにした。
「家まで送ってくよ」
「え、いいよ。このマンションから駅までの道のりも解るし、一人で帰れるよ」
「だぁーめ。美優に何かあったら心配だから送ってく」
「何かって…何にもないよ」
「美優は妙に自己評価が低い所があるよね」
「いや、私のこと過大評価し過ぎだと思うんだけど」
「ほら、行くよ」
笑顔で差し出された手におずおずと手を重ねる。
自然に指を絡められ、恋人繋ぎになった手に熱が集まる。
うぅ…手汗かいちゃったらどうしよう。
そんな私のドキドキもお見通しのように、ニヤリと間近で見つめられてしまい、私の鼓動は更に早くなるのだった。
「ふふ、喜んでくれて良かった。手料理を振る舞うの、美優が初めてなんだ」
お昼になり、蓮が海老とアスパラのクリームパスタを作ってくれた。
ちなみに私は蓮の横でサラダを作りました。洗って切っただけだけど…。私の女子力が低いのは伊織のせいだと思う。これからは料理頑張ろう。
「ふふ、初めてなんて光栄です。本当に美味しい。料理とかしなさそうなのに意外だね」
「んー、自分の為に凝った料理を作ろうとは思わないけどね。外食すると周りが煩くて、ここ1年で料理の腕が上がったのかも」
『周りが煩くて』ねぇ…なるほど、なるほど。いろんな女の子に声をかけられるってことね。
ふーん、別に…いいけどね。
『ここ1年で』って言葉には反応しちゃうし…。気持ちの浮き沈みが激しいなぁ。
昼食後は、DVDを観たり音楽を聴きながら穏やかな時間を過ごした。これぞ、ザ・お家デート!
午前中のアレコレが頭をよぎり、蓮の一挙手一投足に意識しちゃって…なんだか恥ずかしかった。
蓮は涼しい顔で照れた素振りもないし…。
「あ…そろそろ帰らなくちゃ。長居しちゃってごめんね」
「俺はもっと居て欲しいって思ってるから、寂しいな。ねぇ、最後に抱き締めてもいい?」
「ぅ…いちいち許可を求められると余計に恥ずかしいデス」
「美優はホント可愛いね。大好き」
蓮の腕の中にすっぽり抱き締められて、落ち着いてしまっている自分にびっくりする。今日1日ですっかり懐柔されてしまった。
手…背中に回してもいいのかな?
うぅ…やっぱりまだ抱き締め返すのは恥ずかしいな…。
少しずつ、ゆっくり、蓮を知っていきたいな。
「ねぇ、本当に後片付け手伝わなくていいの?」
リビングのテーブルにはティーカップが残されたまま。洗おうか?と申し出たけれど、後で食洗機に入れるからいいよと言われてしまった。
「大丈夫だよ。はいっ、コートしっかり着て?家に着くまで脱いじゃ駄目だからね?」
「う…うん」
蓮にコートを着させてもらい、もう一度抱き締められる。
「帰したくないなぁ。明日も来て欲しい」
「明日はちょっと…」
連日はちょっと刺激が強すぎて心と身体が持たない。
「じゃあいつ会える?あ、連絡先交換しよ?連絡は毎日してもいいでしょ?」
「う…うん」
「美優、ちょっとスマホ貸して。俺が入れてあげるよ」
はい、できた。と返ってきたスマホには、メッセージアプリのtalkへの友達追加と、アドレス帳に蓮の番号とメールアドレス、住所が登録されていた。
「ありがとう。私のは…?」
「知ってるから大丈夫」
「………あぁ…そうなんだ?」
そういえば蓮は私の家の住所も知っていたな…。どうやって?とは深く聞かないことにした。
「家まで送ってくよ」
「え、いいよ。このマンションから駅までの道のりも解るし、一人で帰れるよ」
「だぁーめ。美優に何かあったら心配だから送ってく」
「何かって…何にもないよ」
「美優は妙に自己評価が低い所があるよね」
「いや、私のこと過大評価し過ぎだと思うんだけど」
「ほら、行くよ」
笑顔で差し出された手におずおずと手を重ねる。
自然に指を絡められ、恋人繋ぎになった手に熱が集まる。
うぅ…手汗かいちゃったらどうしよう。
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