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本編
ザワザワ
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「ごめん。佐藤君と行かなきゃいけないから」
「美優…なんで?俺より佐藤を選ぶの?」
放課後、一緒に帰ろうと言う蓮の誘いを断ったら、まるでこの世の終わりかの様な絶望的な顔をされる。
「うん。だってクラス委員の集まりがあるし」
「あ…あぁ、クラス委員の…。なんだ…びっくりした」
そんなにびっくりするような事を言ったつもりはないんだけどな。まぁ、確かに…私がクラス委員に選ばれたのは意外だったのかもしれない。横で上野君はクスクス笑ってるし、二人ともちょっと失礼じゃない?
「美優、私今日は仕事があって事務所に行かなくちゃいけないんだ。待っててあげられなくてごめんね」
「うんん、気にしないで。由妃ちゃんお仕事頑張ってね」
『また明日』のハグをすると、由妃ちゃんがスリスリと頬を寄せる。由妃ちゃんって普段クールで大人っぽい雰囲気なんだけど、時々甘えん坊スイッチが入るんだよね。そこが凄く可愛くて、私もギュッと抱き締め返す。
教室から出ていく由妃ちゃんお見送りした後、佐藤君に声をかけられた。
「甘音さん、そろそろ委員会行こうか」
「佐藤君、待たせちゃってごめんね。今行く」
佐藤君の方に足を1歩踏み出そうとした所、蓮に腕を引かれ後ろから抱き締められる。
「美優、終わるまで待っててもいい?一緒に帰ろう」
突然耳元で囁かれ、頬に熱が集まる。
「っ!あ、あの…ごめん。今日は大ちゃんが一緒に帰ろうって…、その、約束しちゃったから。またね、さようなら!」
パッと蓮の手を振りほどき、目も合わせられないまま、私は小走りで教室を出る。
「相澤君、放心状態だったけど…いいの?」
パタパタと後ろから追って来た佐藤君に気付き、歩く速度を緩めた。
「うん。いいの」
「そっか」と相槌をうつ佐藤君は、まっすぐ前を見ていた。
スッキリと切り揃えられた佐藤君の髪が、廊下の窓から吹き込んだ風にサラサラと揺れる。
なんとなく気まずい雰囲気を察してくれたのか、佐藤君は柔らかい笑顔を向け話題を変えてくれた。
「甘音さんと話すの久しぶりだね」
「そうだね、中3の時は違うクラスだったし、佐藤君は生徒会長で忙しそうだったから。佐藤君は来年生徒会入りを目指してるの?」
「うん、また久遠さんと一緒に生徒会活動できたらいいなって思ってる。だから今年はクラス委員に立候補したんだ。甘音さんまで巻き込んじゃってごめんね?」
「うんん、推薦してもらえるなんて光栄だよ。こんな機会が無いと絶対やらないと思うし、ありがとう」
「ふふ、甘音さんは優しいね」
「そう?」
その後も佐藤君と廊下を歩きながら他愛の無い話しをしたけれど、私は終始上の空だった。
‘’蓮には婚約者がいる‘’
そればかりが気になって…心がザワザワと落ち着かない。
「美優…なんで?俺より佐藤を選ぶの?」
放課後、一緒に帰ろうと言う蓮の誘いを断ったら、まるでこの世の終わりかの様な絶望的な顔をされる。
「うん。だってクラス委員の集まりがあるし」
「あ…あぁ、クラス委員の…。なんだ…びっくりした」
そんなにびっくりするような事を言ったつもりはないんだけどな。まぁ、確かに…私がクラス委員に選ばれたのは意外だったのかもしれない。横で上野君はクスクス笑ってるし、二人ともちょっと失礼じゃない?
「美優、私今日は仕事があって事務所に行かなくちゃいけないんだ。待っててあげられなくてごめんね」
「うんん、気にしないで。由妃ちゃんお仕事頑張ってね」
『また明日』のハグをすると、由妃ちゃんがスリスリと頬を寄せる。由妃ちゃんって普段クールで大人っぽい雰囲気なんだけど、時々甘えん坊スイッチが入るんだよね。そこが凄く可愛くて、私もギュッと抱き締め返す。
教室から出ていく由妃ちゃんお見送りした後、佐藤君に声をかけられた。
「甘音さん、そろそろ委員会行こうか」
「佐藤君、待たせちゃってごめんね。今行く」
佐藤君の方に足を1歩踏み出そうとした所、蓮に腕を引かれ後ろから抱き締められる。
「美優、終わるまで待っててもいい?一緒に帰ろう」
突然耳元で囁かれ、頬に熱が集まる。
「っ!あ、あの…ごめん。今日は大ちゃんが一緒に帰ろうって…、その、約束しちゃったから。またね、さようなら!」
パッと蓮の手を振りほどき、目も合わせられないまま、私は小走りで教室を出る。
「相澤君、放心状態だったけど…いいの?」
パタパタと後ろから追って来た佐藤君に気付き、歩く速度を緩めた。
「うん。いいの」
「そっか」と相槌をうつ佐藤君は、まっすぐ前を見ていた。
スッキリと切り揃えられた佐藤君の髪が、廊下の窓から吹き込んだ風にサラサラと揺れる。
なんとなく気まずい雰囲気を察してくれたのか、佐藤君は柔らかい笑顔を向け話題を変えてくれた。
「甘音さんと話すの久しぶりだね」
「そうだね、中3の時は違うクラスだったし、佐藤君は生徒会長で忙しそうだったから。佐藤君は来年生徒会入りを目指してるの?」
「うん、また久遠さんと一緒に生徒会活動できたらいいなって思ってる。だから今年はクラス委員に立候補したんだ。甘音さんまで巻き込んじゃってごめんね?」
「うんん、推薦してもらえるなんて光栄だよ。こんな機会が無いと絶対やらないと思うし、ありがとう」
「ふふ、甘音さんは優しいね」
「そう?」
その後も佐藤君と廊下を歩きながら他愛の無い話しをしたけれど、私は終始上の空だった。
‘’蓮には婚約者がいる‘’
そればかりが気になって…心がザワザワと落ち着かない。
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