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本編
放課後
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「よし、じゃあ今日のホームルームはここまで。みんな気をつけて帰れよ~。」
あれからずっと相澤君から視線を感じるし、クラスメイトからの冷やかしの視線やコソコソと話し声が聞こえてきて、注目される事になれていない私はいたたまれない気持ちでいっぱいだった。
先生の声にやっと苦痛の時間から解放されると思った途端、相澤君から声をかけられてしまった。
「美優、さっきの返事聞かせて?」
返事って…もしかしてさっきの告白の事?
まだこの冗談は続いていたの??
というか、なんで美優って呼び捨てに…。
「美優、帰ろっ!」
パニックで固まる私の手を取り、由妃ちゃんが相澤君の視線を遮るように間に入ってくれた。
「おい、今俺と美優が話してるんだけど。」
相澤君のムッとした声に由妃ちゃんは
「はぁ?」と睨み返す。
喧嘩になりそうな雰囲気に冷や汗が出る。
由妃ちゃんを巻き込む訳にはいかない。私は勇気を振り絞って声をあげる。
「あ、あのっ!相澤君…!」
「なぁに?美優っ♪」
「私達……初対面だよね?」
「美優の瞳にちゃんと映るのは初めてかな。嬉しいっ。」
「は?…えっと、まだ出会って数時間だよね?」
「美優は覚えてないかもしれないけど、出会ったのは1年前だよ。」
初対面なのに、出会ったのが1年前??
それはどういう意味なの…?
相澤君みたいに派手でイケメンなら忘れないと思うんだけど、正直全然心当たりが無い。
「ごめんなさい、覚えてない…。私相澤君の事知らないから返事はできないよ。」
「じゃあこれから知っていって。ね、付き合おう。」
「ごめんなさい。」
「待って!待って!やっぱり返事は保留にして!美優に振られたら俺何するかわかんないよ?ね、お願い。俺の事知ってから返事ちょうだい。」
なんか途中怖い事言ってなかった?
由妃ちゃんもめちゃくちゃ引いた顔してる。
クラスの人達も興味津々でこちらを見ているし…。
何て答えればいいのかわからない。
あぁ~どうしよう…。
「美優。」
「あ、大ちゃん。」
教室の後ろのドアに立っていたのは、従兄の久遠大智。1つ上の学年で、小さい頃から仲良くしてもらってる。
「どうかした?もうホームルーム終わったんだろう?」
「久遠先輩、お久しぶりです。」
「あぁ、由妃ちゃんも美優と同じクラスだったんだね。高校でも美優を宜しくね。」
「はい。任せてください!」
「美優、由妃ちゃん、下駄箱まで送ってくよ。まだ校内慣れてないだろ?」
「うん、大ちゃんありがとう。」
このおかしな状況から救いだしてくれた大ちゃんに、心からお礼を伝える。
チラッと相澤君を見ればなぜか大ちゃんを睨んでいた。
イケメンが睨むと迫力があってめちゃくちゃ怖い…。
「ま…またね、相澤君。」
恐る恐る声をかけると
相澤君は「美優、また明日ね」と微笑んでくれた。
私が教室から出ていった後、相澤君の足元に真っ二つに折れたシャーペンが転がっていたことを私は知らない。
あれからずっと相澤君から視線を感じるし、クラスメイトからの冷やかしの視線やコソコソと話し声が聞こえてきて、注目される事になれていない私はいたたまれない気持ちでいっぱいだった。
先生の声にやっと苦痛の時間から解放されると思った途端、相澤君から声をかけられてしまった。
「美優、さっきの返事聞かせて?」
返事って…もしかしてさっきの告白の事?
まだこの冗談は続いていたの??
というか、なんで美優って呼び捨てに…。
「美優、帰ろっ!」
パニックで固まる私の手を取り、由妃ちゃんが相澤君の視線を遮るように間に入ってくれた。
「おい、今俺と美優が話してるんだけど。」
相澤君のムッとした声に由妃ちゃんは
「はぁ?」と睨み返す。
喧嘩になりそうな雰囲気に冷や汗が出る。
由妃ちゃんを巻き込む訳にはいかない。私は勇気を振り絞って声をあげる。
「あ、あのっ!相澤君…!」
「なぁに?美優っ♪」
「私達……初対面だよね?」
「美優の瞳にちゃんと映るのは初めてかな。嬉しいっ。」
「は?…えっと、まだ出会って数時間だよね?」
「美優は覚えてないかもしれないけど、出会ったのは1年前だよ。」
初対面なのに、出会ったのが1年前??
それはどういう意味なの…?
相澤君みたいに派手でイケメンなら忘れないと思うんだけど、正直全然心当たりが無い。
「ごめんなさい、覚えてない…。私相澤君の事知らないから返事はできないよ。」
「じゃあこれから知っていって。ね、付き合おう。」
「ごめんなさい。」
「待って!待って!やっぱり返事は保留にして!美優に振られたら俺何するかわかんないよ?ね、お願い。俺の事知ってから返事ちょうだい。」
なんか途中怖い事言ってなかった?
由妃ちゃんもめちゃくちゃ引いた顔してる。
クラスの人達も興味津々でこちらを見ているし…。
何て答えればいいのかわからない。
あぁ~どうしよう…。
「美優。」
「あ、大ちゃん。」
教室の後ろのドアに立っていたのは、従兄の久遠大智。1つ上の学年で、小さい頃から仲良くしてもらってる。
「どうかした?もうホームルーム終わったんだろう?」
「久遠先輩、お久しぶりです。」
「あぁ、由妃ちゃんも美優と同じクラスだったんだね。高校でも美優を宜しくね。」
「はい。任せてください!」
「美優、由妃ちゃん、下駄箱まで送ってくよ。まだ校内慣れてないだろ?」
「うん、大ちゃんありがとう。」
このおかしな状況から救いだしてくれた大ちゃんに、心からお礼を伝える。
チラッと相澤君を見ればなぜか大ちゃんを睨んでいた。
イケメンが睨むと迫力があってめちゃくちゃ怖い…。
「ま…またね、相澤君。」
恐る恐る声をかけると
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