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本編
罠/蓮side.2
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「美優、悪い子だね」
「え………?」
「とりあえずソレ脱いで。ブレザーも」
美優を壁際に押しやる様に立ち、カーディガンとブレザーを脱ぐように伝える。
美優の瞳は不安の色が見えたけれど、嫉妬が渦巻き、気遣う態度は取れなかった。
「ブレザーも、早く脱いで」
アイツのカーディガンが触れたブレザーも嫌だなんて、こんな気持ち美優にはわからないだろうな。
シャツとスカート姿になった美優の耳元に顔を寄せ、クンッと匂いを嗅いでみせる。
「俺意外の男の匂いをつけて…俺を嫉妬させたかったの?お仕置きは後でゆっくりしてあげるから、良い子で待ってて」
美優を背中に隠すようにして佐藤へと向き直る。
「ねぇ、どういうつもり?」
「どういうって何が?」
『意味が解らない』そんな顔をする佐藤に更に怒りがこみ上げる。
カーディガンを掴み佐藤へと突き返す。
「こういう気遣い、迷惑だから。人の彼女にちょっかい出すのやめてくれる?」
「別にそういうつもりじゃ…」
白々しい。
「れ…蓮。佐藤君は私が寒いって言ったからカーディガン貸してくれただけだよ。ちょっかいとか…蓮が思ってる様な意味は無いよ」
美優が『蓮』と呼んでくれた事で、佐藤より俺の方が美優の特別なんだと安堵する。
こんな奴に構ってる暇はない。
早く美優と二人きりになって、この気持ちを落ち着けたい。
「………。美優、帰るよ。鞄は俺が持つから、コート着てきて」
美優はコクリと頷き、教室の後ろにあるロッカーにコートを取りに行った。
「ふふ、美優ちゃん可愛いよねぇ」
「は?」
美優に聞こえない程度の小声で佐藤が呟く。『甘音さん』ではなく、あえて『美優ちゃん』と呼んだ事に挑発を感じるが、グッと耐える。
「顔もスタイルも声も性格も…全てが俺の理想なんだ」
「あっそ。でも残念だったな、美優は俺の彼女だ」
「甘い香り…これだけでイケそう」
佐藤がカーディガンをクンッと嗅ぐ仕草を見せる。
ガタンッ!!!
「お前っ!ふざけんなよ!!」
美優の移り香をオカズにすると遠回しに言われ、流石に我慢できなかった。
胸ぐらを掴まれた佐藤はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「意外か?美優ちゃんの裸を想像してるのはお前だけじゃない。俺は相澤君よりもずっと前から美優ちゃんを好きなんだ。想像の中で抱いた数は君より多い。」
「こいつっ…!!」
駆け寄ってきた美優に「ダメっ!」と腕を掴まれたが、振り上げた拳は勢いが止まらず当たってしまう。
「きゃっ!!」
ガタガタ、バタン!!
俺の肘が肩にぶつかり、バランスを崩した美優は後ろに転んでしまう。
倒れこんだ姿に血の気が一気に引いた。
「美優っ!!」
「い…痛ぁ……」
佐藤が「ふっ」と笑ったのを俺は見逃さなかった。
「え………?」
「とりあえずソレ脱いで。ブレザーも」
美優を壁際に押しやる様に立ち、カーディガンとブレザーを脱ぐように伝える。
美優の瞳は不安の色が見えたけれど、嫉妬が渦巻き、気遣う態度は取れなかった。
「ブレザーも、早く脱いで」
アイツのカーディガンが触れたブレザーも嫌だなんて、こんな気持ち美優にはわからないだろうな。
シャツとスカート姿になった美優の耳元に顔を寄せ、クンッと匂いを嗅いでみせる。
「俺意外の男の匂いをつけて…俺を嫉妬させたかったの?お仕置きは後でゆっくりしてあげるから、良い子で待ってて」
美優を背中に隠すようにして佐藤へと向き直る。
「ねぇ、どういうつもり?」
「どういうって何が?」
『意味が解らない』そんな顔をする佐藤に更に怒りがこみ上げる。
カーディガンを掴み佐藤へと突き返す。
「こういう気遣い、迷惑だから。人の彼女にちょっかい出すのやめてくれる?」
「別にそういうつもりじゃ…」
白々しい。
「れ…蓮。佐藤君は私が寒いって言ったからカーディガン貸してくれただけだよ。ちょっかいとか…蓮が思ってる様な意味は無いよ」
美優が『蓮』と呼んでくれた事で、佐藤より俺の方が美優の特別なんだと安堵する。
こんな奴に構ってる暇はない。
早く美優と二人きりになって、この気持ちを落ち着けたい。
「………。美優、帰るよ。鞄は俺が持つから、コート着てきて」
美優はコクリと頷き、教室の後ろにあるロッカーにコートを取りに行った。
「ふふ、美優ちゃん可愛いよねぇ」
「は?」
美優に聞こえない程度の小声で佐藤が呟く。『甘音さん』ではなく、あえて『美優ちゃん』と呼んだ事に挑発を感じるが、グッと耐える。
「顔もスタイルも声も性格も…全てが俺の理想なんだ」
「あっそ。でも残念だったな、美優は俺の彼女だ」
「甘い香り…これだけでイケそう」
佐藤がカーディガンをクンッと嗅ぐ仕草を見せる。
ガタンッ!!!
「お前っ!ふざけんなよ!!」
美優の移り香をオカズにすると遠回しに言われ、流石に我慢できなかった。
胸ぐらを掴まれた佐藤はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「意外か?美優ちゃんの裸を想像してるのはお前だけじゃない。俺は相澤君よりもずっと前から美優ちゃんを好きなんだ。想像の中で抱いた数は君より多い。」
「こいつっ…!!」
駆け寄ってきた美優に「ダメっ!」と腕を掴まれたが、振り上げた拳は勢いが止まらず当たってしまう。
「きゃっ!!」
ガタガタ、バタン!!
俺の肘が肩にぶつかり、バランスを崩した美優は後ろに転んでしまう。
倒れこんだ姿に血の気が一気に引いた。
「美優っ!!」
「い…痛ぁ……」
佐藤が「ふっ」と笑ったのを俺は見逃さなかった。
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