【R18】ショートケーキHoney～異常な程溺愛してくる彼氏に私の心臓が持ちません～

本編

邪魔者／蓮side.1

「ごめん。佐藤君と行かなきゃいけないから」

「美優…なんで？俺より佐藤を選ぶの？」

放課後、美優に一緒に帰ろうと誘ったらバッサリ断られてしまう。断る理由に男の名前が入っていた事に、更衣室での話題が頭をよぎった。
美優は俺のモノだ。絶対誰にも渡さない。

「うん。だってクラス委員の集まりがあるし」

「あ…あぁ、クラス委員の…。なんだ…びっくりした」

頭に？ハテナを浮かべる美優を前に、ほっと息をつく。美優の事になると本当に余裕がないな…。

「甘音さん、そろそろ委員会行こうか」

「佐藤君、待たせちゃってごめんね。今行く」

佐藤傑の言葉に美優が笑顔で返した事に嫉妬心が芽生えた。
嫌だ…行かせたくない。
咄嗟に美優の腕を取り腕の中に閉じ込める様に抱き締めた。

「美優、終わるまで待っててもいい？一緒に帰ろう」

「っ！あ、あの…ごめん。今日は大ちゃんが一緒に帰ろうって…、その、約束しちゃったから。またね、さようなら！」

俺の手を振りほどき目も合わせないまま、美優は小走りで教室を出て行ってしまう。
呆然と美優の後ろ姿を見つめる俺に、佐藤がニヤリと嘲笑った後、美優を追って教室を出て行った。

何だアイツ…。
佐藤傑…気に入らないな。

「蓮～、今日はどうすんの？」

「美優待ってる。省吾は先帰って」

「え？でも甘音ちゃん久遠先輩と帰るって…」

「彼女が他の男と帰るの容認できる訳ないでしょ」

「んー、まぁ確かに？でも甘音ちゃんは久遠先輩の事を男性とは意識してないんじゃない？」

「美優が意識してなくても相手が意識してる」

「甘音ちゃんって執着心の強い人に好かれやすいんだろうな…。かわいそうに…」

「何か言った？」

「いいえ、何にも」


誰も居なくなった教室で俺は美優の席に座って待つ。美優の机…それだけでちょっと気分が落ち着いた。


日が暮れ教室が暗くなってきた頃、廊下から美優と佐藤が楽しそうに話す声が聞こえてきて、再び心がチリチリと嫉妬で焼け始める。


「美優…」

「れ……ぁ、相澤君…。どうして…」

まただ。
美優が名前でなく名字で俺を呼ぶ。
そんなに人には隠したい関係なの？

ねぇ、どうして他の男のカーディガンなんて着てるの？

美優はどうしていつも困った顔を俺に向けるの？

どうして…？


美優の後ろで、佐藤傑がまた嘲笑う。
お前には絶対美優を渡さない。

ガタン
と音を立て椅子から立ち上がり、美優の元へと向かった。