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本編
気になる存在
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「うぷっ!…み、美優…??」
「わっ!ごめんなさい、痛くなかった?」
唇を塞いだ手を離し、赤くなっていないか確かめてみるけれど、見た目には傷や腫れは確認できない。
「いや、それは大丈夫だけど……。何か聞きたい事があるって顔だね?」
覗き混むように首を傾けられ、更に近付いた距離にまたドキドキしてしまう。
イケメンの威力…半端ないわ。じっと見惚れてしまっている私に気付き、蓮がクスクスと笑う。
気を取り直して気になっていたあの噂について口を開いた。
「蓮って…彼女はいないの?」
「美優のこと彼女だと思ってるけど??」
「あー…そうじゃなくて…。私以外に彼女はいないの?」
「いないよ、当然でしょ」
蓮は意味が解らないといった顔で首を傾げる。そんな蓮の姿をチラチラと横目で伺いながら、私は質問を続ける。
「遊んでる女の子とか、セ…セフレもいない?」
「いない。俺が好きなのは美優だけ。勃つのも美優だけだから、他の女は抱けない」
「そっ…そういうのはいいからっ!じゃあ…こ……婚約者がいるっていうのは本当?」
言葉にした瞬間、静かな公園に私の声が一際クリアに聞こえた気がした。
「………何それ?誰から聞いたの?」
さっきまでの優しい声とは違う重く固い声色に、思わず肩がピクリと震える。
蓮の真剣な眼差しが私の瞳を捕らえ、右手をぎゅっと握られる。
「…友達から聞いたの…。ごめんなさい、言いにくい事なら答えなくていいよ…」
私は『誰』から聞いたのか、なるべく特定されないように慎重に答える。せっかくできた友達に迷惑をかけるような事はしたくない。
「婚約者はいないよ。ただ、幼なじみとは家族ぐるみの付き合いがある」
「へ…へぇ…そうなんだ……。幼なじみって…女の子?」
「そう。でも最近は会ってないよ。美優が嫌なら、もう二度と会わない」
「嫌とかじゃないの…ごめんなさい。…本当にその人と婚約してないの?」
「してないよ。俺の好きな人は美優だけ」
「本当に?…じゃあ、蓮のこと…好きになってもいいの?」
「え…?」
蓮は凄く驚いた顔で固まってしまう。
もしかして、私が好きになったら迷惑?
蓮は好きって言ってくれたけど、やっぱり冗談だった?
悪い考えばかりが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
「ぁ…ごめんなさい。やっぱり今の聞かなかった事にして」
「待って、そんな事できない。…ねぇ、本当に?…本当に美優が俺の事…好きになってくれるの?」
繋がれた手にぎゅっと力が入る。
恥ずかしくて目を反らしたいのにできなかった。
あぁ…私の負けだ…。
「わっ!ごめんなさい、痛くなかった?」
唇を塞いだ手を離し、赤くなっていないか確かめてみるけれど、見た目には傷や腫れは確認できない。
「いや、それは大丈夫だけど……。何か聞きたい事があるって顔だね?」
覗き混むように首を傾けられ、更に近付いた距離にまたドキドキしてしまう。
イケメンの威力…半端ないわ。じっと見惚れてしまっている私に気付き、蓮がクスクスと笑う。
気を取り直して気になっていたあの噂について口を開いた。
「蓮って…彼女はいないの?」
「美優のこと彼女だと思ってるけど??」
「あー…そうじゃなくて…。私以外に彼女はいないの?」
「いないよ、当然でしょ」
蓮は意味が解らないといった顔で首を傾げる。そんな蓮の姿をチラチラと横目で伺いながら、私は質問を続ける。
「遊んでる女の子とか、セ…セフレもいない?」
「いない。俺が好きなのは美優だけ。勃つのも美優だけだから、他の女は抱けない」
「そっ…そういうのはいいからっ!じゃあ…こ……婚約者がいるっていうのは本当?」
言葉にした瞬間、静かな公園に私の声が一際クリアに聞こえた気がした。
「………何それ?誰から聞いたの?」
さっきまでの優しい声とは違う重く固い声色に、思わず肩がピクリと震える。
蓮の真剣な眼差しが私の瞳を捕らえ、右手をぎゅっと握られる。
「…友達から聞いたの…。ごめんなさい、言いにくい事なら答えなくていいよ…」
私は『誰』から聞いたのか、なるべく特定されないように慎重に答える。せっかくできた友達に迷惑をかけるような事はしたくない。
「婚約者はいないよ。ただ、幼なじみとは家族ぐるみの付き合いがある」
「へ…へぇ…そうなんだ……。幼なじみって…女の子?」
「そう。でも最近は会ってないよ。美優が嫌なら、もう二度と会わない」
「嫌とかじゃないの…ごめんなさい。…本当にその人と婚約してないの?」
「してないよ。俺の好きな人は美優だけ」
「本当に?…じゃあ、蓮のこと…好きになってもいいの?」
「え…?」
蓮は凄く驚いた顔で固まってしまう。
もしかして、私が好きになったら迷惑?
蓮は好きって言ってくれたけど、やっぱり冗談だった?
悪い考えばかりが頭の中をぐるぐると駆け巡る。
「ぁ…ごめんなさい。やっぱり今の聞かなかった事にして」
「待って、そんな事できない。…ねぇ、本当に?…本当に美優が俺の事…好きになってくれるの?」
繋がれた手にぎゅっと力が入る。
恥ずかしくて目を反らしたいのにできなかった。
あぁ…私の負けだ…。
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