Night and Light ~異能バトルは突然に~

愛川 駿輔

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序章

隊長

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「人間、いざ死ぬ時に大切なものを渡すとなると、やはり大切な者に渡すものだ。ましてや自分に害なす者に渡すなど、無意識に拒絶してしまう」
風切さんは補足のように語る。
「つまり、話を整理すると…お前が攻撃を感じ取った瞬間に、母親は死んだんだ。お前の両親を殺してから、即座にお前を殺そうとしたのだろう」
「……なら父さんはどうなる。父さんの異能とやらは俺の中にあるのか?」
もうなんでもいい。全てを聞こう。全てを聞いて、父さんと母さんを殺したやつを絶対に殺す。ただでは殺さない。思いつく全ての苦痛を与えて殺してやる。
「今のところ、どこに継承されたか不明だが、お前の中にないとするなら恐らく……」
下を向き少しトーンを落として話す風切さん。
なるほど。俺の中にないとして、考えられるのは……
「殺したやつに奪われたのか」
「……多分な」
でもなぜ父さんは俺を継承者に選ばなかったのだろう。
おこがましい疑問な気もするけれど。
「じゃあ、あの俺が逃げた時の発光現象の力は母さんの力なんだな」
「ああ…そうだ。正確には、その力は光ではなく雷だがな」
「……雷?」
「普通の雷とは少し違うんだが、雷だ。そして、副産物として身体能力も爆発的に向上する。超感覚もその能力の内だな」
そうだったのか。光だろうが雷だろうが今の俺にはよく分からないが。
「分かった。俺の能力の話はもう良い。だからその裏切った隊長達とやらを教えてくれ」
今俺が最も知りたいのはそいつらの話だ。風切さんの話が全部本当だったなら、母さんは確実に死んでいる事になる。絶対に許さない。
俺の話し方で心中を察したのか、風切さんは真剣な顔をして口を開く。
「さっき話したとおり、裏切った隊長はに5人いる。第4号隊隊長、並部傑ならべすぐる、第5号隊隊長、師早生也しわせなり、第12号隊隊長、鞠過真帆まりかまほ、第14号隊隊長、怯世剛助ひるせごうすけ、第20号隊隊長、玄喰最上くろくいもがみ。名前だけ聞いても分からんと思うが一応言っておく」
「……そいつらの能力はなんだ」
「それは聞かない方が良い」
そう切り捨てる風切さん。なぜ今になってもったいぶる。
「なぜだ? 能力を聞いたら俺が絶望するからか」
「違う。聞いても無意味だからだ。あいつらはもうすでにいくつか異能を奪っている。元々知られている、対策が立てられやすい自分の異能を使ってくるとは思えない。その能力を聞いて先入観で戦っても勝てない」
……一応理にかなっているのか。あまり納得はできないが。
「分かった。そのことはもういい。なら次の質問をしていいか?」
「もちろんだ。好きなことを聞け」
「なぜそのなんとかって言う本拠地に帰らないんだ。国家機関なんだろう。かなり大きな組織の筈だ。こんな所じゃなく最初からそこへ俺を連れて行ったら、俺だって信じやすかっただろうし、何よりそこにいた方が何かと有利だろう」
こんな所と言うのは別に悪気があって言った訳ではないが、本当に何もない場所なのだ。雲に囲まれている島としか分からない。海は見えないが。第一テロリストがいるかもしれない外をうろついていたら危険だろう。
「帰りたくても帰れないのだ」
「はぁ? どういう意味だ」
「そのまんまの意味だ。帰れない」
「どうして?」
中々訳を言わない風切さんに少々いらだちながらたずねる。
「……占拠されているのだ」
「………………なんだと?」
「私達の本部は現在裏切り者どもに乗っ取られている」
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