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第十幕 転生歌姫と忍び寄る戦火
第十幕 34 『秘密』
しおりを挟む「ふ~ん……この子がねぇ…なかなか男前な感じじゃない」
「は、はぁ…ありがとうございます」
リヴェティアラ様はテオに近付いてまじまじと観察している。
……ちょっと近いんじゃないの?
「眷族の人間と直接会うのは初めてだけど……ホント、可愛いわね。母性本能がくすぐられるわ」
「ちょっ、ちょっと!?」
まるでキスするかのように顔を近付けて、囁くようにそんなことを言う。
流石に我慢できずに割って入る。
「あら、ごめんなさいね。でも、そんなに妬かなくても大丈夫よ。親子同士のスキンシップみたいなものなんだから」
とてもそうは見えなかったけど!?
「テオも!デレデレしないの!」
「い、いや、呆気にとられて…」
「ふふふ…ホント、可愛らしいわ~。二人とも」
「リヴィ、からかうのもその辺にしておきなさい?」
流石に見かねたのか、リル姉さんが嗜めてくれた。
「はぁ~い。リルちゃんに怒られちゃった」
テヘッ、みたいな感じだ。
何かやりにくいなぁ…
印持ちの人間って、その神様の性質に似ると思ってたんだけど、テオとは全然似てないよね…
「そ、それで、俺に会いたかったとの事ですが…」
「そうそう、最近リルちゃんとかディー君とか人間に会ってるって聞いてね。私も久しぶりに人間に会いたいと思ったのよ。何かオキュピーもそんなこと言ってたし」
ディー君……まさかディザール様の事か?
オキュピーは…オキュパロス様か。
「で、近々あなた達がリルちゃんに会いに来るって聞いたから、じゃあ私もってね」
「この娘、いつもフラフラしてるから中々捕まらないんだけど、今回丁度タイミングが良かったわね」
…自由の女神だからね。
リヴェティアラ様は『自由の女神』とか『解放者』とか言われているのだ。
「そういう訳で、二人ともよろしくね」
「「はい、よろしくお願いします」」
そうして、初対面の挨拶も終えて、私達はテーブルを囲み紅茶を飲みながら話を始める。
「さて…またいつものように話を聞かせてくれるかしら?」
「うん、ちょっと色々聞きたいこともあるんだ」
私は前回リル姉さんに会ってからの出来事を語った。
古神、ウパルパ様から聞いた話。
賢者の予言。
そしてグラナの不穏な動きのこと。
「地脈の守護者に会ったのね」
「あの爺様まだ生きてたのねぇ…」
何気にリヴェティアラ様が酷いことを言う。
「いきなり襲ってきてびっくりしたんだけど」
「まあ、あなた達で良かったと言うべきかしらね。……でも、異界の魂が現れるようになった要因、ね」
「地脈の乱れ以外の要因があるはず、って。もしそれが分かるのなら、根本的に解決できると思うのだけど」
「そうね…今のところそれが何なのかは分からないけど…」
う~ん、リル姉さんも心当たりはないかぁ…
「それに、賢者の予言も気になるわね」
「リル姉さんは…地上に居た頃に、その賢者様とは面識があったの?」
「いいえ、直接は会ったことはないわね」
「そうなんだ……それで、その……」
そこでチラッとテオの方を見る。
この話、予言はもちろん大事なんだけど、一番にリル姉さんに話したかったのは、私自身に関することだ。
「……俺が聞かないほうが良いなら、席を外そう」
出来る男であるテオは、何となく察してくれたのかそう言ってくれる。
最初は、そうしてもらおうかとも思ったんだけど…
…
……
………
よし!
覚悟を決めたよ!
「ううん、テオにも聞いてほしい」
「いいのか?」
「うん。私のことを知ってもらいたい」
そして私は、テオに語り始める。
この世界の人間として生まれた【私】と、異なる世界から転生した【俺】…二つの魂から今の私に至った経緯について。
驚くべきその話を、彼はただ静かに聞くのだった。
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