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第十三幕 転生歌姫と生命神の祈り
第十三幕 7 『在りし日の最終決戦』
しおりを挟む皆が帰ったあと、私はシェラさんにもう少し気になっていた事を聞いてみた。
ちょっと皆がいる時は聞きにくかったんだよね……
「シェラさん、『黒き神』の神殿について、もう少し詳しく聞かせていただいても?」
「神殿の事……ですか?ええ、構いませんけど」
賢者リュートは、『黒き神』こそが邪神なのではないか……と考えてグラナに向かった。
もしそのような神殿の存在を知ったのならば、彼もそこに向かったのではないだろうか?
「シェラさんは『賢者』をご存知ですか?」
「え、ええ……アスティカントの『学院』の創立者ですよね?」
「そうです。実は……」
私はシェラさんに、賢者リュートが未来に起こるかも知れない世界の危機を憂いて活動していたことを話す。
魔王が現れる事を予見していた…と聞いた彼女はかなり驚いていた。
そして、『黒き神』こそが『邪神』なのではないか、と言う予測についても。
「……なるほど。確かに符合しているように思えますね」
「黒き神の神殿は300年前の決戦の地、とのことでしたが……魔王はそこで何をしようとしていたのですか?」
「詳しくは分からないのですが……更なる力を得ようとしていたのは確かです。そのために私を始めとして、多くの人を生贄に捧げようとしていた。もしかしたら……それこそが?」
「邪神を復活させるための儀式……だったのかも」
「……私が魔王を封じることができたのも、その地に莫大な量の魔素が流れ込んでいたからです。それが邪神を封じるためのものだったのなら……」
話を聞けば聞くほど怪しいね……
「それで、その神殿はどこにあるのでしょう?」
「それが……詳しい場所は私にも分からないのです。捕まって運ばれたときは目隠しをされてましたし、封印が解けて目覚めた時は……違う場所にいたのです。おそらく先に目覚めたヴィーが、私を神殿から運び出したのだと思います」
「そう……ですか」
場所が分からないのは残念だな……
「グラナの帝都パニシオンから東にある山中のどこか……というのは分かってるんですけど、かなり広大な地域なので……探し出すのはかなり困難です」
「黒神教の幹部なら……」
「そうですね、その可能性は高いと思います。少なくともヴィーは知ってるはず」
やはり、黒神教との直接対決は避けられない……という事か。
「しかし……賢者の名前は『リュート』と言うのですね。……どこかで聞いたような?」
「え、本当ですか!?」
「ごめんなさい。何分記憶が曖昧で、そんな気がする……という程度なんです。でも、多分まだ私がグラナを出る前の事じゃないかしら……。何か思い出したらお伝えしますね」
「はい、お願いします」
グラナ側の足跡が分かれば……また何かを遺しているもしれない。
出来ることなら思い出してもらいたいところだよ。
ん…?
あ、これは……例の夢か。
シェラさんから色々な話を聞いたから……前世の記憶が思い出されたのかもしれない。
視界一杯に広がる白い靄のようなものが晴れていく。
そして、目に映った光景は……燭台の灯りに照らされた、おどろおどろしい雰囲気の屋内……広大な空間を持つそこは神殿の内部のようであった。
もしかして、これが『黒き神の神殿』……?
奥の方は階段状になっていて、その上には祭壇らしきものが。
そして、巨大な神像……まるで悪魔のような禍々しさを放っている。
そして、それ以上に禍々しいオーラを放つ男女が立っている。
一人は私も知っている顔……調律師ヴィリティニーアだ。
そしてもう一人は……長身に鍛え上げられた肉体を持つ壮年の男性。
白銀の短髪に顎髭を蓄えた精悍な顔つきを彩る黄金の瞳は、魔族である証だろう。
そして、祭壇の上にもう一人、女性が横たわっているのに気が付いた。
あれは、リシィ……シェラさんだ!
それに相対するのは、テオフィール、リディア、ロランのパーティ。
やはり……これは300年前の決戦の時の記憶に違いない。
そして、私の夢の中で最終決戦の火蓋が切られるのだった。
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