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翌日、俺たちは薬草採取の依頼を受けて街の東にある森で採取を行っていた。


「フィーナ、そっちは大丈夫か?」


「はい! たくさん取れましたよ!」


フィーナはカゴいっぱいに入った薬草を見せてくる。どうやら順調のようだ。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」


突然、森の奥から雄叫びが聞こえてきた。それと同時に木々が揺れる。


「な、なんだ!?」


「ナオトさん! あれを見てください!」


フィーナの視線の先には巨大なドラゴンがいた。体長は5メートル以上もあり、白銀のような真っ白なドラゴンであった。


「ど、どうするんですか!?」


フィーナが不安そうに聞いてくる。俺は彼女に笑顔を見せると言った。


「安心しろ、俺が倒す」


俺は飛び上がるとドラゴンに向かっていった。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!」


ドラゴンは巨大な炎を吐くが、俺には通用しない。


俺はそのままドラゴンの頭上まで飛び上がると、思い切り殴り飛ばした。


「グォオオッ!!」


ドラゴンは再び炎を吐いてくるが、俺は片手で弾き返した。そして、今度は蹴りを放つ。すると、ドラゴンの体が大きく吹き飛んだ。


「まだやるか?」


ドラゴンに近づくと、急に目つきが変わる。


「もしかして、賢者様……?」


信じられないことにドラゴンが喋った。


「ああ、そうだ」


「賢者様……お待ちしておりました」


ドラゴンは頭を下げる。


「私は『英知の竜』と呼ばれています。太古の昔より、賢者様と共に生きる存在です」


「そうなのか。それで、どうしてこんなところに?」


「ずっとあなた様を探しておりました。私の主人となる者を」


「俺を?」


「はい。あなた様にはこの世界を支配する権利がございます。どうか私をあなた様の配下にしてください」


英知の竜は深々と頭を下げる。急にそんなこと言われてもな、そんな力なくても平穏に暮らせればそれでいいんだが。


「配下ってつまりペットだろ? そんなにデカいのは目立つと思うんだが……」


「ご心配なく。私は大きさを自由に変えられるので、邪魔にはなりません」


ドラゴンはみるみるうちに小さくなり、ぬいぐるみサイズになった。


「これなら問題ないな」


「ありがとうございます。では、私に名前を付けてください」


「名前か、そうだな……」


俺は少し考えてから答えた。


「お前の名前はルシアだ」


「分かりました。これからよろしくお願いします」


こうして、ドラゴンのルシアが仲間になったのだった。
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