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数日後、私はヴォルフと一緒に出かけることになった。


「どこに行くんですか?」


「それは行ってからのお楽しみだよ」


ヴォルフは微笑む。私はドキドキしながらついていった。やがて到着したのは森だった。木々に囲まれた道を歩く。


「ここは……」


私は思い出していた。以前、二人で来た場所だ。あの時は熊に襲われてしまったけれど、今回は大丈夫だろうか。不安になりながら歩いていると、やがて開けた場所にたどり着いた。


「あっ……」


そこには大きな木があった。前に見た時よりもさらに大きくなっている。まるで成長しているようだった。


「この前、君とここに来てから気になって調べていたんだ。そうしたら、ここの木が生命の樹だということがわかったんだよ」


「そうなんですか?」


私は驚いていた。まさかこんな近くに秘密の場所があったなんて思いもしなかったからだ。


「それにしても大きいですよね」


「ああ、この辺りで一番の大きさらしいよ」


「へー」


改めて見ると圧倒されてしまう。これだけ立派な大樹になるとは想像していなかった。


「それでお願いがあるんだけど……」


ヴォルフがおずおずと言う。


「何でしょうか?」


「この木の枝を取ってきて欲しいんだ」


「えっ?」


私は驚く。そんなことは初めて言われたからだ。


「どうしてですか?」


「この木は俺と君の子どものようなものだからね。きちんと育てたいんだよ」


ヴォルフは真剣な表情で言う。


「わかりました」


断る理由はない。私は笑顔で引き受けることにした。


「ありがとう」


ヴォルフは嬉しそうに笑う。私もつられて笑ってしまった。


「じゃあ、さっそく行こうか」


「はい!」


こうして私たちの冒険が始まったのである。生命の樹を目指して森の中を進む。道なき道をかき分けて進んだ。


「疲れていないかい?」


「平気です」


私は答える。ヴォルフのおかげで体力がついたので、以前よりも楽になっていた。


「そういえば、どうやって探せばいいんですか?」


「それは簡単だよ。生命の樹は魔力を放っている。それを辿れば良い」


「なるほど」


私は納得する。確かにそれなら迷うことはないだろう。


「ただ、注意して欲しいことがあるんだ」


「何でしょう?」


「魔力が強すぎると気分が悪くなったり、幻覚を見ることもある。あまり当てにしない方が良いかもしれないね」


「そうなんですか?」


私は不安になった。だが、ヴォルフが一緒なので怖くはない。


「心配はいらないよ。もし何かあっても俺がついている」


「はい」


私は元気よく返事をする。そして、手を繋いで歩き続けた。しばらくすると目的地が見えてくる。生命の樹はすぐ側にあった。私は幹に手を当てる。


「すごい……」


思わず声に出てしまう。それほどまでに圧倒的な存在感を感じた。


「早速採ろうか」


「はい」


私たちは作業に取りかかる。だが、途中で問題が発生した。思った以上に太い枝だったので切り落とすことができなかったのだ。そこで仕方なく魔法を使うことにした。


『ファイアボール』


炎弾を放つ。命中して燃え上がったが、なかなか落ちなかった。何度か試したが、なかなか上手くいかない。


「どうしよう?」


私は困ってしまう。ヴォルフの方を見ると彼も同じようで悩んでいた。するとその時、背後から物音が聞こえた気がした。振り返ると巨大な熊がいた。


「ひっ!?」


私は恐怖で固まる。ヴォルフが庇うように立ち塞がった。


「大丈夫だ! 落ち着いて!」


ヴォルフが叫ぶ。私は必死に心を鎮めた。そして、杖を構える。すると、突然、風が巻き起こった。


(えっ?)


疑問を感じる間もなく熊が吹き飛ぶ。そして、そのまま大木に衝突して絶命した。私は呆然としてしまう。


「今のは……」


「どうやら風の精霊の力を借りたようだね」


ヴォルフの言葉を聞いて理解した。先ほどの現象は私がやったのだと。


(これが私の力……)


私は驚きを隠せなかった。いつの間にか強くなっていた自分に戸惑っていたのだった。
その後、無事に生命の樹の枝を手に入れた私とヴォルフは家に帰ることにする。帰りは魔物に襲われることもなく、無事に戻ることができた。
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